2010,10,06 Wed 23:26
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芸石競演結果
新舞 優勝 大塚神楽団
準優勝 横田神楽団
はい
横田負けましたね。
当たり前 今までベテランと同じ構成で何も変わらずやってきた。
ベテランもいつまでも体が動くわけじゃない。
横田最強?伝説も終わりよ。
人間がやってるんだから
40-50になれば限界も来るよ。
キチガイな横田神楽団馬鹿信者も
そのうち負け惜しみに言い訳できんくなるからな。
いつまでも横田横田 お経唱えてんじゃねえよ
大体 同じ神楽団ばかり
優勝して何が楽しいのかな
神楽に正解、不正解はないから
いままで横田押してきた人
その古い先入観、価値観変えな
時代は変わるんだからな
新舞 優勝 大塚神楽団
準優勝 横田神楽団
はい
横田負けましたね。
当たり前 今までベテランと同じ構成で何も変わらずやってきた。
ベテランもいつまでも体が動くわけじゃない。
横田最強?伝説も終わりよ。
人間がやってるんだから
40-50になれば限界も来るよ。
キチガイな横田神楽団馬鹿信者も
そのうち負け惜しみに言い訳できんくなるからな。
いつまでも横田横田 お経唱えてんじゃねえよ
大体 同じ神楽団ばかり
優勝して何が楽しいのかな
神楽に正解、不正解はないから
いままで横田押してきた人
その古い先入観、価値観変えな
時代は変わるんだからな
| 480 | EMAIL | URL | 22/10/01 22:59 | S2L5cci2 |
「ひろしま夏の芸術祭 メインコンサート」の最後を飾ったのは、琴庄神楽団「厳島」。この演目は、厳島神社の起源や歴史を基に、平清盛とその妻、時子(二位の尼)を中心にした物語です。いつも見慣れた演目と違って、創作神楽となると物語を理解するためにはセリフが重要なポイントになってくると思います。この「厳島」はそのセリフが多く、中にはとても長いものもあるため、まずは聞き取ることに集中された方もおられたことでしょう。しかし当日のパンフレットには、なんとこの「厳島」の台本が掲載されていました。ファンのみなさんにとって神楽の台本を見るというのは滅多にない機会だと思いますが、これによってこの演目をより深く楽しむことができたのではないでしょうか。それではご紹介していきたいと思います。
「波の下にも都は候ぞ…」 …二位の尼の悲痛な声が響きます。ドドン、ドドドドドド…。瀬戸内海の激しい波を思わせる太鼓が続き、舞台はドライアイスと青い照明で海が再現されました。その海に浮かぶかのように二位の尼が登場し、ゆっくりと語り始めます。壇ノ浦の決戦で源氏に破れた平家一族。二位の尼は幼き安徳天皇を抱いて波の下に都を求め、海に沈んだと伝えられています。そしてその亡骸は厳島へと流れ着き、その場所には二位殿灯篭という石碑が建てられています。時に寂しげに、時には怒りを表しながら、ゆっくりと噛み締めるように語っていく二位の尼。その感情に同調するように笛の音が鳴り響き、物語序盤の重要な場面を見事に表現されていたように思います。
壇ノ浦の決戦から遡ること約六百年。市杵島姫(いちきしまひめ)、湍津姫(たぎつひめ)、田心姫(たごりひめ)ら三人の女神が瀬戸内海を訪れます。須佐之男命を父として生まれたこの三女神(さんじょしん)は、自分たちが鎮まる地を求めていたのです。そして佐伯鞍職(さえきくらもと)という人物が登場し、三女神を厳島へと案内します。この佐伯鞍職は厳島に住んだ豪族で、593年に厳島神社を創建して初代神主になったと伝えられています。こうして鞍職が先導して三女神との四人舞が始まりました。舞台を静かに回り、あるいは縦横に交差したりと、奏楽も含めて儀式舞のような印象を受けました。そして所々で「あれに見えしは…」と名所を案内します。日本三景の一つに数えられる絶景に感動した三女神は、遂にこの地に鎮まるのでした。決して派手ではありませんが、非常に興味深い場面でした。
