2月13日は千代田開発センターで「月一の舞」が行われました。今回のテーマは「仁・義・礼 神楽の物語」。親子、兄弟、君臣など、いろいろな関係における絆や愛といった、人の心に強く訴える物語が、神楽の中で語られます。そんな熱い4演目のご紹介です。
まずは原田神楽団「桜井の駅」。後醍醐(ごだいご)天皇に味方した楠木正成(くすのきまさしげ)は、足利軍と戦うために弟の正季(まさすえ)とともに出陣します。最初の神の舞はとても落ち着いた舞で、まさにこれから死地に赴く(おもむく)という印象を受けました。奏楽も静かに響き渡るような感じで、二人の秘めた覚悟を表しているように思いました。そんな序盤の雰囲気が、中盤に設けられた親子別れの場面をより一層感動的にしているのでしょう。死んでも親について行きたいという、息子正行(まさつら)の必死の思い、その気持ちを十分に理解しながらも追い返す正成。上演前の団員の方のお話でも、「合戦を短くしてでも別れの場面を」ということでしたので、きっと見ているみなさんにもその情熱が伝わったことと思います。
続いて梶矢神楽団「勿来(なこそ)の関」。この神楽のぶろぐに初登場の演目ですが、今回初めてご覧になった方も多くおられたことと思います。源義家(みなもとのよしいえ)が安倍貞任(あべのさだとう)とその弟、宗任(むねとう)を討つという物語で、歴史では前九年の役にあたります。しかし神楽では、義家が安倍氏討伐に向かう途中で、安達ヶ原の鬼女お岩を退治するというエピソードが追加されています。さらに安達ヶ原の案内をするチャリ役まで登場し、バラエティ豊かな内容で楽しませてくださいました。中でも鬼女お岩はあっと驚く手法で変化し、きっと多くの方がその恐ろしい顔に釘付けになられたことでしょう!初めてご覧になった方には強烈なインパクトだったと思います…。そしてお岩を退治した後は安倍氏と合戦、これにも勝利するのですが、注目は最後の最後。兄の貞任は討ち取られますが弟の宗任は降伏します。義家は文武両道に長けた宗任を討つのは惜しいとして、源家に仕えるように言い渡します。命を救ってもらった礼として忠義を尽くすというドラマが最後に待っていました。
前九年の役に続いて起こったのが後三年の役、これを舞台にしたのが宮乃木神楽団「新羅三郎(しんらさぶろう)」です。前九年の役では出羽(でわ)国の豪族、清原氏の加勢を得て安倍氏を討伐した義家でしたが、今度はその清原一族の内乱を治める戦いへ参戦。しかし清原家衡(いえひら)と武衡(たけひら)の軍勢の前に苦戦を強いられます。それを聞いた義家の弟、新羅三郎源義光(よしみつ)は京を離れ奥州へと向かいます。その途中、義光を慕う豊原時秋(とよはらのときあき)が参戦を願い出ますが、義光はこれを諭(さと)します。「桜井の駅」と同じように、行く者と帰る者の別れの場面が、二人の絆を結ぶ笙(しょう)の秘曲と共に演じられました。そして別れの後は出会い。兄義家と弟義光の再会で、物語はいよいよクライマックスへ。弟の参戦で「百万の軍勢を得た」と勢いづく義家らと家衡・武衡の激しい合戦。「いかに叔父上!」と残して討たれた家衡の最期を目の当たりにした武衡。その怒り狂う様子にも思わず胸が熱くなりました。
そして最後は浜田市の後野神楽社中「鏡山」。地元に残る「烈女お初」の物語を神楽化したものです。侮辱を受けて自害した主の仇を討つという、日本人にお馴染みの「忠臣蔵」に通じる物語がこの神楽の元になっています。尾上(おのえ)に仕えるお初(おはつ)、そして尾上を自害に追いやった岩藤(いわふじ)と諏訪(すわ)、登場人物はすべて女性。しかしそれぞれの舞は実に個性的で、見ていて非常に興味深いと思います。そして岩藤が魅せる面の早変わりもこの演目の見どころ。どれも印象的な面で、特に物語が進むにつれて段々と恐ろしい面になってくるところにこだわりを感じました。そしてその悪役の存在感が、主役のお初をさらに引き立たせ、その舞はより凛々しく力強く見えましたね。主の仇を討ち、そして舞い終えてピシっと一点を見つめる姿は、今回のテーマを改めて考えさせてくださいました。
そして上演後は恒例の撮影会で、今回は後野神楽社中さんが登場。神楽の中では激しく戦ったお初と岩藤の怨霊が仲良く?協力してくださいました。これは貴重な写真が撮れたのではないでしょうか。先月ほどではありませんでしたが、大雪に見舞われた今回の月一。さらに開発センターの空調も故障して、会場内は外と変わらぬくらいの寒さに。しかしそんな中、最後まで応援してくださったファンのみなさんが、大勢おられたことはとても嬉しかったですね。同じく寒い中、しっかりと舞い切った神楽団の熱演に、途中で帰ることなく最後まで拍手を送られていた光景に、ここにも今回のテーマ「仁・義・礼」を見た気がしました。さて来月の月一は年度を締めくくる開催となります。たくさんの方のご来場をお待ちしております。
まずは原田神楽団「桜井の駅」。後醍醐(ごだいご)天皇に味方した楠木正成(くすのきまさしげ)は、足利軍と戦うために弟の正季(まさすえ)とともに出陣します。最初の神の舞はとても落ち着いた舞で、まさにこれから死地に赴く(おもむく)という印象を受けました。奏楽も静かに響き渡るような感じで、二人の秘めた覚悟を表しているように思いました。そんな序盤の雰囲気が、中盤に設けられた親子別れの場面をより一層感動的にしているのでしょう。死んでも親について行きたいという、息子正行(まさつら)の必死の思い、その気持ちを十分に理解しながらも追い返す正成。上演前の団員の方のお話でも、「合戦を短くしてでも別れの場面を」ということでしたので、きっと見ているみなさんにもその情熱が伝わったことと思います。
