3月23日に「集まれ!月いち!しまねの日!」と題しまして「月一の舞い」がありました。そう、つまり今回はすべて島根の神楽です!
スタートをきるのは深野神楽保存会さんによる「国譲」。
深野神楽保存会さんは出雲市からお越しくださいました。ですから出雲神楽になります。
まず舞台を見たときに、楽が観客と対面するスタイルであることにいわゆる広島神楽を見慣れている方は「おっ!」と思われますよね。
深野神楽保存会さんによる「国譲」の見所は何といっても「木彫りの面」!眉と目と口が同時に動くという珍しい面が使用されています!
そして表情豊かに岩投げ合っている姿は一度見たら忘れられませんよ・・・お客さんも一緒になって投げて盛り上がっていました!お餅も降ってきましたし色んなものが投げられた演目でした。笑
お次は島根県江津市の都治神楽社中さんによる「恵比寿」。今回都治神楽社中さんにはこの恵比寿と「塵輪」の2演目舞っていただきました。この恵比寿では、お馴染みアナウンサーの斎藤さんも仰っていたようにかつて見たことのないすごく生きのイイ鯛が拝めましたよ。
お次は浜田市の西村神楽社中さんによる「黒塚」。
とにかく笑わせていただきました。(那須野が原で砂利に蹴躓いた)法印さんが立派な方なはずなんですけど、ちょっとドジでお茶目。命からがら悪狐から逃げ助かるだけのことはある!それに対して剛力のツッコミとアクロバットが何とも激しい!そりゃ力尽きるよ・・
そしてこちらは前回から続く「斉藤さん参加型神楽」でもありました。(笑)
都治神楽社中さんの「塵輪」。本当に都治神楽社中さんは元気できれがあってパワフルな舞をされますよね。白鬼と赤鬼、天皇と高麻呂が声を合わせて掛け合うのですが、「は、張りあってるなー」というような具合に元気なんですよね。とても迫力があります。
最後は石見神楽保存会久城社中さんによる「大江山」。
実は今回の石見神楽保存会久城社中さんの出演は、月一のお客さんからの沢山のリクエストがあって実現したものなのです!石見神楽保存会久城社中さんは益田市の社中さんで楽は八調子、所々六調子のようなものを取り入れられているそうです。特徴はとっても大きな面。また渡辺綱と源頼光が山伏の姿になる際にガラッと能を思わせる面に変わります。さ、さっきまでの大きなお顔はいづこへ!まるで別人!というやつです!
今回は「バラエティー豊か」という言葉が似合う月一だったような気がします。筆者が未熟だというのもありますが見慣れないいろんな神楽を見て「神楽とひと言で言ってもいろいろあるなあ!」と感心しっぱなしでした。奥が深いですね!
次回の月一の舞いは「国家安泰・無病息災」とひと騒動起きそうなタイトルで4月20日(日)に行われます!
スタートをきるのは深野神楽保存会さんによる「国譲」。
深野神楽保存会さんは出雲市からお越しくださいました。ですから出雲神楽になります。
まず舞台を見たときに、楽が観客と対面するスタイルであることにいわゆる広島神楽を見慣れている方は「おっ!」と思われますよね。
深野神楽保存会さんによる「国譲」の見所は何といっても「木彫りの面」!眉と目と口が同時に動くという珍しい面が使用されています!