再び舞台は平安時代。平清盛と妻時子(二位の尼)、清盛の四男知盛(とももり)が登場します。「平家にあらずんば人にあらず」と言われた平家一族の全盛期を築いた平清盛は、先ほどの三女神ら厳島大神を崇め、厚く信仰します。厳島神社を参拝した清盛一族に対し、厳島大神は清盛の願いを聞き入れ、加護すると告げます。そしてここで前半の大きな見せ場が。大神の加護を受けた清盛は、沈みかけた太陽を扇の舞で再び呼び戻すと宣言。両手に持った扇を勢いよく開くと、天を見据えて力強く、そして躍動感溢れる舞で必死に太陽を仰ぎます。両手をいっぱいに広げながら、渾身の力を込めたその舞に、思わずイスから腰が浮き上がってしまった方もおられたのではないでしょうか。実にエネルギッシュなその姿は、岩戸から天照大神を呼び出す際の手力男命が重なって見えました。ただ一つだけ個人的に言わせていただければ、せっかくの舞手さんの熱演ですから、照明などの舞台装置で、太陽が再び戻ってくるような演出があればより盛り上がったのでは…と思いました。
続いて花道から静かに登場したのは陰陽師である安倍泰親(あべのやすちか)。原因不明の病に倒れた清盛を救うため、京の六波羅(ろくはら)にある屋敷へと向かいます。これまでは穏やかな物語が続いていましたが、ここから一気に恐ろしい展開に。清盛を苦しめているのは、清盛が今まで負かしてきた政敵たちの怨霊だったのです。舞台のあちこちから立ち昇るスモークに、うなされながら刀で切り付けようとする清盛。泰親は陰陽の術で怨霊の姿を暴きます。照明が落とされ、低く不気味な声が会場に響き渡りました。「清盛ぃ~…」 三人の怨霊が清盛を地獄に引きずり込もうと近寄ってきます。何と言う恐ろしさでしょうか。ヒュ~ドロドロ…と聞こえるような奏楽も効果抜群。泰親は知盛の加勢を受けて怨霊に立ち向かいます。ここは広島神楽の合戦の見せ場、大いに盛り上がりました。しかし積もる恨みを晴らそうとする怨霊たちは、しぶとく清盛に襲い掛かります。最後に泰親は陰陽術でようやく怨霊たちを追い払います。舞台に残されたのは、もはや息も絶え絶えの清盛。しかし最期の言葉は、自分が厚く信仰した厳島大神に向けたものでした。「御身(おんみ)らの加護ありて、我が志(こころざし)、永久(とこしえ)に語り継がれるべし。」と遺し、ついにその生涯を終えた清盛。後半の大きな見せ場が終わりました。
その直後、勇ましい奏楽と共に再び幕が開きます。清盛の死から4年、壇ノ浦。二位の尼が登場し、平家一族の命運もこれまでと悟り、自ら海へと身を投げます。ドドドドド…。冒頭の場面を思わせる雰囲気で、波に飲まれるような舞、そしてゆっくりと倒れ込む二位の尼。切なげに鳴り渡る笛が始まり、幕が開くとそこには、厳島の大鳥居をバックにたたずむ清盛の姿が。ゆっくりと立ち上がった二位の尼は、清盛の元へと向かい、静かに幕が閉じました。
三女神の一人、市杵島姫は「神霊を斎祭る(いつきまつる)島」という意味を持っていることから、「いつきまつる」…「いつくしま」と呼ばれるようになったと伝えられています。また「厳島」のクライマックスにおいて、平時子は「慈(いつく)しみ 夫婦互いに思い馳せ 想い重ねる 朱(あけ)の鳥居よ」と歌い、夫、清盛の元に身を寄せます。普段はおそらくほとんどの方が「宮島」と呼ばれていることと思いますが、「厳島」の背景にはこんな物語があったんですね。「平家物語」など歴史の影響か、いいイメージで語られることの少ない平清盛ですが、海外との貿易に力を入れ、国の繁栄を図ったという一面も忘れてはなりません。何より広島に住む私達にとって、世界遺産にまでなった厳島神社を崇め、今日まで残した功績はもっと多くの方に知ってもらいたい事だと思います。逆に言えば、広島に住んでいるからこそ、身近な観光地としての「宮島」なのかもしれませんが、この神楽をきっかけに、「厳島に行ってみようかな」など、より興味を深めていただくことが、この演目に携わった方々に向けた最高の賛辞になるのではないでしょうか。そして今回の「厳島」の上演が最後ではなく、あくまで始まりであり、今後広島神楽を代表する演目となるよう、私達ファンも応援していければと思います。