続いて梶矢神楽団「勿来(なこそ)の関」。この神楽のぶろぐに初登場の演目ですが、今回初めてご覧になった方も多くおられたことと思います。源義家(みなもとのよしいえ)が安倍貞任(あべのさだとう)とその弟、宗任(むねとう)を討つという物語で、歴史では前九年の役にあたります。しかし神楽では、義家が安倍氏討伐に向かう途中で、安達ヶ原の鬼女お岩を退治するというエピソードが追加されています。さらに安達ヶ原の案内をするチャリ役まで登場し、バラエティ豊かな内容で楽しませてくださいました。中でも鬼女お岩はあっと驚く手法で変化し、きっと多くの方がその恐ろしい顔に釘付けになられたことでしょう!初めてご覧になった方には強烈なインパクトだったと思います…。そしてお岩を退治した後は安倍氏と合戦、これにも勝利するのですが、注目は最後の最後。兄の貞任は討ち取られますが弟の宗任は降伏します。義家は文武両道に長けた宗任を討つのは惜しいとして、源家に仕えるように言い渡します。命を救ってもらった礼として忠義を尽くすというドラマが最後に待っていました。
前九年の役に続いて起こったのが後三年の役、これを舞台にしたのが宮乃木神楽団「新羅三郎(しんらさぶろう)」です。前九年の役では出羽(でわ)国の豪族、清原氏の加勢を得て安倍氏を討伐した義家でしたが、今度はその清原一族の内乱を治める戦いへ参戦。しかし清原家衡(いえひら)と武衡(たけひら)の軍勢の前に苦戦を強いられます。それを聞いた義家の弟、新羅三郎源義光(よしみつ)は京を離れ奥州へと向かいます。その途中、義光を慕う豊原時秋(とよはらのときあき)が参戦を願い出ますが、義光はこれを諭(さと)します。「桜井の駅」と同じように、行く者と帰る者の別れの場面が、二人の絆を結ぶ笙(しょう)の秘曲と共に演じられました。そして別れの後は出会い。兄義家と弟義光の再会で、物語はいよいよクライマックスへ。弟の参戦で「百万の軍勢を得た」と勢いづく義家らと家衡・武衡の激しい合戦。「いかに叔父上!」と残して討たれた家衡の最期を目の当たりにした武衡。その怒り狂う様子にも思わず胸が熱くなりました。
そして最後は浜田市の後野神楽社中「鏡山」。地元に残る「烈女お初」の物語を神楽化したものです。侮辱を受けて自害した主の仇を討つという、日本人にお馴染みの「忠臣蔵」に通じる物語がこの神楽の元になっています。尾上(おのえ)に仕えるお初(おはつ)、そして尾上を自害に追いやった岩藤(いわふじ)と諏訪(すわ)、登場人物はすべて女性。しかしそれぞれの舞は実に個性的で、見ていて非常に興味深いと思います。そして岩藤が魅せる面の早変わりもこの演目の見どころ。どれも印象的な面で、特に物語が進むにつれて段々と恐ろしい面になってくるところにこだわりを感じました。そしてその悪役の存在感が、主役のお初をさらに引き立たせ、その舞はより凛々しく力強く見えましたね。主の仇を討ち、そして舞い終えてピシっと一点を見つめる姿は、今回のテーマを改めて考えさせてくださいました。
そして上演後は恒例の撮影会で、今回は後野神楽社中さんが登場。神楽の中では激しく戦ったお初と岩藤の怨霊が仲良く?協力してくださいました。これは貴重な写真が撮れたのではないでしょうか。先月ほどではありませんでしたが、大雪に見舞われた今回の月一。さらに開発センターの空調も故障して、会場内は外と変わらぬくらいの寒さに。しかしそんな中、最後まで応援してくださったファンのみなさんが、大勢おられたことはとても嬉しかったですね。同じく寒い中、しっかりと舞い切った神楽団の熱演に、途中で帰ることなく最後まで拍手を送られていた光景に、ここにも今回のテーマ「仁・義・礼」を見た気がしました。さて来月の月一は年度を締めくくる開催となります。たくさんの方のご来場をお待ちしております。
2011,02,15 Tue 00:24
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1月16日、千代田開発センターで月一の舞いが行われました。今月のテーマは「チャリの技‐神楽の中の笑いⅡ‐」です。昨年に引き続き二回目となる「チャリの技」昨年はたくさん大笑いしましたが、今年も会場いっぱいにたくさんの笑いが広がっていました。それでは報告です。
高猿神楽団「悪狐伝」
こちらのチャリはもちろん珍斉和尚さん。登場してすぐ、巧みな話術でお客さんの心をつかみます。しかし、珍斉さんの「秋も深まり木の葉も積もりたる頃なれば…」といういつものセリフに「今日は雪じゃろ」とお客さんのツッコミが飛び会場は大笑い。ほかでは、珍斉さんが「君が代」を独唱しながら国旗掲揚をするユニークな姿もあり、楽しい雰囲気が流れていきました。また、狐が珍斉さんを襲う場面。いつもはハラハラする場面ですが、狐から逃げた珍斉さんが一瞬消えます。どこに消えたのかと思っていると、オレンジのマントに手には水鉄砲を持った姿で珍斉さん再び登場。お顔はばいきん○ん!!(笑)一瞬珍斉さんだとはわかりません。化けるのが得意な狐も珍斉さんの化けっぷりにはびっくりでしたね。
山王神楽団「恵比寿」
