7月18日は広島市の広島国際会議場フェニックスホールで「RCC神楽スペシャル」が行われました。今年のテーマは「伝説の地を訪ねて」ということで、上演された神楽それぞれの物語の舞台となった地を、ステージに設置されたスクリーンで紹介するという試みがなされました。いつもは上演前のあらすじだけですが、それに映像を加えることによってみなさんに物語がよりわかりやすくなってのではないかと思います。今までおぼろげだったところが詳しくわかれば、またさらに神楽が面白く感じるという効果もあったことでしょう。神楽イベントに慣れ親しんだ方でも、今回のステージはかなり新鮮だったのではないでしょうか。また神楽の上演中には、その模様をビデオ収録されていた(有)キャビネットさんの映像がそのスクリーンに映し出されていました。特にアップの映像などは、後ろや2階席のお客さんにもよく見えて便利だったのではないでしょうか?? それでは演目のご紹介です。
まず最初の儀式舞は中川戸神楽団「神迎へ」。四人の舞手さんによる厳かな舞が淡々と繰り広げられます。そして儀式舞独特の楽のリズムに神楽歌。時折フワリと舞う袖も、儀式舞ならではの風情が感じられると思います。そして神楽を構成する大事な要素である陰陽五行思想が色濃く反映されているのも、こういった舞の特徴ですね。舞手さんの動きを見ても、右から左へ、左から右へ…ではなく、東から南へ、春から夏へ。我々日本人の祖先が大事にしてきた思いや願い、それらが伝統芸能という形でしっかりと今日まで伝承されているということ。まさに神楽は地域にとって宝物と言えると思います。こういった魅力があるからこそ、文明が進んだ現在でさえも、神楽は多くの人を魅了するのだと改めて感じました。
そして富士神楽団「滝夜叉姫」。福島県いわき市にある恵日寺(えにちじ)は、天慶の乱で敗れた平将門の三女である瀧姫の物語が残されています。一族でただ一人生き残った瀧姫は、この寺に辿り着き、八十余歳の生涯を閉じるまで一族の冥福を祈り続けたと伝えられているそうです。この神楽でも、鬼と成り変わってはいますが、やはり全編を通じて父の無念を晴らしたいという滝夜叉姫の思いが強く感じられます。恨みを晴らしたいが女の自分には力が足りない…そんなか弱い姫の様子、そして妖術を授かり鬼と化した様子、舞い方はもちろん細かい面の早変わりでも見事に演出されていたと思います。その変化の様子も、大きく映し出されたスクリーンでみなさんしっかりとご覧いただけたのではないでしょうか。
続いて梶矢神楽団「山伏」も、福島県がその舞台として紹介されました。こちらは恐ろしい安達ヶ原の鬼婆の物語です。旅の女を自分の娘とは知らずに殺めてしまった老婆は、気が狂ってしまい、ついには旅人を襲う鬼婆となってしまいます。上演前の紹介映像では、江戸時代に描かれたというこの伝説の絵巻物も登場し、その残酷な場面もリアルに描写されているところは、思わずぞっとされた方も多かったことでしょう。この「山伏」という演目は、そういった場面はありません。しかし狐の台詞には、食い荒らした旅人の骨が住処に散乱しているという部分もあり、ここで先ほどの映像が思い起こされてまたゾゾっとするようなところもありました。ですがやはり、この演目の最大の見所は台詞や歌の掛け合いでしょうね。山伏と剛力のコミカルな掛け合いもみなさん楽しまれたことと思います。
以上、前半3演目のご紹介でした。「その2」で残りの4演目をご紹介しようと思います。
まず最初の儀式舞は中川戸神楽団「神迎へ」。四人の舞手さんによる厳かな舞が淡々と繰り広げられます。そして儀式舞独特の楽のリズムに神楽歌。時折フワリと舞う袖も、儀式舞ならではの風情が感じられると思います。そして神楽を構成する大事な要素である陰陽五行思想が色濃く反映されているのも、こういった舞の特徴ですね。舞手さんの動きを見ても、右から左へ、左から右へ…ではなく、東から南へ、春から夏へ。我々日本人の祖先が大事にしてきた思いや願い、それらが伝統芸能という形でしっかりと今日まで伝承されているということ。まさに神楽は地域にとって宝物と言えると思います。こういった魅力があるからこそ、文明が進んだ現在でさえも、神楽は多くの人を魅了するのだと改めて感じました。
そして富士神楽団「滝夜叉姫」。福島県いわき市にある恵日寺(えにちじ)は、天慶の乱で敗れた平将門の三女である瀧姫の物語が残されています。一族でただ一人生き残った瀧姫は、この寺に辿り着き、八十余歳の生涯を閉じるまで一族の冥福を祈り続けたと伝えられているそうです。この神楽でも、鬼と成り変わってはいますが、やはり全編を通じて父の無念を晴らしたいという滝夜叉姫の思いが強く感じられます。恨みを晴らしたいが女の自分には力が足りない…そんなか弱い姫の様子、そして妖術を授かり鬼と化した様子、舞い方はもちろん細かい面の早変わりでも見事に演出されていたと思います。その変化の様子も、大きく映し出されたスクリーンでみなさんしっかりとご覧いただけたのではないでしょうか。
続いて梶矢神楽団「山伏」も、福島県がその舞台として紹介されました。こちらは恐ろしい安達ヶ原の鬼婆の物語です。旅の女を自分の娘とは知らずに殺めてしまった老婆は、気が狂ってしまい、ついには旅人を襲う鬼婆となってしまいます。上演前の紹介映像では、江戸時代に描かれたというこの伝説の絵巻物も登場し、その残酷な場面もリアルに描写されているところは、思わずぞっとされた方も多かったことでしょう。この「山伏」という演目は、そういった場面はありません。しかし狐の台詞には、食い荒らした旅人の骨が住処に散乱しているという部分もあり、ここで先ほどの映像が思い起こされてまたゾゾっとするようなところもありました。ですがやはり、この演目の最大の見所は台詞や歌の掛け合いでしょうね。山伏と剛力のコミカルな掛け合いもみなさん楽しまれたことと思います。
以上、前半3演目のご紹介でした。「その2」で残りの4演目をご紹介しようと思います。
2010,07,19 Mon 00:11
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