そして表情豊かに岩投げ合っている姿は一度見たら忘れられませんよ・・・お客さんも一緒になって投げて盛り上がっていました!お餅も降ってきましたし色んなものが投げられた演目でした。笑
お次は島根県江津市の都治神楽社中さんによる「恵比寿」。今回都治神楽社中さんにはこの恵比寿と「塵輪」の2演目舞っていただきました。この恵比寿では、お馴染みアナウンサーの斎藤さんも仰っていたようにかつて見たことのないすごく生きのイイ鯛が拝めましたよ。
お次は浜田市の西村神楽社中さんによる「黒塚」。
とにかく笑わせていただきました。(那須野が原で砂利に蹴躓いた)法印さんが立派な方なはずなんですけど、ちょっとドジでお茶目。命からがら悪狐から逃げ助かるだけのことはある!それに対して剛力のツッコミとアクロバットが何とも激しい!そりゃ力尽きるよ・・
そしてこちらは前回から続く「斉藤さん参加型神楽」でもありました。(笑)
都治神楽社中さんの「塵輪」。本当に都治神楽社中さんは元気できれがあってパワフルな舞をされますよね。白鬼と赤鬼、天皇と高麻呂が声を合わせて掛け合うのですが、「は、張りあってるなー」というような具合に元気なんですよね。とても迫力があります。
最後は石見神楽保存会久城社中さんによる「大江山」。
実は今回の石見神楽保存会久城社中さんの出演は、月一のお客さんからの沢山のリクエストがあって実現したものなのです!石見神楽保存会久城社中さんは益田市の社中さんで楽は八調子、所々六調子のようなものを取り入れられているそうです。特徴はとっても大きな面。また渡辺綱と源頼光が山伏の姿になる際にガラッと能を思わせる面に変わります。さ、さっきまでの大きなお顔はいづこへ!まるで別人!というやつです!
今回は「バラエティー豊か」という言葉が似合う月一だったような気がします。筆者が未熟だというのもありますが見慣れないいろんな神楽を見て「神楽とひと言で言ってもいろいろあるなあ!」と感心しっぱなしでした。奥が深いですね!
次回の月一の舞いは「国家安泰・無病息災」とひと騒動起きそうなタイトルで4月20日(日)に行われます!
2014,04,07 Mon 16:30
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皆々様こんにちは! かなり前になってしまいますが7月14日(日)に千代田開発センターで、
『月一の舞 ー神楽台本作家 石丸賢太郎の世界ー』がありました!
「どうせやるならとことんやってやろうかみくずし」
私が勝手に神楽界の秋元康だと言っている石丸さんという人はとっても面白い人物です。神楽のこととなると1つ質問すればかなり詳しく楽しく10は語ってくれます。(笑)
さて、そんな石丸さんにどうして神楽の脚本を書こうと思ったのか、創作神楽をしようと思ったのか、気になるその理由についてインタビューしましたよ!
まず石丸さんは神楽界が予定調和になりつつあると感じていました。
良い舞をしているのに光が当たらない神楽団を見てもらうにはどうしたらいいのか。
見てもらえない→出る場所がない→練習回数減少→質の低下→出演依頼の減少のスパイラル・・・そこで!!!
新作に取り組むことによって、その神楽団の意識の単一化、また、上のほうを見たままの観客の視線を集める手段をとりました。それが!創作神楽なのだそうです。
「伝統を壊しているのではないか」と思われる方がおられることも本人はご存知です。しかしながら石丸さんは誰よりも神楽を愛しているからこそ脚本を書き続けるのです。
だから石丸さんの脚本からはどれも味わい深いものが感じとられます。そして知り尽くしたものだけが書ける物語がそこには広がっているのです。石丸さんは以前舞手でもありました。そのため各神楽団さんと信頼関係を築きながらその目線から一緒に試行錯誤し舞台を作り上げていきます。
今回も会場に足を運ばれた方は石丸さんとそれぞれの神楽団さんの神楽への溢れんばかりの愛と情熱、そして家族のような信頼関係を目の当たりにしたことでしょう。
それではそんなあっつーい石丸ワールドの報告に入っていきますね!!