今回チャリの技ということでどの演目にもチャリが出てくるはずですが、こちらで登場するのはすべて神様。では笑いは無いのかというと、そんなことはありません。恵比寿さんが鯛を釣る前に釣ったお菓子などをお客さんにプレゼントする場面。釣った中にはお菓子以外にも神楽のグッズもあったのですが、恵比寿さんが子供たちにあげようとするやいなや、ちょうだいと言う子供の声に混ざって「そりゃわしにくれ!違う、こっちじゃ」と楽の方からも声が(笑)神楽となると大人も子どもも関係なくなっちゃいますよね。そんな場面に思わず口が綻んでしまいました。そして、最後は幸せの種を皆様にということで餅まきも行われました。大国主命と弁財天も加わり、紅白のお餅をひとりひとりに配られていましたよ。
亀山神楽社中「黒塚」
那須野ヶ原を訪れた法印さんと剛力さん。そこで出会った怪しい女は、実は恐ろしい狐。法印さんや剛力さんは食べられないよう必死で逃げますが、今日はどこか強気な剛力さん。逃げつつも狐にちょっかいを出しまくります。しかし、それに怒った狐。剛力を懲らしめようと掴み掛かります。写真でも分かると思いますが、必死に逃げようとするもなんだか楽しそうな剛力さんの様子。その姿に思わず笑いがでてしまいます。また、剛力さんは会場に逃げ込んだかと思えば子供を抱えて舞台に登場。一人の子どもは目の前の恐ろしい狐に大泣きです。最後は親御さんの構えるカメラで記念にパチリ。舞台にあげられた子供たちは、いい思い出となったことでしょう。
大塚神楽団「戻り橋」
大塚さんの戻り橋で、チャリと言えば…やっぱりこの方でしょうか。「えぇ~飴はいらぬか」「飴は安いぞ」という掛声とともに飴を配りながら傘売善兵衛さん登場。舞台に上がってからもお客さんを巻き込みながらのユニークな語りに会場は笑いが止みませんでした。また極め付けは、茨木童子の化身と善兵衛さんとのやり取りする場面。日が暮れると鬼が出る…と善兵衛さんがいうと「鬼ならここにおるぞ~」と勢いよく鬼の茨木童子が登場。…のはずが、善兵衛さんすかさず茨木童子にドライアイスを噴射。「どこじゃ?見えんぞ。見えんぞ。」と茨木童子が見えなくなるほどドライアイスを吹き掛けます。このまま茨木童子をもやっつけてしまいそうな善兵衛さんの姿にお腹を抱えるほど笑ってしまいました。
さて、今回の月一では大雪警報もでるなか、たくさんの方々に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました。中には県を越えて、はるばる来られた方もいらっしゃり、大変びっくりしました。見るお客様も舞う神楽団の方々も寒さで足など痛かったと思います。本当にお疲れ様でした。来月はこんなに雪が降ることがないように願いたいですね。来月の月一もどうぞよろしくお願いします。
高猿神楽団「悪狐伝」
こちらのチャリはもちろん珍斉和尚さん。登場してすぐ、巧みな話術でお客さんの心をつかみます。しかし、珍斉さんの「秋も深まり木の葉も積もりたる頃なれば…」といういつものセリフに「今日は雪じゃろ」とお客さんのツッコミが飛び会場は大笑い。ほかでは、珍斉さんが「君が代」を独唱しながら国旗掲揚をするユニークな姿もあり、楽しい雰囲気が流れていきました。また、狐が珍斉さんを襲う場面。いつもはハラハラする場面ですが、狐から逃げた珍斉さんが一瞬消えます。どこに消えたのかと思っていると、オレンジのマントに手には水鉄砲を持った姿で珍斉さん再び登場。お顔はばいきん○ん!!(笑)一瞬珍斉さんだとはわかりません。化けるのが得意な狐も珍斉さんの化けっぷりにはびっくりでしたね。
山王神楽団「恵比寿」
今回チャリの技ということでどの演目にもチャリが出てくるはずですが、こちらで登場するのはすべて神様。では笑いは無いのかというと、そんなことはありません。恵比寿さんが鯛を釣る前に釣ったお菓子などをお客さんにプレゼントする場面。釣った中にはお菓子以外にも神楽のグッズもあったのですが、恵比寿さんが子供たちにあげようとするやいなや、ちょうだいと言う子供の声に混ざって「そりゃわしにくれ!違う、こっちじゃ」と楽の方からも声が(笑)神楽となると大人も子どもも関係なくなっちゃいますよね。そんな場面に思わず口が綻んでしまいました。そして、最後は幸せの種を皆様にということで餅まきも行われました。大国主命と弁財天も加わり、紅白のお餅をひとりひとりに配られていましたよ。
亀山神楽社中「黒塚」
那須野ヶ原を訪れた法印さんと剛力さん。そこで出会った怪しい女は、実は恐ろしい狐。法印さんや剛力さんは食べられないよう必死で逃げますが、今日はどこか強気な剛力さん。逃げつつも狐にちょっかいを出しまくります。しかし、それに怒った狐。剛力を懲らしめようと掴み掛かります。写真でも分かると思いますが、必死に逃げようとするもなんだか楽しそうな剛力さんの様子。その姿に思わず笑いがでてしまいます。また、剛力さんは会場に逃げ込んだかと思えば子供を抱えて舞台に登場。一人の子どもは目の前の恐ろしい狐に大泣きです。最後は親御さんの構えるカメラで記念にパチリ。舞台にあげられた子供たちは、いい思い出となったことでしょう。
大塚神楽団「戻り橋」
大塚さんの戻り橋で、チャリと言えば…やっぱりこの方でしょうか。「えぇ~飴はいらぬか」「飴は安いぞ」という掛声とともに飴を配りながら傘売善兵衛さん登場。舞台に上がってからもお客さんを巻き込みながらのユニークな語りに会場は笑いが止みませんでした。また極め付けは、茨木童子の化身と善兵衛さんとのやり取りする場面。日が暮れると鬼が出る…と善兵衛さんがいうと「鬼ならここにおるぞ~」と勢いよく鬼の茨木童子が登場。…のはずが、善兵衛さんすかさず茨木童子にドライアイスを噴射。「どこじゃ?見えんぞ。見えんぞ。」と茨木童子が見えなくなるほどドライアイスを吹き掛けます。このまま茨木童子をもやっつけてしまいそうな善兵衛さんの姿にお腹を抱えるほど笑ってしまいました。