「波の下にも都は候ぞ…」 …二位の尼の悲痛な声が響きます。ドドン、ドドドドドド…。瀬戸内海の激しい波を思わせる太鼓が続き、舞台はドライアイスと青い照明で海が再現されました。その海に浮かぶかのように二位の尼が登場し、ゆっくりと語り始めます。壇ノ浦の決戦で源氏に破れた平家一族。二位の尼は幼き安徳天皇を抱いて波の下に都を求め、海に沈んだと伝えられています。そしてその亡骸は厳島へと流れ着き、その場所には二位殿灯篭という石碑が建てられています。時に寂しげに、時には怒りを表しながら、ゆっくりと噛み締めるように語っていく二位の尼。その感情に同調するように笛の音が鳴り響き、物語序盤の重要な場面を見事に表現されていたように思います。
壇ノ浦の決戦から遡ること約六百年。市杵島姫(いちきしまひめ)、湍津姫(たぎつひめ)、田心姫(たごりひめ)ら三人の女神が瀬戸内海を訪れます。須佐之男命を父として生まれたこの三女神(さんじょしん)は、自分たちが鎮まる地を求めていたのです。そして佐伯鞍職(さえきくらもと)という人物が登場し、三女神を厳島へと案内します。この佐伯鞍職は厳島に住んだ豪族で、593年に厳島神社を創建して初代神主になったと伝えられています。こうして鞍職が先導して三女神との四人舞が始まりました。舞台を静かに回り、あるいは縦横に交差したりと、奏楽も含めて儀式舞のような印象を受けました。そして所々で「あれに見えしは…」と名所を案内します。日本三景の一つに数えられる絶景に感動した三女神は、遂にこの地に鎮まるのでした。決して派手ではありませんが、非常に興味深い場面でした。
再び舞台は平安時代。平清盛と妻時子(二位の尼)、清盛の四男知盛(とももり)が登場します。「平家にあらずんば人にあらず」と言われた平家一族の全盛期を築いた平清盛は、先ほどの三女神ら厳島大神を崇め、厚く信仰します。厳島神社を参拝した清盛一族に対し、厳島大神は清盛の願いを聞き入れ、加護すると告げます。そしてここで前半の大きな見せ場が。大神の加護を受けた清盛は、沈みかけた太陽を扇の舞で再び呼び戻すと宣言。両手に持った扇を勢いよく開くと、天を見据えて力強く、そして躍動感溢れる舞で必死に太陽を仰ぎます。両手をいっぱいに広げながら、渾身の力を込めたその舞に、思わずイスから腰が浮き上がってしまった方もおられたのではないでしょうか。実にエネルギッシュなその姿は、岩戸から天照大神を呼び出す際の手力男命が重なって見えました。ただ一つだけ個人的に言わせていただければ、せっかくの舞手さんの熱演ですから、照明などの舞台装置で、太陽が再び戻ってくるような演出があればより盛り上がったのでは…と思いました。
続いて花道から静かに登場したのは陰陽師である安倍泰親(あべのやすちか)。原因不明の病に倒れた清盛を救うため、京の六波羅(ろくはら)にある屋敷へと向かいます。これまでは穏やかな物語が続いていましたが、ここから一気に恐ろしい展開に。清盛を苦しめているのは、清盛が今まで負かしてきた政敵たちの怨霊だったのです。舞台のあちこちから立ち昇るスモークに、うなされながら刀で切り付けようとする清盛。泰親は陰陽の術で怨霊の姿を暴きます。照明が落とされ、低く不気味な声が会場に響き渡りました。「清盛ぃ~…」 三人の怨霊が清盛を地獄に引きずり込もうと近寄ってきます。何と言う恐ろしさでしょうか。ヒュ~ドロドロ…と聞こえるような奏楽も効果抜群。泰親は知盛の加勢を受けて怨霊に立ち向かいます。ここは広島神楽の合戦の見せ場、大いに盛り上がりました。しかし積もる恨みを晴らそうとする怨霊たちは、しぶとく清盛に襲い掛かります。最後に泰親は陰陽術でようやく怨霊たちを追い払います。舞台に残されたのは、もはや息も絶え絶えの清盛。しかし最期の言葉は、自分が厚く信仰した厳島大神に向けたものでした。「御身(おんみ)らの加護ありて、我が志(こころざし)、永久(とこしえ)に語り継がれるべし。」と遺し、ついにその生涯を終えた清盛。後半の大きな見せ場が終わりました。
その直後、勇ましい奏楽と共に再び幕が開きます。清盛の死から4年、壇ノ浦。二位の尼が登場し、平家一族の命運もこれまでと悟り、自ら海へと身を投げます。ドドドドド…。冒頭の場面を思わせる雰囲気で、波に飲まれるような舞、そしてゆっくりと倒れ込む二位の尼。切なげに鳴り渡る笛が始まり、幕が開くとそこには、厳島の大鳥居をバックにたたずむ清盛の姿が。ゆっくりと立ち上がった二位の尼は、清盛の元へと向かい、静かに幕が閉じました。