『将門記 前編 新皇宣下』-鈴張神楽団-
新皇宣下とは何ぞや!と思われた方、
これは『将門記 最終編 滝夜叉』につながっていく物語です。将門を中心に血のしがらみに翻弄される一族が描かれています。
相馬の地を離れている間に叔父の國香により父良将を殺された良将の一子小次郎将門は、息子良門、娘五月姫と共に
「実の兄たる我が父をその刃にかけ一族宗家を名乗りしか、真に以って許し難し。」と、國香と國香に従う一族を尽く討ち取り「成敗」し國香の非道を正すべく憎き國香のもとへ向かいます。
國香は國香で将門を捨て置けば安住ままならないが、味方にすれば鬼に金棒だと考えます。
「速やかに宗家の証を返せば命は助ける」と言う将門に、國香は「もしお前の父を殺したことが本当であってもお前のような若輩者の言うことなど誰が耳を傾けるか、我に従えば非礼を許し将来を約束しよう」と言います。
この期に及んでこのように言う國香に将門は「血を分けた叔父と思えばこその情けをかけた自分の愚かさを呪うばかりだ」と刀を取ります。激しい決闘の末國香を討ち取った将門はこのように言います。
『今(いま)こそ、手始め(てはじめ)に関(かん)八州(はっしゅう)を切り取り(きりとり)て、民安(たみやす)かれたる常世(とこよ)の国(こく)を作り上げ、ここに自ら(みずから)“新しき(あたらしき)皇(すめらぎ)”、『新皇(しんのう)』宣下(せんげ)を致し(いたし)、政(まつりごと)を執り行わん(とりおこなわん)とぞ思う(おもう)なり。』
新しい時代が来そうだ!と
将門の時代の幕開けを感じる、ここまでのお話が新皇宣下です。
決闘の場面は本当に迫力があって瞬きもできないような立ち回りでした。私が驚いたのは五月姫なのですが、ひ、姫!?と唖然となるような俊敏で逞しく、それでいて女性を感じさせるかっこいい戦い方で、これから先に待ち受ける運命も思わせるものになっていましたね。
『将門記 最終編 滝夜叉』-下五原(しもいつはら)神楽団-
こちらはちょっと変わった滝夜叉姫。男勝りなんだけど男より強いわけじゃない。(石丸さんいわく)そんな滝夜叉姫。父将門も集まった民衆の想いによって新皇とならざる負えなかった、五月姫もまた・・というような世界観のなかで「夜叉」の名に狂わされた一人の女の子、「新皇 将門の遺児(娘)」という肩書によって、祭り上げられたことによって、
「滝”夜叉”(狂気)」とならざるを得なくなった、運命を名前に狂わされた女の子の物語となっています。
さて前編からの血のしがらみは途絶えることなく続き、この最終編では國香の嫡男平貞盛によって将門、そして息子良門は命を散らします。
話はずれますが史実のほうではある時点においては平貞盛という人物は、将門が父國香を死に至らしめたにも関わらず彼に非はないと考えており、互いに親睦を図るのが良策だという態度を見せていた、そうです。それが最終的には将門を討つに至るわけですからこの物語の根幹にある血のしがらみ、ってものを感じさせますよね。
それで話は戻りますが、残された五月姫は父と兄の無念を嘆き夜叉となるわけです。
ですがそれを快く思わない政権の力によってねじ伏せられます。
「如何に父上、如何に兄上。我らが悲願も叶わじか。これにて、ご両人の御許へと我も参じ仕らん。」
何とも同情させる最期です。一人の女の子である五月、人よりも悲しみが多すぎた女の子・・
それにしてもインタビューのときは口数少なくおとなしい印象だった五月姫役升本さん。「頑張ります」とだけぽつりと仰っていましたが、やはりひとたび始まれば人が変わったようです。感情が入り混じった滝夜叉姫を見事に演じられていました。
後半に続く・・・
2013,09,28 Sat 14:26
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まこと、おっしゃられるとおりだと思います。
当地域の神楽には、ご存じのとおり新曲目、旧曲目あり、儀式舞い、能舞いあり。
しかし、いくら素晴らしいものがあっても続けられなければ、、、、
古来禅問答にあるそうです。
だれもいない森、大きな樹が倒れました。
音は、したでしょうか?
この意味、考えてみては、いかがですか?
当地域の神楽には、ご存じのとおり新曲目、旧曲目あり、儀式舞い、能舞いあり。
しかし、いくら素晴らしいものがあっても続けられなければ、、、、
古来禅問答にあるそうです。
だれもいない森、大きな樹が倒れました。
音は、したでしょうか?