さて、今回の月一では大雪警報もでるなか、たくさんの方々に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました。中には県を越えて、はるばる来られた方もいらっしゃり、大変びっくりしました。見るお客様も舞う神楽団の方々も寒さで足など痛かったと思います。本当にお疲れ様でした。来月はこんなに雪が降ることがないように願いたいですね。来月の月一もどうぞよろしくお願いします。
2011,01,18 Tue 22:23
神楽ファンのみなさん、新年あけましておめでとうございます。今年も「神楽のぶろぐ」をよろしくお願いします。さて新年最初の特派員報告は、1月2日から3日にかけて開催された「グリーンアリーナニューイヤーイベント 新春神楽」です。今回は3日の模様をお伝えしたいと思います。
最初に上演されたのは東山神楽団「伊服岐山」。古代日本の英雄、日本武尊の物語です。伊服岐山の鬼人との激しい戦いも、もちろん見どころでしたが、最初に日本武尊がお供の乙丸と舞う場面にもご注目。二人で神の舞を舞うわけですが、まったく同じ舞でも、やはり日本武尊と乙丸の微妙な違いが見られたと思います。扇子で扇ぐような所作が尊のほうがゆっくりだったり、乙丸が一回転するところで、尊は回らずそのままスッと移動してみたり。よ~く見ていないと見過ごすようなわずかな違いですが、この微妙な差が、二人の役の違いを舞い分けているように感じました。
続いて大都神楽団「黒塚」。おそらく一時間くらいの上演時間だったと思いますが、いろんな魅力を持った演目ですね。最初に登場する、法印さんと剛力さんの面白いやり取り、これはみなさんしっかり楽しまれたことと思います。またその二人の舞、後に登場する狐の化身の舞、最後の合戦など、いろんな舞が見れるのも魅力の一つ。さらに柴の戸や里人など、歌や言葉でも神楽の面白さを感じることができますね。しかしなんといっても主役はやはり九尾の狐です。剛力さんを惑わす時の怪しい舞や、見ている側にもよくわかるような感情の表現の仕方。本当に虜になりそうな魅力を持っていると思います。
大塚神楽団「頼政」は、期待していた方もおられると思いますが、たくさんのお猿さんが客席に出没!普段は舞台の上でしか見られない舞手さんが、すぐそばで見れるというのは、お客さんにとって本当に嬉しいサービスすよね。そんな子猿さんたちが、力を合わせて自分たちを退治しに来た楓姫に立ち向かっていく場面では、思わず小猿さんたちを応援した方も多くおられたことでしょう。それと個人的に印象深かったのが、後半に登場した源頼政と猪早太の舞。基本的な舞にプラスして役柄を表現する、これはほとんどの団員さんが試みをされていると思いますが、二人での舞や合戦においても、「こう舞いたい!」という舞手さんのこだわりがすごく感じられました。
休憩を挟んで再び東山神楽団による「土蜘蛛」。日本を魔国にせんと機会を待っていた、葛城山の土蜘蛛。都の守りである源頼光が病に伏したところを襲い掛かりますが、まさかの返り討ちに遭ってしまいます。そして頼光の四天王である卜部末武らに討たれてしまうのですが、よほど悔しかったのか、やられてもやられても、何度も幕から再登場し、四天王に戦いを挑んできます。お正月の特別バージョンといったところでしょうか、お客さんは大喜び。再び登場した鬼を、拍手喝采で迎えます。そしてその拍手はそのまま、お囃子のリズムの手拍子へと変わり、会場は興奮のるつぼ状態に。舞う側と見る側の一体感が、神楽の魅力の一つだと思いますが、なかなかここまでの上演はお目にかかる機会がありません。鬼を切り倒した後、もう出てこないようにと必死で幕を抑える神のお二方、大変お疲れ様でした!(笑)
大塚神楽団「羅生門」。渡辺綱に切り取られた茨木童子の左腕を、見事取り返した酒呑童子。さっそく茨木童子へともみつけ…というのがこの演目の見どころ。そして大塚神楽団さんは、いったんくっつけた左腕が、またもげてしまうという演出をされるのはファンのみなさんもよくご存知かと思います。もちろんこの日もそういう展開に…と見ていると、再びもげた左腕ですが、なんと茨木童子の左腕はちゃんとくっついています!? このおかしな展開に会場のみなさんも大笑い。「どういうこと?」と言わんばかりのコミカルな動きの鬼達がさらに笑わせてくれました。
最後は大都神楽団「大江山酒呑童子」。源頼光が大江山の酒呑童子を討ち取る物語です。全編を通して見どころ!といった感じですが、やはり岩屋での酒宴の場面が最も印象的でした。童子が飲む前に毒見を命じられた頼光。杯に注ごうと金時が一升瓶を傾けると、なんと本当にお酒が出てきたではありませんか!画像でご覧いただくとよくおわかりかと思いますが、もちろんそのまま頼光さんはしっかりと毒見。毒見にしてはけっこうな量に見えましたが、頼光さん大丈夫でしたでしょうか(笑)。その後は頼光と茨木童子が歌合戦(?)をしたりと、本当に楽しげな酒宴が繰り広げられました。まさに「お正月のイベント感」たっぷりの上演だったと思います。
こうしてみると「新春神楽」ということで、他では見れない演出などで非常に盛り上がったイベントになったようです。入場者数も昨年より多かったようで、改めて神楽人気の高さを感じる新年のイベントでした。今年も多くの素晴らしい神楽にたくさん触れて、このブログを通してファンのみなさんと楽しんでいければと思います。今年もどうぞよろしくお願いします!
