本格的な春の神楽シーズンを迎え、いよいよ競演大会も始まりました。その一つ「春選抜 第7回吉和神楽競演大会」が、県立もみのき森林公園で行われました。
新舞の部で優勝されたのは、北広島町の中川戸神楽団で、演目は「土蜘蛛」でした。去年の夏ごろから、それまでと違う演出やメンバーで取り組まれ、見事にこの大会で結果を出されました。何より、若い方が中心となった構成で、このような実績を残せたことは、これから神楽団にとって大きな自信となられることと思います。胡蝶を舞われた方の素晴らしい演技、若さ溢れるテンポの速い立ち合いなど、いろんないいところが一つになったような出来栄えでした。
準優勝は、美土里町の神幸神楽団「滝夜叉姫」。こちらはやはり、滝夜叉姫を舞われた方が素晴らしかったですね。面の早変わりもあっという間で、客席からも大きな拍手、歓声があがっていました。最後、滝夜叉姫が討ち取られる場面は、「父の恨みを晴らせなかった」という無念さが、見ている側にも強く伝わるような演出、演技で、見ていて感動された方も多いのではないでしょうか。
旧舞の部での優勝は、安芸太田町の梶原神楽団「天の岩戸」。個人的には、見終わった直後に「あぁ、ここが優勝じゃないかな」と思ったほどの素晴らしい神楽でした。舞、楽、セリフなど、どれをとっても本当によかったですね。児屋根命と太玉命が岩戸の前に向かう場面では、独特な楽の音に、思わず身体が動いてしまいました。もちろん、最大の見せ場である手力男命の舞も、力強くて手に力が入るようだったりなど、舞う側と見る側とが一つになった一体感を味わえました。
準優勝は北広島町の上石神楽団「天神」。鬼などが出てこないし、立ち合いよりも和歌の掛け合いが見どころだったりと、あまり見栄えのする演目ではないかもしれません。セリフもちょっと難しかったりするんですが、あらすじはみなさんよくご存知だと思いますので、「よくわからない」という先入観を捨てて、ぜひじっくりご覧いただきたいですね。神と悪の息のそろった舞が印象的でした。
そのほか個人的に注目したのは、後野神楽社中「五神」。研究コラムでも特集させていただいたので、ファンのみなさんに少しはお役に立ったかと思います。上演前に少し楽屋でお話をする機会があったのですが、実は「五神」は儀式舞ではなく、本来は祭において、大蛇の後に舞われるんだそうです。以前こちらで「娯楽性のある儀式舞」とご紹介してしまったので、ここに訂正してお詫び申し上げます。今回の上演は35分の短縮バージョンということだったのですが、やはりこの演目に35分は短すぎますね。それでも、石見にはこういう神楽もある、ということを広島のファンのみなさんにアピールしてくださった後野神楽社中さんに感謝したいですね。
それともう一つ、初めて拝見した演目がありました。玖島(くじま)神楽団の「虎菊(とらぎく)姫」。これは地元廿日市市の重要文化財「小田家文書」を題材にされた、創作神楽なんだそうです。これも神楽団の方にお話を伺ったのですが、もとはある小学校の先生が、児童のみなさんに神楽に触れてもらおうと作られたもので、それを現在、神楽団の演目として舞われている、との事でした。その当時小学校で舞っていた方が、成長されて今は団員としてこの演目に取り組まれている、ということで、まさに神楽が広まった一つの成功例ではないでしょうか。
今年は思ったより寒くならず、比較的過ごしやすかったようですね。会場付近にはいろいろお店が出ていて、利用された方もたくさんおられたことと思います。自分はうどんを食べたのですが、とってもおいしかったですよ!今年優勝された神楽団は、来年の大会で特別出演されることが決まっておりますので、どうぞみなさん、来年も吉和にお越しください。
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新舞の部で優勝されたのは、北広島町の中川戸神楽団で、演目は「土蜘蛛」でした。去年の夏ごろから、それまでと違う演出やメンバーで取り組まれ、見事にこの大会で結果を出されました。何より、若い方が中心となった構成で、このような実績を残せたことは、これから神楽団にとって大きな自信となられることと思います。胡蝶を舞われた方の素晴らしい演技、若さ溢れるテンポの速い立ち合いなど、いろんないいところが一つになったような出来栄えでした。
準優勝は、美土里町の神幸神楽団「滝夜叉姫」。こちらはやはり、滝夜叉姫を舞われた方が素晴らしかったですね。面の早変わりもあっという間で、客席からも大きな拍手、歓声があがっていました。最後、滝夜叉姫が討ち取られる場面は、「父の恨みを晴らせなかった」という無念さが、見ている側にも強く伝わるような演出、演技で、見ていて感動された方も多いのではないでしょうか。
旧舞の部での優勝は、安芸太田町の梶原神楽団「天の岩戸」。個人的には、見終わった直後に「あぁ、ここが優勝じゃないかな」と思ったほどの素晴らしい神楽でした。舞、楽、セリフなど、どれをとっても本当によかったですね。児屋根命と太玉命が岩戸の前に向かう場面では、独特な楽の音に、思わず身体が動いてしまいました。もちろん、最大の見せ場である手力男命の舞も、力強くて手に力が入るようだったりなど、舞う側と見る側とが一つになった一体感を味わえました。