この意味、考えてみては、いかがですか?
| 匿名2 | EMAIL | URL | 13/10/06 16:15 | NuTl7ZSA |
口上ばかりで拝みもない。ちゃんと拝んでいると言われるかもしれませんが一方も拝めてませんよ?
神楽は劇ではないですよね?
歴史などに詳しいのはとても素晴らしく尊敬します。
しかしあまりやりすぎると神楽がもつ本来の意味がわからなくなりますよね。舞っている方々も所作の意味、手物の使い方、などなど理解したうえで舞ってほしいです。私の意見には賛否両論あるとおもいます。むしろ否の方が多いでしょう。ですが私は神楽が本当に好きで、ここ最近の演出、創作神楽などが増え神楽が神楽でなくなってきているのではないかと疑問を持ったのでこの場をお借りして意見を述べさせていただきました。
派手でかっこいい舞、演出が好まれる時代なのでしょうがないのかもしれませんね。私は自分たちの台本にない新しい演目を次々やるよりも、元々台本にある古い演目をおこして言ったほうがいいと思うのですがね。OBの方たちが元気なうちに教えてもらっとかないと後々とりかえしのつかないことになりますよ。
これはあくまで私個人の意見です。長々と申し訳ありませんでした。
神楽は劇ではないですよね?
歴史などに詳しいのはとても素晴らしく尊敬します。
しかしあまりやりすぎると神楽がもつ本来の意味がわからなくなりますよね。舞っている方々も所作の意味、手物の使い方、などなど理解したうえで舞ってほしいです。私の意見には賛否両論あるとおもいます。むしろ否の方が多いでしょう。ですが私は神楽が本当に好きで、ここ最近の演出、創作神楽などが増え神楽が神楽でなくなってきているのではないかと疑問を持ったのでこの場をお借りして意見を述べさせていただきました。
派手でかっこいい舞、演出が好まれる時代なのでしょうがないのかもしれませんね。私は自分たちの台本にない新しい演目を次々やるよりも、元々台本にある古い演目をおこして言ったほうがいいと思うのですがね。OBの方たちが元気なうちに教えてもらっとかないと後々とりかえしのつかないことになりますよ。
これはあくまで私個人の意見です。長々と申し訳ありませんでした。
| 匿名 | EMAIL | URL | 13/09/30 18:45 | EVrMiScI |
では5月19日(日)『アステールプラザ神楽鑑賞会』の報告の後半です!
中川戸神楽団「茨木」。渡辺綱に左の腕を切り取られた茨木童子が腕を取り返しにきます。
さて、『茨木童子』、酒呑童子のもっとも重要な家来でありまして、大変ファンの多い鬼であります。そんなファンの皆さん、
中川戸神楽団さんのこの演目で見逃してはいけないのはやはり「一番最後」です!茨木童子が虚空飛天の妖術をもって大江山へと「飛び去り」ます!本当に飛び去ってしまいます!まさかここで浮かぶとは!と初めてご覧になった方はびっくりしますよね。
このような場面を目にしますと、神楽の〝舞台芸術化″、保存的伝承ではなく、創造的伝承もあるのだ、ということが実感されます。
最後は琴庄神楽団で「大江山」。
歴史ある大江山。
大江山の酒呑童子は都の人々、仏教・陰陽道を信仰する人々にとって「敵」でありますが彼らからしてみれば住む土地を奪ったあげく仲間だと言ってだまし毒酒を飲ませ、刀を抜いた頼光たちのほうが悪であり、都人こそが鬼であったはずです。
琴庄神楽団さんの「大江山」は、前半の鬼たちと頼光たちの宴が大変愉快にコミカルに描かれていることもあり非常に鬼たちへの同情の念がわいてきます。
「鬼に横道なきものを」という酒呑童子の最期に言ったとされる言葉には征服されていくことに対する悲痛な思いを感じることが出来ます。大江山には古代の鉄づくり、タタラの跡や銅の鉱脈があり、今から40年前に閉山された銀山もありました。
征服されるものとは土着の人々、あるいは山の神、はたまた自然そのもののことであったかもしれません。
こうやって鬼退治の物語を小難しく考えてみると時の権力者のあらゆる思惑や意図、のちの世の人々の苦し紛れの願望などが見え隠れして大変興味深いですね。
お知らせ
7月14日(日)に千代田開発センターで『月一の舞 神楽―台本作家―石丸賢太郎の世界』があります。沢山のご来場お待ちしております!