三女神の一人、市杵島姫は「神霊を斎祭る(いつきまつる)島」という意味を持っていることから、「いつきまつる」…「いつくしま」と呼ばれるようになったと伝えられています。また「厳島」のクライマックスにおいて、平時子は「慈(いつく)しみ 夫婦互いに思い馳せ 想い重ねる 朱(あけ)の鳥居よ」と歌い、夫、清盛の元に身を寄せます。普段はおそらくほとんどの方が「宮島」と呼ばれていることと思いますが、「厳島」の背景にはこんな物語があったんですね。「平家物語」など歴史の影響か、いいイメージで語られることの少ない平清盛ですが、海外との貿易に力を入れ、国の繁栄を図ったという一面も忘れてはなりません。何より広島に住む私達にとって、世界遺産にまでなった厳島神社を崇め、今日まで残した功績はもっと多くの方に知ってもらいたい事だと思います。逆に言えば、広島に住んでいるからこそ、身近な観光地としての「宮島」なのかもしれませんが、この神楽をきっかけに、「厳島に行ってみようかな」など、より興味を深めていただくことが、この演目に携わった方々に向けた最高の賛辞になるのではないでしょうか。そして今回の「厳島」の上演が最後ではなく、あくまで始まりであり、今後広島神楽を代表する演目となるよう、私達ファンも応援していければと思います。
2010,09,07 Tue 23:50
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がんばれ
| ゆうき | EMAIL | URL | 10/10/09 16:54 | fS7eTqwo |
佐伯鞍職は、厳島に住んで無いですね。現在の大竹市辺りに住んだとされる豪族で、厳島に人が居住するのは、ず~っと後代になってからであると言われております。
| 脚本家 | EMAIL | URL | 10/09/09 14:31 | U4EPaMDU |
9月5日に広島市のALSOKホールで「ひろしま夏の芸術祭 メインコンサート」が行われました。昨年は神楽とオーケストラのコラボ「オロチ」が上演されましたが、今年のメインは創作神楽「厳島」でした。この演目は企画・構成を石井誠治さん、台本・脚本を石丸賢太郎さん、演出を崎内俊宏さんがそれぞれ担当され、北広島町の琴庄神楽団による上演でした。「ひろしま夏の芸術祭」のテーマは「出会う。生まれる。響きあう。」ということですが、この「厳島」もいろんな方々との出会いから生まれ、そしてこの日に団員さんとスタッフと多くのお客さんによって響きあったよう感じました。今回の特派員報告は二部構成で、注目の「厳島」は後半でたっぷりご紹介したいと思います。
まずは川北神楽団「安達ヶ原」から舞台はスタート。阿闍梨祐慶(あじゃりゆうけい)という山伏がお供を連れて安達ヶ原を訪れますが、そこで恐ろしい目に遭ってしまいます。しかし前半に大活躍したのはやっぱり剛力さん。上機嫌で歌いながら登場し、あとは面白い小話やアドリブ、そして体を張ってお客さんを笑わせます。中でも後で上演される「厳島」のあらすじを紹介した話が逸品でした。まずは船に乗って島に渡り、そこに鹿が三匹現れ、水族館に行ってみれば今は閉館中でやってない…という、宮島観光のようなストーリーを紹介してくださいました(笑)。 そんな剛力さんも、恐ろしい悪狐の餌食となってしまいます。最初は姫の姿で現れますが、あっという間に恐ろしい面へと変化し、最後には…なんとリボンをつけた可愛らしい子狐となって登場。もちろん大狐も現れ、舞台いっぱいに暴れまわってくれました。そして後半は弓の名人の三浦介と上総介が登場。息がピッタリと合った舞を披露し、威勢よく狐との戦いへと突入。パワフルに動き回る狐に、機敏な動作で立ち向かい、ついに矢を命中させます。「伝統を受け継ぐ」というテーマでの上演でしたが、山伏、チャリ、姫、神、狐…と、いろんな種類の舞が詰まっており、そういった深いところでも楽しめる演目だったと思います。