最初に上演されたのは東山神楽団「伊服岐山」。古代日本の英雄、日本武尊の物語です。伊服岐山の鬼人との激しい戦いも、もちろん見どころでしたが、最初に日本武尊がお供の乙丸と舞う場面にもご注目。二人で神の舞を舞うわけですが、まったく同じ舞でも、やはり日本武尊と乙丸の微妙な違いが見られたと思います。扇子で扇ぐような所作が尊のほうがゆっくりだったり、乙丸が一回転するところで、尊は回らずそのままスッと移動してみたり。よ~く見ていないと見過ごすようなわずかな違いですが、この微妙な差が、二人の役の違いを舞い分けているように感じました。
続いて大都神楽団「黒塚」。おそらく一時間くらいの上演時間だったと思いますが、いろんな魅力を持った演目ですね。最初に登場する、法印さんと剛力さんの面白いやり取り、これはみなさんしっかり楽しまれたことと思います。またその二人の舞、後に登場する狐の化身の舞、最後の合戦など、いろんな舞が見れるのも魅力の一つ。さらに柴の戸や里人など、歌や言葉でも神楽の面白さを感じることができますね。しかしなんといっても主役はやはり九尾の狐です。剛力さんを惑わす時の怪しい舞や、見ている側にもよくわかるような感情の表現の仕方。本当に虜になりそうな魅力を持っていると思います。
大塚神楽団「頼政」は、期待していた方もおられると思いますが、たくさんのお猿さんが客席に出没!普段は舞台の上でしか見られない舞手さんが、すぐそばで見れるというのは、お客さんにとって本当に嬉しいサービスすよね。そんな子猿さんたちが、力を合わせて自分たちを退治しに来た楓姫に立ち向かっていく場面では、思わず小猿さんたちを応援した方も多くおられたことでしょう。それと個人的に印象深かったのが、後半に登場した源頼政と猪早太の舞。基本的な舞にプラスして役柄を表現する、これはほとんどの団員さんが試みをされていると思いますが、二人での舞や合戦においても、「こう舞いたい!」という舞手さんのこだわりがすごく感じられました。
休憩を挟んで再び東山神楽団による「土蜘蛛」。日本を魔国にせんと機会を待っていた、葛城山の土蜘蛛。都の守りである源頼光が病に伏したところを襲い掛かりますが、まさかの返り討ちに遭ってしまいます。そして頼光の四天王である卜部末武らに討たれてしまうのですが、よほど悔しかったのか、やられてもやられても、何度も幕から再登場し、四天王に戦いを挑んできます。お正月の特別バージョンといったところでしょうか、お客さんは大喜び。再び登場した鬼を、拍手喝采で迎えます。そしてその拍手はそのまま、お囃子のリズムの手拍子へと変わり、会場は興奮のるつぼ状態に。舞う側と見る側の一体感が、神楽の魅力の一つだと思いますが、なかなかここまでの上演はお目にかかる機会がありません。鬼を切り倒した後、もう出てこないようにと必死で幕を抑える神のお二方、大変お疲れ様でした!(笑)
大塚神楽団「羅生門」。渡辺綱に切り取られた茨木童子の左腕を、見事取り返した酒呑童子。さっそく茨木童子へともみつけ…というのがこの演目の見どころ。そして大塚神楽団さんは、いったんくっつけた左腕が、またもげてしまうという演出をされるのはファンのみなさんもよくご存知かと思います。もちろんこの日もそういう展開に…と見ていると、再びもげた左腕ですが、なんと茨木童子の左腕はちゃんとくっついています!? このおかしな展開に会場のみなさんも大笑い。「どういうこと?」と言わんばかりのコミカルな動きの鬼達がさらに笑わせてくれました。
最後は大都神楽団「大江山酒呑童子」。源頼光が大江山の酒呑童子を討ち取る物語です。全編を通して見どころ!といった感じですが、やはり岩屋での酒宴の場面が最も印象的でした。童子が飲む前に毒見を命じられた頼光。杯に注ごうと金時が一升瓶を傾けると、なんと本当にお酒が出てきたではありませんか!画像でご覧いただくとよくおわかりかと思いますが、もちろんそのまま頼光さんはしっかりと毒見。毒見にしてはけっこうな量に見えましたが、頼光さん大丈夫でしたでしょうか(笑)。その後は頼光と茨木童子が歌合戦(?)をしたりと、本当に楽しげな酒宴が繰り広げられました。まさに「お正月のイベント感」たっぷりの上演だったと思います。
こうしてみると「新春神楽」ということで、他では見れない演出などで非常に盛り上がったイベントになったようです。入場者数も昨年より多かったようで、改めて神楽人気の高さを感じる新年のイベントでした。今年も多くの素晴らしい神楽にたくさん触れて、このブログを通してファンのみなさんと楽しんでいければと思います。今年もどうぞよろしくお願いします!