中川戸神楽団「茨木」。渡辺綱に左の腕を切り取られた茨木童子が腕を取り返しにきます。
さて、『茨木童子』、酒呑童子のもっとも重要な家来でありまして、大変ファンの多い鬼であります。そんなファンの皆さん、
中川戸神楽団さんのこの演目で見逃してはいけないのはやはり「一番最後」です!茨木童子が虚空飛天の妖術をもって大江山へと「飛び去り」ます!本当に飛び去ってしまいます!まさかここで浮かぶとは!と初めてご覧になった方はびっくりしますよね。
このような場面を目にしますと、神楽の〝舞台芸術化″、保存的伝承ではなく、創造的伝承もあるのだ、ということが実感されます。
最後は琴庄神楽団で「大江山」。
歴史ある大江山。
大江山の酒呑童子は都の人々、仏教・陰陽道を信仰する人々にとって「敵」でありますが彼らからしてみれば住む土地を奪ったあげく仲間だと言ってだまし毒酒を飲ませ、刀を抜いた頼光たちのほうが悪であり、都人こそが鬼であったはずです。
琴庄神楽団さんの「大江山」は、前半の鬼たちと頼光たちの宴が大変愉快にコミカルに描かれていることもあり非常に鬼たちへの同情の念がわいてきます。
「鬼に横道なきものを」という酒呑童子の最期に言ったとされる言葉には征服されていくことに対する悲痛な思いを感じることが出来ます。大江山には古代の鉄づくり、タタラの跡や銅の鉱脈があり、今から40年前に閉山された銀山もありました。
征服されるものとは土着の人々、あるいは山の神、はたまた自然そのもののことであったかもしれません。
こうやって鬼退治の物語を小難しく考えてみると時の権力者のあらゆる思惑や意図、のちの世の人々の苦し紛れの願望などが見え隠れして大変興味深いですね。
お知らせ
7月14日(日)に千代田開発センターで『月一の舞 神楽―台本作家―石丸賢太郎の世界』があります。沢山のご来場お待ちしております!
2013,06,30 Sun 22:37
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皆さんこんにちは!梅雨に突入いたしました。いかがお過ごしでしょうか?
さて、5月19日(日)に広島市中区のアステールプラザ中ホールで『アステールプラザ神楽鑑賞会』がありました。この日は一日天気が悪かったのですが中ホールの前には午後の開場前からかぐらー(?)の皆さんの大行列ができていました。
今回はそんな雨にも負けない熱気溢れる鑑賞会を二度に分けて報告していきたいと思います。
ところで皆さん、広島の神楽にとって「鬼」というのは切っても切り離せない存在ですよね?(上手く言ったつもりじゃないですよ?) 子供の頃は怖いと思っていた人も、いつの間にか空想上の存在であるのだと理解していく、けれどテレビなんかで「これが鬼のミイラだ!」なんてことをやっているのを観たら「やっぱりどこかにいた(いる)のかも・・」なんてロマンを懐いたりして。
しかし、今回は学問的に〈鬼〉=「時の権力者が時代に服従わぬもの(朝廷から隠れて鉱山で働く者、鉄作りをして武器や農具を蓄える地方の豪族等)をそう呼ぶことによって彼らの虐殺と略奪を正当化した」という見解をベースに神楽を観ていくことにします。
まず、はじめは宮乃木神楽団で新作「大和葛城」。この演目は「土蜘蛛」「葛城山」の演目として広く受け継がれてきたものを宮乃木神楽団さんが独自の視点と解釈から演目の再構成をしたものです。
暗い舞台から一際威光を放つ威厳たっぷりの頼光の登場から始まります。
話は中盤、
「汝知らずや我昔大和朝廷に服従わざる者ならば綱に絡められ滅び死ぬ者なり、いかに頼光、我等あじわいたる、地を這い土を喰う苦しさを、思い知れ」
