8月16日は北広島町の八重総合センターで「第7回お盆神楽共演大会」が行われました。毎年、お盆で帰省した方々にふるさとの神楽を見ていただこうと、地元の今田神楽団が主催となって、千代田・大朝・芸北・豊平の各地域の神楽団を中心として開催されています。今年は6団体7演目でお盆の夜が盛り上がりました。自分は今年で3回目で、毎年暑いのを覚悟しているんですが、今年はなぜかとっても涼しくて、持参したウチワを使うことがありませんでしたね。風がよく通る場所だったこともありますが、それにしてもかなり過ごしやすく、なんだかラッキーな気分でした(笑) そして上演前、今田神楽団さんの新しい神楽幕が2枚披露されました。1枚は「紅葉狩」のもの、そして2枚目が写真の幕。これは今回数年ぶりに舞われた「殺生石」の幕なんです。金毛白面九尾の狐の怨念がこもって辺り一面草木も生えない岩場になっている情景が描かれています。この演目はまた後ほどじっくりご紹介します!
では最初の演目から。今田神楽団「紅葉狩」。いきなり大人気演目の登場です。最初の姫の舞から鬼女の舞に変わるところは前半の見どころの一つです。なおかつこの演目は三人の舞で、赤が際立つ派手な衣装というのも魅力ですね。これで舞手の息がそろえばより神楽に引き込まれていくようです。後半は立ち合いが少し変わっているように見えました。写真のようににらみ合いや組み合ったりという舞がありました。よい舞は完璧に動きがそろうもの、ではないですから、こうやって演目や役柄に違いを持たせる意味でもいいのではないかと思います。
続いて加計高等学校芸北分校神楽部「八岐大蛇」。先月の芸北神楽競演大会では15分バージョンでしたが、今回はいつものバージョンのようでした。しかし今回は舞台が狭いようで、奏楽の四人が二人ずつに分かれ、さらに舞台の下に降りて奏でられました。舞は楽に合わせて、楽は舞いに合わせて、ですから、相手が見えないとやりにくい面もあったかと思いますが、最後までしっかりと上演されました。また足名椎おじいさんのセリフのしゃべり方がとっても独特。あまり他では聞かないような音程?で、歌を歌っているような感じなんですよね。おそらくみなさんもすぐに気づかれたと思います。
次は小市馬神楽団「鍾馗」。登場人物が二人の地味な舞ですが、どちらも若手のお二人が舞われたんだそうです。神の舞、鬼の舞の見比べも面白いですが、さらにその中でも場面によって少しずつ舞い方が違うので、その微妙なところもしっかり見てみたい演目です。特に鬼は本当に難しいと思いますが、中盤の幕を使っての舞など、非常に興味深く見せていただきました。また常に低い姿勢で…というのも見ていてよくわかりましたね。今回に限らず、こういったイベントでは新舞がメインになってきますが、古い神楽を見て伝統的なものを楽しむのもとても大切なことですね。
高井神楽団「土蜘蛛」。上演前に高宮町の原田神楽団より高田舞を習った、との団長さんのお話がありました。当然のことながら、舞も楽もとてもよく似ていたと思います。教わったことをどう伝えるか、というのはすべての神楽団に共通するテーマで、それは先輩から後輩だけでなく、神楽団から神楽団へ、という関係においても同じことが言えると思います。「ここはこう舞う」といった具体的なことばかりではなく、「こういう意味だからこう舞う」ということこそ、伝承と言うものではないでしょうか。広島市の神楽団で、もともとは十二神祇を舞われていた高井神楽団さん。若手も多いということで、これからどんどん活躍していただきたいです!
西宗神楽団「桃太郎伝説」。日本人なら誰でも歌える「も~もたろさん、ももたろさん♪」の童謡。その元になった物語に入り込んだような演目です。冒頭、いきなり姫をかっさらう悪い鬼が登場。この鬼たちがまたいかつい…。普通の鬼よりも牙が多かったり、いかにも悪役!という印象です。そして天皇が勅命を出し、ついに鬼退治が始まります。中盤は鬼のボス、吉備冠者(きびのかじゃ)と後の桃太郎、五十狭芹彦(いさせりひこ)が早くも激突。鬼の左目に矢が命中するところなどは見事な演出。そうな風に、ちょっとインパクトのある演出があったりすると、次は何が起こるんだろう?と最後までワクワクしながら見れますよね!
東山神楽団「伊服岐山」。神楽では「伊吹山」が普通ですが、古事記では「伊服岐山」と書くようです。物語は日本武尊が伊服岐山の鬼神を成敗するも、その毒牙のために命を落とすというお馴染みのもの。しかしその中身はかなり独特のものになっていると思います。鬼神が二人というのがまず珍しいのではないでしょうか。そして立ち合いの最中に面をつけたりと、だんだんと鬼になっていきます。手下がやられると大鬼神の登場。大和が誇る英雄に一矢報いるほどですから、やはりその存在感は強烈です。見た目からしてすごい鬼だなとみなさん思われたことでしょう。その鬼との死闘は、大太鼓の方が立ちながら叩いたりして、この日一番の盛り上がりだったように思います。
最後は今田神楽団「殺生石」。数年前のものからリニューアルしたバージョンの初披露だったそうです。まずは弓矢の名手と狐の戦いから始まります。中編の最後の場面のハイライト、なんていうおまけではなく、しっかりと前半として組み込まれていたように思います。何本もの矢を浴び、ついに殺生石へと姿を変えた金毛白面九尾の狐。しかしその怨念は凄まじく、那須野ヶ原を死地へと変えていきます。そして中盤はコミカルな飛脚さんの登場。今流行りの?オリンピックネタが飛び出します。そして狐に狙われ、客席を逃げ回りますが、こうなったら狐さんのほうが人気ですね。あちこちで写真をお願いされていました。後半は玄翁(げんのう)和尚が登場し、法華経の加護と法の槌で殺生石を破壊します。やはりこの後半が一番の見どころ。袈裟をかけられて苦しむ狐さんの演技が特に素晴らしかったと思います。まだご覧になったことのない方、ぜひご覧ください!
今年はとても暑い日が続いていますね。ファンのみなさん、舞われる団員のみなさん、熱中症などには十分注意されて夏を乗り切りましょう!
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2008,08,17 Sun 15:29
新着コメント
神楽大好きさん、コメントありがとうございます。
こうやってファンのみなさんの間で話題になるというのは、とてもよいことだと思います。
「殺生石」を何年かぶりに復活された今田神楽団さんに拍手!ですね。
夏バテは…もう回復したので大丈夫です(笑)
次回は新人さんの登場!!…かな!?
こうやってファンのみなさんの間で話題になるというのは、とてもよいことだと思います。
「殺生石」を何年かぶりに復活された今田神楽団さんに拍手!ですね。
夏バテは…もう回復したので大丈夫です(笑)
次回は新人さんの登場!!…かな!?
| 特派員 | EMAIL | URL | 08/08/19 19:06 | ocupnpUI |
掲示板で「殺生石」が話題になってますね!
去年のあまりの暑さに、今年は断念したのに・・・・・
特派員さんも夏バテに気をつけてくださいね!
次回の特派員報告も楽しみにしています。
去年のあまりの暑さに、今年は断念したのに・・・・・
特派員さんも夏バテに気をつけてくださいね!
次回の特派員報告も楽しみにしています。
| 神楽大好き | EMAIL | URL | 08/08/19 18:51 | tTBCbx1A |