2011,01,05 Wed 23:05
新着コメント
皆さま、ご無沙汰しておりました。特派員Nです!日々、寒さが厳しくなってきましたが、皆さまお風邪は引かれてないでしょうか?さて、先週の日曜日に千代田開発センターでそんな厳しい寒さも吹き飛ばしてしまいそうな広島・島根交流神楽「月一の舞い」が行われました。今月のテーマは「美女の共演-紅葉狩-」 広島・島根両県の4団体がそれぞれの紅葉狩を披露してくださいました。今回はそれぞれの特徴、個性がお伝えできるよう報告したいと思います。それでは報告です。
八重西神楽団「紅葉狩」
最初の舞台挨拶で団長さんがおっしゃっていましたが八重西さんの紅葉狩は今年から新たな試みをされたそうです。それはいったいなんでしょう…。見に来られた方はお分かりになったと思いますが、なんと鬼女が五人登場します。酒宴の場面でより華やかに、賑やかにしたいという神楽団の想いで挑戦されたそうです。最初は鬼女三人で登場しますが、あとから二人が加わります。そのときの会場は感動にも近いどよめきが沸き起こっていました。そして、酒宴では四人の鬼女たちが交差しながら優雅に舞います。鬼女が多くいることでいつにも増して華やかさが際立つ、酒宴だったように思います。しかし、華やかさだけが増しただけではありません。鬼が増えた分、恐ろしさもかなり増していました。維茂の背後で鬼と化す場面はぞわっと鳥肌が…。それ以外に決戦の場面も5人の鬼が大暴れする様子は恐ろしさと威圧感がありました。
有田神楽団「紅葉狩」
能や歌舞伎・謡曲で古くから親しまれてきた演目の一つ紅葉狩。それがここ広島に伝わり、今やひろしま神楽の代表的な演目となっていますね。そしてどこの神楽よりも能を色濃く残しているのが有田さんの紅葉狩。まず登場するのは鬼女二人。先ほどの鬼女五人登場した八重西さんとはまたガラッと雰囲気が変わってきます。舞いでもゆっくりかと思えば、素早い動きもあり個性的。また、セリフも「是はこの辺りに住む女にて候。げにやながらえて…」とあまり聞きなれないセリフでした。そして能という印象を強く感じさせたのは立ち合いで鬼が持つTの字の棒!能では打杖(うちづえ)と言い鬼、怨霊などが持つ杖だそうです。その打杖を振り回し、舞台を斜めに使ってのこれまた変わった立ち合いを見せていただきました。こちらも最後まで目が離せませんでした。
今福神楽社中「紅葉狩」
やはり石見神楽での紅葉狩ということで、皆さん気になっていたのではないでしょうか。私自身も拝見するのは初めてで、とてもわくわくしていました。約五十年前、先代が広島を訪れた際にそこで舞われていた紅葉狩に感動。そして自分たちの所でも取り入れたいとして台本を手に入れ、一から舞いを作り上げたそうです。そんな深いエピソードがある今福さんの紅葉狩はなんと木こりの木の又権兵衛(きのまたごんべえ)が登場します。時間の都合により省かれることが多い権兵衛さんですが、ここでは大活躍でした。お客さんを巻き込んで一緒に藁で縄を綯うお茶目な場面もありましたが、特に印象に強く残ったのは立ち合いの場面。チャリといえば途中で鬼などに食べられてしまうというイメージが強いですが、なんとこちらでは最後の最後まで権兵衛さんも維茂さんと一緒に戦い抜きました。また、維茂の一撃に加えて権兵衛さんも鎌で一撃を食らわす場面もあり本当にユニークでした。
中川戸神楽団「紅葉狩」
中川戸さんと言えばスーパー神楽。そしてその代表的演目の一つに紅葉狩があげられます。いつもブラックライトや火花と、たくさんの仕掛けでお客さんを楽しませてくれますよね。しかし、今回はその演出が抑え目な感じの印象を受けました。しかしその分、呉葉の表情に注目しながら神楽を楽しむことができたのではないでしょうか?中川戸さんのこだわりは「女の情念」だそうです。源経基(みなもとのつねもと)に抱いた愛憎、怒りなど、それを神楽ではどう表現するか。怒ったときは、「角を生やす」「顔色をかえる」など言いますよね。それを中川戸さんは演出に取り入れたそうです。あの角がにょきっと出る場面、顔の表情が変わる瞬間、いろいろ出てきますよね。今度また拝見するときは、鬼をじぃ~っと見てしまいそうですね(笑) あとちょっとだけ。個人的に気になったのが、維茂が降魔の剣を授かる場面でのこと。剣が入っている社に貼ってあるお札の文字がなんと「紅葉狩」皆さんは気づかれましたかね~?
さて今回すべてが紅葉狩の演目となっていましたが、それぞれ個性があり大変面白かったですね。今年も残すところわずかとなりました。皆さま、今年の神楽はたくさん観に行かれましたでしょうか。また、来年も月一や違う会場でお会いできたらいいなと思っています。来年もどうぞ、月一の舞いをよろしくお願いします。
八重西神楽団「紅葉狩」
最初の舞台挨拶で団長さんがおっしゃっていましたが八重西さんの紅葉狩は今年から新たな試みをされたそうです。それはいったいなんでしょう…。見に来られた方はお分かりになったと思いますが、なんと鬼女が五人登場します。酒宴の場面でより華やかに、賑やかにしたいという神楽団の想いで挑戦されたそうです。最初は鬼女三人で登場しますが、あとから二人が加わります。そのときの会場は感動にも近いどよめきが沸き起こっていました。そして、酒宴では四人の鬼女たちが交差しながら優雅に舞います。鬼女が多くいることでいつにも増して華やかさが際立つ、酒宴だったように思います。しかし、華やかさだけが増しただけではありません。鬼が増えた分、恐ろしさもかなり増していました。維茂の背後で鬼と化す場面はぞわっと鳥肌が…。それ以外に決戦の場面も5人の鬼が大暴れする様子は恐ろしさと威圧感がありました。
有田神楽団「紅葉狩」
能や歌舞伎・謡曲で古くから親しまれてきた演目の一つ紅葉狩。それがここ広島に伝わり、今やひろしま神楽の代表的な演目となっていますね。そしてどこの神楽よりも能を色濃く残しているのが有田さんの紅葉狩。まず登場するのは鬼女二人。先ほどの鬼女五人登場した八重西さんとはまたガラッと雰囲気が変わってきます。舞いでもゆっくりかと思えば、素早い動きもあり個性的。また、セリフも「是はこの辺りに住む女にて候。げにやながらえて…」とあまり聞きなれないセリフでした。そして能という印象を強く感じさせたのは立ち合いで鬼が持つTの字の棒!能では打杖(うちづえ)と言い鬼、怨霊などが持つ杖だそうです。その打杖を振り回し、舞台を斜めに使ってのこれまた変わった立ち合いを見せていただきました。こちらも最後まで目が離せませんでした。
今福神楽社中「紅葉狩」
やはり石見神楽での紅葉狩ということで、皆さん気になっていたのではないでしょうか。私自身も拝見するのは初めてで、とてもわくわくしていました。約五十年前、先代が広島を訪れた際にそこで舞われていた紅葉狩に感動。そして自分たちの所でも取り入れたいとして台本を手に入れ、一から舞いを作り上げたそうです。そんな深いエピソードがある今福さんの紅葉狩はなんと木こりの木の又権兵衛(きのまたごんべえ)が登場します。時間の都合により省かれることが多い権兵衛さんですが、ここでは大活躍でした。お客さんを巻き込んで一緒に藁で縄を綯うお茶目な場面もありましたが、特に印象に強く残ったのは立ち合いの場面。チャリといえば途中で鬼などに食べられてしまうというイメージが強いですが、なんとこちらでは最後の最後まで権兵衛さんも維茂さんと一緒に戦い抜きました。また、維茂の一撃に加えて権兵衛さんも鎌で一撃を食らわす場面もあり本当にユニークでした。
中川戸神楽団「紅葉狩」
中川戸さんと言えばスーパー神楽。そしてその代表的演目の一つに紅葉狩があげられます。いつもブラックライトや火花と、たくさんの仕掛けでお客さんを楽しませてくれますよね。しかし、今回はその演出が抑え目な感じの印象を受けました。しかしその分、呉葉の表情に注目しながら神楽を楽しむことができたのではないでしょうか?中川戸さんのこだわりは「女の情念」だそうです。源経基(みなもとのつねもと)に抱いた愛憎、怒りなど、それを神楽ではどう表現するか。怒ったときは、「角を生やす」「顔色をかえる」など言いますよね。それを中川戸さんは演出に取り入れたそうです。あの角がにょきっと出る場面、顔の表情が変わる瞬間、いろいろ出てきますよね。今度また拝見するときは、鬼をじぃ~っと見てしまいそうですね(笑) あとちょっとだけ。個人的に気になったのが、維茂が降魔の剣を授かる場面でのこと。剣が入っている社に貼ってあるお札の文字がなんと「紅葉狩」皆さんは気づかれましたかね~?