迫力ある、心にグサッとくるこの口上、これこそが今回の鬼の叫び、土蜘蛛の叫びです。土蜘蛛とは、元は葛城氏などの有力な豪族が朝廷との戦いに敗れ葛城山へと逃げ隠れ住むようになり、そのような歴史の表舞台から消されながらも生き延びて天下を脅かす者たちを大和国家側が異族視して呼んだものです。
今回の宮乃木神楽団さんによる新作大和葛城、ご覧になった皆さんにはそんな蔑まれた彼らの憎しみと怒りの叫びがきっと聞こえたことでしょう。
続いて、琴庄神楽団「山姥 (やまうば、やまんば)」。この演目は金太郎、そう、坂田金時誕生の物語です。坂田金時といえばあの源頼光の四天王の一人です。金太郎出生には諸説ありますが、母親が山姥であるという伝説があります。
また、金時は、腹かけ姿(金太郎を想像してください)は鍛冶を象徴し、王の文字はマサカリの象形文字であること、伝承の地には鉄づくり・タタラ跡や銅山の跡が残されていることからいち早く鉄文化を手に入れた豪族であるとも考えられます。さてそんな金時がどのような経緯で頼光に見いだされるのでしょうか。
琴庄神楽団の山姥は、信州の明山で山賊となった血の気多い金時=怪童丸の物語から始まります。
この演目で注目は金時=怪童丸と母の別れの場面です。たびたび神楽では別れの場面が描かれますが、今回もとても素敵な別れの場面を見せて頂きました。
怪童丸=金時の舞は、これから立派に仕えていくであろうことが想像できる力強い舞でしたね。
後半に続く・・・・
さて、5月19日(日)に広島市中区のアステールプラザ中ホールで『アステールプラザ神楽鑑賞会』がありました。この日は一日天気が悪かったのですが中ホールの前には午後の開場前からかぐらー(?)の皆さんの大行列ができていました。
今回はそんな雨にも負けない熱気溢れる鑑賞会を二度に分けて報告していきたいと思います。
ところで皆さん、広島の神楽にとって「鬼」というのは切っても切り離せない存在ですよね?(上手く言ったつもりじゃないですよ?) 子供の頃は怖いと思っていた人も、いつの間にか空想上の存在であるのだと理解していく、けれどテレビなんかで「これが鬼のミイラだ!」なんてことをやっているのを観たら「やっぱりどこかにいた(いる)のかも・・」なんてロマンを懐いたりして。
しかし、今回は学問的に〈鬼〉=「時の権力者が時代に服従わぬもの(朝廷から隠れて鉱山で働く者、鉄作りをして武器や農具を蓄える地方の豪族等)をそう呼ぶことによって彼らの虐殺と略奪を正当化した」という見解をベースに神楽を観ていくことにします。
まず、はじめは宮乃木神楽団で新作「大和葛城」。この演目は「土蜘蛛」「葛城山」の演目として広く受け継がれてきたものを宮乃木神楽団さんが独自の視点と解釈から演目の再構成をしたものです。
暗い舞台から一際威光を放つ威厳たっぷりの頼光の登場から始まります。
話は中盤、
「汝知らずや我昔大和朝廷に服従わざる者ならば綱に絡められ滅び死ぬ者なり、いかに頼光、我等あじわいたる、地を這い土を喰う苦しさを、思い知れ」
迫力ある、心にグサッとくるこの口上、これこそが今回の鬼の叫び、土蜘蛛の叫びです。土蜘蛛とは、元は葛城氏などの有力な豪族が朝廷との戦いに敗れ葛城山へと逃げ隠れ住むようになり、そのような歴史の表舞台から消されながらも生き延びて天下を脅かす者たちを大和国家側が異族視して呼んだものです。
今回の宮乃木神楽団さんによる新作大和葛城、ご覧になった皆さんにはそんな蔑まれた彼らの憎しみと怒りの叫びがきっと聞こえたことでしょう。
続いて、琴庄神楽団「山姥 (やまうば、やまんば)」。この演目は金太郎、そう、坂田金時誕生の物語です。坂田金時といえばあの源頼光の四天王の一人です。金太郎出生には諸説ありますが、母親が山姥であるという伝説があります。