準優勝は北広島町の上石神楽団「天神」。鬼などが出てこないし、立ち合いよりも和歌の掛け合いが見どころだったりと、あまり見栄えのする演目ではないかもしれません。セリフもちょっと難しかったりするんですが、あらすじはみなさんよくご存知だと思いますので、「よくわからない」という先入観を捨てて、ぜひじっくりご覧いただきたいですね。神と悪の息のそろった舞が印象的でした。
そのほか個人的に注目したのは、後野神楽社中「五神」。研究コラムでも特集させていただいたので、ファンのみなさんに少しはお役に立ったかと思います。上演前に少し楽屋でお話をする機会があったのですが、実は「五神」は儀式舞ではなく、本来は祭において、大蛇の後に舞われるんだそうです。以前こちらで「娯楽性のある儀式舞」とご紹介してしまったので、ここに訂正してお詫び申し上げます。今回の上演は35分の短縮バージョンということだったのですが、やはりこの演目に35分は短すぎますね。それでも、石見にはこういう神楽もある、ということを広島のファンのみなさんにアピールしてくださった後野神楽社中さんに感謝したいですね。
それともう一つ、初めて拝見した演目がありました。玖島(くじま)神楽団の「虎菊(とらぎく)姫」。これは地元廿日市市の重要文化財「小田家文書」を題材にされた、創作神楽なんだそうです。これも神楽団の方にお話を伺ったのですが、もとはある小学校の先生が、児童のみなさんに神楽に触れてもらおうと作られたもので、それを現在、神楽団の演目として舞われている、との事でした。その当時小学校で舞っていた方が、成長されて今は団員としてこの演目に取り組まれている、ということで、まさに神楽が広まった一つの成功例ではないでしょうか。
今年は思ったより寒くならず、比較的過ごしやすかったようですね。会場付近にはいろいろお店が出ていて、利用された方もたくさんおられたことと思います。自分はうどんを食べたのですが、とってもおいしかったですよ!今年優勝された神楽団は、来年の大会で特別出演されることが決まっておりますので、どうぞみなさん、来年も吉和にお越しください。
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2007,04,29 Sun 21:07
コメント
寿パパ さん、コメントありがとうございます。
この記事を見ることができてよかった、と言っていただけて嬉しいです。
そうですね、三和での上演よりもさらによかったと思います。
同じ演目でも、洗練されていく過程を見ることができるのも、神楽の魅力の一つなんでしょうね。
またコメントお願いします。
この記事を見ることができてよかった、と言っていただけて嬉しいです。
そうですね、三和での上演よりもさらによかったと思います。
同じ演目でも、洗練されていく過程を見ることができるのも、神楽の魅力の一つなんでしょうね。
またコメントお願いします。
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/04/29 22:54 | BFfnvy1Y |
吉和に行きたかったのですが、都合がつかず行くことが出来ませんでしたがこの記事を見ることができて良かったです。中川戸さんの「土蜘蛛」は三和で見させていただいたのですが、この度優勝されたと言う事は、完成度が増していたのでしょうね。ぜひ見たかったです。他の神楽団も素晴らしいものだったのでしょうね。行けなくて本当に残念です。これからも頑張ってください!
| 寿パパ | EMAIL | URL | 07/04/29 22:48 | mqlrLpO6 |
リロっちさん、コメントありがとうございます。
写真撮影禁止でしたので、神楽の写真がないのが残念です。
ですが、よく伝わったと言っていただけて嬉しく思います。
ぜひ来年は行ってみてくださいね☆
写真撮影禁止でしたので、神楽の写真がないのが残念です。
ですが、よく伝わったと言っていただけて嬉しく思います。
ぜひ来年は行ってみてくださいね☆
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/04/29 22:30 | BFfnvy1Y |
見に行けなくて大変残念に思います・・・。
ですが、どう良かったのかなどよく伝わり、読んでいてやっぱり行けば良かったと・・・(^^;
来年は是非行きたいです!!
皆様、ホントにお疲れ様でした♪
ですが、どう良かったのかなどよく伝わり、読んでいてやっぱり行けば良かったと・・・(^^;
来年は是非行きたいです!!
皆様、ホントにお疲れ様でした♪
| リロっち | EMAIL | URL | 07/04/29 22:22 | cutPHNpc |
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