さて今回すべてが紅葉狩の演目となっていましたが、それぞれ個性があり大変面白かったですね。今年も残すところわずかとなりました。皆さま、今年の神楽はたくさん観に行かれましたでしょうか。また、来年も月一や違う会場でお会いできたらいいなと思っています。来年もどうぞ、月一の舞いをよろしくお願いします。
2010,12,13 Mon 23:45
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先週の日曜日、広島サンプラザホールにおいて広島県神楽競演大会が行われました。朝早くからたくさんのお客さまが並ばれ、大会は大変盛り上がっていました。また会場には各地域のブースが置かれ、地域の特産物などが売られていましたよ♪今回、都合上写真を載せることができませんがそのときの神楽の雰囲気だけでもお伝えできるよう少しばかり報告したいと思います。
三谷神楽団「大江山」
戻り橋、羅生門、大江山と続く三部作最後の物語。そして三谷さんの大江山といえば!?…やはり皆さん、鬼!!と答える方が多いのではないでしょうか?今回の大江山でも独特の声をお持ちの酒呑童子さんが美声を披露してくれました。源頼光との問答の場面や酒に酔いしれながら言う口上には度々お客さんから拍手も沸き起こっていました。また、たまたま隣に居合わせたお客さんは「この声がたまらんのよのぅ。」とおっしゃっていました(笑)今回も大人気の酒呑童子さんでしたね!また、私自身久しぶりに見たせいか酒呑童子さんが着ていた衣装がいつもと変わっていました。ふさふさした毛が豪快についており酒呑童子の厳つさが増したように見えました。
西宗神楽団「天岩戸」
この演目は、登場人物として天照大神、天津児屋根命、天太玉命、宇津女命とたくさんの神様が登場します。こんなに神様が出てくるのはなかなか無い珍しい演目ですね。そして珍しいといえばもう一つ。この西宗さんの岩戸にはもう一人神様が登場します。それは天照大神が岩戸にお隠れになる原因にもなった素盞鳴命です。ここで神話の内容を少し紹介しますと素盞鳴命は天斑馬(あめのふちこま)の皮を剥いで、天照大御神の忌服屋(いみはたや)(神聖な機を織る家)の棟に穴をあけ、堕したという悪さを行ったとされています。この西宗さんの岩戸ではその場面が登場しており、片手に馬の皮を持った素盞鳴命が天照大神の方へ投げるひと場面があります。いつも見る岩戸ではなかなか見ることがない演出だけにとても珍しいと思いました。
津浪神楽団「塵倫」
塵倫という演目は八調子でも六調子でも舞われる演目ですね。そして津浪さんが伝承されている塵倫は六調子の塵倫。八調子のように派手さはないのですがどこか味わいのある舞いでおくゆかさを感じさせてくれます。神の舞いではゆっくりとした動きにしっかりとした足取りの舞い。しかし落ち着いた舞いを見せたかと思うと力強く早い動きで舞う所もあり、静と動がとてもはっきりとしている舞いでした。そしてこの演目名でもある塵倫の登場では、まず舞台いっぱいに雲が広がると幕の向こうからゆっくりと登場。大きな羽の衣装を身に着け相手を睨みつけながらじわりと舞っていきます。こちらでも静と動がはっきりした舞いでどっしりとした貫禄のある姿を見せてくれました。
横田神楽団「吾妻山」
いつ見ても思うのですが横田さんの神楽は何もかもが息ピッタリ。足の動き、手の動き、顔の向きからしてすべてが相手の方と一緒。まるで写し鏡を見ているようで今回の大会でも感心してしまいました。今回の吾妻山においても卜部六郎季武と那須八郎宗近の息の合った舞い、黒雲童子と赤雲童子の阿吽の呼吸。いかに普段一生懸命練習されているかが伺えるようでした。また一番の盛り上がり所、女性へと化けていた妖鬼がついにもとの鬼へと変わる場面では、素早い早変わりとスピード感あふれる立ち回りで観客を魅了。そして卜部六郎季武たちとの激しいバトルでは、互いが交差する場面や刀とのぶつかり合う様子に気持は高められていきました。見せるとこは見せ、そして舞う所はきっちりと舞う。今回も横田さんらしい舞いを堪能できました。
琴庄神楽団「滝夜叉姫」
この演目も神楽の中では人気の高い演目ではないでしょうか♪この人気の高い演目ですが、さらに琴庄さんの滝夜叉姫には琴庄さんならではの演出が入っていますね。見たことがある方はご存じでしょうが、滝夜叉姫と大宅中将光圀たちとの立ち合いの場面。鬼と成り果てた滝夜叉姫が光圀に襲い掛かるも光圀の力に一度は消沈します。しかしそこからの巻き返しで観客の心、気持ちは高ぶっていきます。ドン!ドン!ドン!ドン!と勢いづくお囃子だけで気分がのってくるにもかかわらず、そこから目にも止まらぬ面の早変わりでさらに拍車をかけ、観客からはどよめきを起こさせます。そしていよいよ最後は滝夜叉姫からもとの五月姫へと戻るときの二段階の衣装チェンジ。鬼から五月姫に戻りハラリと衣装が変わる姿に興奮しきった会場は拍手喝采、そして大きなどよめきが。今回この大会一番のどよめきと拍手が沸き起こっていたと思います。