また、金時は、腹かけ姿(金太郎を想像してください)は鍛冶を象徴し、王の文字はマサカリの象形文字であること、伝承の地には鉄づくり・タタラ跡や銅山の跡が残されていることからいち早く鉄文化を手に入れた豪族であるとも考えられます。さてそんな金時がどのような経緯で頼光に見いだされるのでしょうか。
琴庄神楽団の山姥は、信州の明山で山賊となった血の気多い金時=怪童丸の物語から始まります。
この演目で注目は金時=怪童丸と母の別れの場面です。たびたび神楽では別れの場面が描かれますが、今回もとても素敵な別れの場面を見せて頂きました。
怪童丸=金時の舞は、これから立派に仕えていくであろうことが想像できる力強い舞でしたね。
後半に続く・・・・
2013,06,30 Sun 21:47
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6月2日(日)に千代田開発センターで、『壬生の花田植協賛神楽公演―ふるさとの神楽―』がありました。
大勢の皆さんが雨の中、遠いところではなんと滋賀県からはるばるとお越しくださいました!
壬生の花田植といえば平成23年にユネスコの世界無形文化遺産として登録されたことで有名です。今回の月一は世界に誇る貴重な文化資源の一つである壬生の花田植と協賛ということで、千代田開発センターから、花田植の会場付近である、壬生商店街入り口まで無料シャトルバスも用意されました。
それにしても壬生地区というのは1年を通して神々とともに生きる文化が沢山残っているとても素敵な地域だなあって改めて思いますね。
では、報告に入ります!
八岐大蛇は中国山地の山々から流れ出した川のことである、とよく言われます。
いつの時代も人間にとって水は無くてはならない存在であると同時に時に牙をむく恐ろしい存在でもあります。
ということでまずは、山王神楽団「八岐大蛇」。
今回、「あ!いいな」と思ったのは、お馴染みの「実はアクロバティックおばあちゃん(勝手に付けました)」の登場の時です。一生懸命翁のあとをついて歩いている(省略)おばあちゃんに会場から「がんばれよ!」の声が。やっぱりいいですね。観客と舞台の一体感、ふるさとの温かさですよ。
それにしても個人的に、山王神楽団さんの白い大蛇さんが可愛く思えて仕方がありませんでした。たぶんこれほど愛着湧くのもそれだけ面に表情があるっていうことなのでしょうか。
続いて中川戸神楽団「土蜘蛛」。中川戸神楽団さんの土蜘蛛では、「病に苦しむ頼光のために侍女胡蝶が典薬頭(てんやくのかみ)に身薬をもらいに行くが、実は典薬頭(てんやくのかみ)は土蜘蛛が化けていたものでしめしめと土蜘蛛は胡蝶になりかわる」、という場面が詳細に描かれています。中川戸神楽団さんの神楽はなるほどこういう解釈もあるのか!といつも驚かされることが多いです!
激しい野望がうかがえる変化には会場の気分も盛り上がりました!
ところで、この土蜘蛛の伝説のふるさと葛城山のふもとに建てられた神社の境内には、「蜘蛛塚」というのがあるそうですよ。
お次は大塚神楽団「道成寺(どうじょうじ)」。
この物語は、安珍という修行僧が熊野権現へお参りの途中に立ち寄った紀伊の国の宿で、宿の娘清姫に恋心をいだかれ、「参拝のあとにもう一度戻ってくるから」と言っておきながらそのまま奥州に逃げようとする・・が・・・というものです。
激しい恋心がときに女を蛇に変える!!!人生経験の豊かな観客の皆さんはもしかしたら思うところもあったかもしれません。彼女が火をはく姿は夢にも出そうな迫力でした。
だけどこの物語、怖いだけでは終わらないんです。ぜひ最後までご覧あれ!