続いては原田神楽団「大江山」。丹波国大江山に住む酒呑童子を、勅命を受けた源頼光が退治するという、もはや説明不要といっていいくらいの人気演目ですね。まずはいきなり大江山の鬼たちが登場し、紅葉姫に襲い掛かります。いかにも恐ろしげな鬼たちの動き、そしてかよわい姫のやられ方、そこに奏楽さんが舞台の雰囲気を作り上げ、一つの場面が見事に完成しました。いつの間にか見る側を物語に引き込むという技、これも神楽の持つ魅力の一つだと思います。そして源頼光をはじめとする神三人が登場すると、ここで早くも大きな拍手が。頼光といえば神楽の中でも代表的なヒーローですが、この拍手は会場のみなさんがしっかり応援されているように感じました。豪華な衣装に身を包み、颯爽と舞っていく三人の姿はとてもカッコよかったですね!続いて姫の舞、こちらは打って変わって寂しげな雰囲気。「とと様恋しや、母ぞ懐かしや」と歌い、赤い布を洗うような動きでなめらかに舞う姫の姿に、思わず見入ってしまいます。そしてついに頼光たちと酒呑童子らが対峙。まずは問答での勝負です。派手な見せ場ではありませんが、言葉の言い方、緩急の流れ、感情の表現など、伝統芸能に加えた個人芸の見せ所でもあります。童子らを酒に酔わせたところでついに岩屋へと切り込む頼光たち。これまでの流れがいよいよ頂点へと近づき、舞の激しさと勇壮なお囃子にグイグイと引き込まれます。「深化する神楽」、何度見てもその面白さは尽きるところがありませんね。
以上、前半2演目のご紹介でした。「その2」もお楽しみに!
まずは川北神楽団「安達ヶ原」から舞台はスタート。阿闍梨祐慶(あじゃりゆうけい)という山伏がお供を連れて安達ヶ原を訪れますが、そこで恐ろしい目に遭ってしまいます。しかし前半に大活躍したのはやっぱり剛力さん。上機嫌で歌いながら登場し、あとは面白い小話やアドリブ、そして体を張ってお客さんを笑わせます。中でも後で上演される「厳島」のあらすじを紹介した話が逸品でした。まずは船に乗って島に渡り、そこに鹿が三匹現れ、水族館に行ってみれば今は閉館中でやってない…という、宮島観光のようなストーリーを紹介してくださいました(笑)。 そんな剛力さんも、恐ろしい悪狐の餌食となってしまいます。最初は姫の姿で現れますが、あっという間に恐ろしい面へと変化し、最後には…なんとリボンをつけた可愛らしい子狐となって登場。もちろん大狐も現れ、舞台いっぱいに暴れまわってくれました。そして後半は弓の名人の三浦介と上総介が登場。息がピッタリと合った舞を披露し、威勢よく狐との戦いへと突入。パワフルに動き回る狐に、機敏な動作で立ち向かい、ついに矢を命中させます。「伝統を受け継ぐ」というテーマでの上演でしたが、山伏、チャリ、姫、神、狐…と、いろんな種類の舞が詰まっており、そういった深いところでも楽しめる演目だったと思います。
続いては原田神楽団「大江山」。丹波国大江山に住む酒呑童子を、勅命を受けた源頼光が退治するという、もはや説明不要といっていいくらいの人気演目ですね。まずはいきなり大江山の鬼たちが登場し、紅葉姫に襲い掛かります。いかにも恐ろしげな鬼たちの動き、そしてかよわい姫のやられ方、そこに奏楽さんが舞台の雰囲気を作り上げ、一つの場面が見事に完成しました。いつの間にか見る側を物語に引き込むという技、これも神楽の持つ魅力の一つだと思います。そして源頼光をはじめとする神三人が登場すると、ここで早くも大きな拍手が。頼光といえば神楽の中でも代表的なヒーローですが、この拍手は会場のみなさんがしっかり応援されているように感じました。豪華な衣装に身を包み、颯爽と舞っていく三人の姿はとてもカッコよかったですね!続いて姫の舞、こちらは打って変わって寂しげな雰囲気。「とと様恋しや、母ぞ懐かしや」と歌い、赤い布を洗うような動きでなめらかに舞う姫の姿に、思わず見入ってしまいます。そしてついに頼光たちと酒呑童子らが対峙。まずは問答での勝負です。派手な見せ場ではありませんが、言葉の言い方、緩急の流れ、感情の表現など、伝統芸能に加えた個人芸の見せ所でもあります。童子らを酒に酔わせたところでついに岩屋へと切り込む頼光たち。これまでの流れがいよいよ頂点へと近づき、舞の激しさと勇壮なお囃子にグイグイと引き込まれます。「深化する神楽」、何度見てもその面白さは尽きるところがありませんね。
以上、前半2演目のご紹介でした。「その2」もお楽しみに!