以上報告でした。今回大会の休憩時間には、特別に津浪神楽団が恵比須を行いお客様のために紅白のお餅を配られていました。また、大会終わりにはお楽しみ抽選会などがあり神楽だけでなくこういった来た人には嬉しい催しも行われました。来年も楽しみになりますね。
三谷神楽団「大江山」
戻り橋、羅生門、大江山と続く三部作最後の物語。そして三谷さんの大江山といえば!?…やはり皆さん、鬼!!と答える方が多いのではないでしょうか?今回の大江山でも独特の声をお持ちの酒呑童子さんが美声を披露してくれました。源頼光との問答の場面や酒に酔いしれながら言う口上には度々お客さんから拍手も沸き起こっていました。また、たまたま隣に居合わせたお客さんは「この声がたまらんのよのぅ。」とおっしゃっていました(笑)今回も大人気の酒呑童子さんでしたね!また、私自身久しぶりに見たせいか酒呑童子さんが着ていた衣装がいつもと変わっていました。ふさふさした毛が豪快についており酒呑童子の厳つさが増したように見えました。
西宗神楽団「天岩戸」
この演目は、登場人物として天照大神、天津児屋根命、天太玉命、宇津女命とたくさんの神様が登場します。こんなに神様が出てくるのはなかなか無い珍しい演目ですね。そして珍しいといえばもう一つ。この西宗さんの岩戸にはもう一人神様が登場します。それは天照大神が岩戸にお隠れになる原因にもなった素盞鳴命です。ここで神話の内容を少し紹介しますと素盞鳴命は天斑馬(あめのふちこま)の皮を剥いで、天照大御神の忌服屋(いみはたや)(神聖な機を織る家)の棟に穴をあけ、堕したという悪さを行ったとされています。この西宗さんの岩戸ではその場面が登場しており、片手に馬の皮を持った素盞鳴命が天照大神の方へ投げるひと場面があります。いつも見る岩戸ではなかなか見ることがない演出だけにとても珍しいと思いました。
津浪神楽団「塵倫」
塵倫という演目は八調子でも六調子でも舞われる演目ですね。そして津浪さんが伝承されている塵倫は六調子の塵倫。八調子のように派手さはないのですがどこか味わいのある舞いでおくゆかさを感じさせてくれます。神の舞いではゆっくりとした動きにしっかりとした足取りの舞い。しかし落ち着いた舞いを見せたかと思うと力強く早い動きで舞う所もあり、静と動がとてもはっきりとしている舞いでした。そしてこの演目名でもある塵倫の登場では、まず舞台いっぱいに雲が広がると幕の向こうからゆっくりと登場。大きな羽の衣装を身に着け相手を睨みつけながらじわりと舞っていきます。こちらでも静と動がはっきりした舞いでどっしりとした貫禄のある姿を見せてくれました。
横田神楽団「吾妻山」
いつ見ても思うのですが横田さんの神楽は何もかもが息ピッタリ。足の動き、手の動き、顔の向きからしてすべてが相手の方と一緒。まるで写し鏡を見ているようで今回の大会でも感心してしまいました。今回の吾妻山においても卜部六郎季武と那須八郎宗近の息の合った舞い、黒雲童子と赤雲童子の阿吽の呼吸。いかに普段一生懸命練習されているかが伺えるようでした。また一番の盛り上がり所、女性へと化けていた妖鬼がついにもとの鬼へと変わる場面では、素早い早変わりとスピード感あふれる立ち回りで観客を魅了。そして卜部六郎季武たちとの激しいバトルでは、互いが交差する場面や刀とのぶつかり合う様子に気持は高められていきました。見せるとこは見せ、そして舞う所はきっちりと舞う。今回も横田さんらしい舞いを堪能できました。
琴庄神楽団「滝夜叉姫」
この演目も神楽の中では人気の高い演目ではないでしょうか♪この人気の高い演目ですが、さらに琴庄さんの滝夜叉姫には琴庄さんならではの演出が入っていますね。見たことがある方はご存じでしょうが、滝夜叉姫と大宅中将光圀たちとの立ち合いの場面。鬼と成り果てた滝夜叉姫が光圀に襲い掛かるも光圀の力に一度は消沈します。しかしそこからの巻き返しで観客の心、気持ちは高ぶっていきます。ドン!ドン!ドン!ドン!と勢いづくお囃子だけで気分がのってくるにもかかわらず、そこから目にも止まらぬ面の早変わりでさらに拍車をかけ、観客からはどよめきを起こさせます。そしていよいよ最後は滝夜叉姫からもとの五月姫へと戻るときの二段階の衣装チェンジ。鬼から五月姫に戻りハラリと衣装が変わる姿に興奮しきった会場は拍手喝采、そして大きなどよめきが。今回この大会一番のどよめきと拍手が沸き起こっていたと思います。
以上報告でした。今回大会の休憩時間には、特別に津浪神楽団が恵比須を行いお客様のために紅白のお餅を配られていました。また、大会終わりにはお楽しみ抽選会などがあり神楽だけでなくこういった来た人には嬉しい催しも行われました。来年も楽しみになりますね。
2010,10,18 Mon 23:23
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