最後は琴庄神楽団「羅生門」。(やむを得ない事情のため予定していた「滝夜叉姫」から演目の変更がありました。)
琴庄神楽団さんの羅生門は前日の中国地方選抜神楽競演大会におきまして見事準優勝に輝きました。ほやほやの羅生門ごちになりました!
ということで「さすが!」と、叫ばずにはいられなかったのは、酒呑童子が白妙に乗り移る瞬間、離れる瞬間!
白妙に乗り移った酒呑童子じゃありませんが「冥土の土産にお見せくださいやの」なすごい早変わりでした。
大勢の皆さんが雨の中、遠いところではなんと滋賀県からはるばるとお越しくださいました!
壬生の花田植といえば平成23年にユネスコの世界無形文化遺産として登録されたことで有名です。今回の月一は世界に誇る貴重な文化資源の一つである壬生の花田植と協賛ということで、千代田開発センターから、花田植の会場付近である、壬生商店街入り口まで無料シャトルバスも用意されました。
それにしても壬生地区というのは1年を通して神々とともに生きる文化が沢山残っているとても素敵な地域だなあって改めて思いますね。
では、報告に入ります!
八岐大蛇は中国山地の山々から流れ出した川のことである、とよく言われます。
いつの時代も人間にとって水は無くてはならない存在であると同時に時に牙をむく恐ろしい存在でもあります。
ということでまずは、山王神楽団「八岐大蛇」。
今回、「あ!いいな」と思ったのは、お馴染みの「実はアクロバティックおばあちゃん(勝手に付けました)」の登場の時です。一生懸命翁のあとをついて歩いている(省略)おばあちゃんに会場から「がんばれよ!」の声が。やっぱりいいですね。観客と舞台の一体感、ふるさとの温かさですよ。
それにしても個人的に、山王神楽団さんの白い大蛇さんが可愛く思えて仕方がありませんでした。たぶんこれほど愛着湧くのもそれだけ面に表情があるっていうことなのでしょうか。
続いて中川戸神楽団「土蜘蛛」。中川戸神楽団さんの土蜘蛛では、「病に苦しむ頼光のために侍女胡蝶が典薬頭(てんやくのかみ)に身薬をもらいに行くが、実は典薬頭(てんやくのかみ)は土蜘蛛が化けていたものでしめしめと土蜘蛛は胡蝶になりかわる」、という場面が詳細に描かれています。中川戸神楽団さんの神楽はなるほどこういう解釈もあるのか!といつも驚かされることが多いです!
激しい野望がうかがえる変化には会場の気分も盛り上がりました!
ところで、この土蜘蛛の伝説のふるさと葛城山のふもとに建てられた神社の境内には、「蜘蛛塚」というのがあるそうですよ。
お次は大塚神楽団「道成寺(どうじょうじ)」。
この物語は、安珍という修行僧が熊野権現へお参りの途中に立ち寄った紀伊の国の宿で、宿の娘清姫に恋心をいだかれ、「参拝のあとにもう一度戻ってくるから」と言っておきながらそのまま奥州に逃げようとする・・が・・・というものです。
激しい恋心がときに女を蛇に変える!!!人生経験の豊かな観客の皆さんはもしかしたら思うところもあったかもしれません。彼女が火をはく姿は夢にも出そうな迫力でした。
だけどこの物語、怖いだけでは終わらないんです。ぜひ最後までご覧あれ!
最後は琴庄神楽団「羅生門」。(やむを得ない事情のため予定していた「滝夜叉姫」から演目の変更がありました。)
琴庄神楽団さんの羅生門は前日の中国地方選抜神楽競演大会におきまして見事準優勝に輝きました。ほやほやの羅生門ごちになりました!
ということで「さすが!」と、叫ばずにはいられなかったのは、酒呑童子が白妙に乗り移る瞬間、離れる瞬間!
白妙に乗り移った酒呑童子じゃありませんが「冥土の土産にお見せくださいやの」なすごい早変わりでした。
2013,06,19 Wed 22:19
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