2010,09,06 Mon 20:16
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広島県の主催事業ですので、DVDの販売予定はありません。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
| 管理者 | EMAIL | URL | 10/09/07 14:34 | /39ePPLY |
今回のDVDは発売されますか?
| 安芸人 | EMAIL | URL | 10/09/06 20:35 | nsczOl92 |
先週の日曜日、千代田開発センターで月一の舞が行われました。今回のテーマは「若き挑戦者たち-高校生 神楽の共演-」ということで、テーマでも分かる通り今回スポットを当てたのは、各高校の神楽を伝承する生徒たち。高校生が舞う神楽を一挙に観ることはそうなく、とても貴重な企画だったと思います。今回は北広島町と安芸高田市の四つの高校が神楽を上演してくれました。それでは若さ溢れるイキイキとした学生達の姿、舞いを報告したいと思います。
広島県立千代田高校‐神楽愛好会‐「日本武尊」
こちらの千代田高校の舞いはとても力強く、メリハリのある舞を披露してくれました。やはり一番荒々しく力強さを感じたのは川上武たちが登場してきた場面でしょうか。火薬を使った演出もあり、また舞台の照明の明るさも落とされ、恐ろしさがにじみ出る一場面となっていました。また、川上武たちが開く酒宴では、髪を大きく振り乱し豪快に酒を飲む川上武たちの姿にお囃子の効果もあってか暫し見入ってしまいました。そしてついに倭男具那命(ヤマトオグナノミコト)たちとの立ち合いが始まります。立ち合いでは川上武といった頭に目がいきがちですが頭を補佐する手下だって引けをとりません。四人で複雑に入り組んだりしながらの激闘を繰り広げ、熱気のこもった舞いを見せていただきました。
広島県立吉田高校-神楽部‐「滝夜叉姫」
吉田高校の神楽では先ほど観た千代田高校の力強い舞いとはまたどこか違い、こちらでは全体的にスッと綺麗に流れるような所作にひとつひとつに柔らかさのある舞いが見てとれました。今回「滝夜叉姫」という演目だっただけにさらに五月姫の女性らしい柔らかな舞いが際立っていたと思います。しかし、女性といってもやはり最後は憎しみと悲しみで鬼となる運命を辿ってしまいます。するとさきほどの柔らかく女性らしい舞いとは一転し、長刀を大きく振り回しながらの荒らしい舞いへと変わっていきました。また、若いだけあってスピードも速く、キレのある舞いを披露してくれました。
広島新庄高校‐郷土芸能同好会‐「紅葉狩」
今回、新庄高校の三年生はこの公演が終わると引退となるそうです。そんな三年生最後の神楽は始まってすぐ、美女たちが中央の幕から勢いよく飛びだし三人の息の揃った舞いが繰り広げられていきました。こちらも女性ではありますが、柔らかな舞いをみせるもどこか妖艶で怪しさも感じさせる舞いでした。また、維持らと酒宴を開く場面では、維持らの背後で瞬間的に鬼と変わる鬼女たちの姿にドキッと驚かす様子もありました。そして最後の立ち合いではこちらもスピード感あふれる立ち回り。そして鬼女大王の何度切られようともなお、襲い掛かってくる粘り強さに会場からはたくさんの拍手が沸き起こっていました。
広島県立加計高校芸北分校‐神楽部‐「八岐大蛇」
芸北分校のこの演目はここに限らず多くの場所でも披露されており、お客様のなかでも何度か観られたことがある演目かもしれませんね。しかし、何度観ても完成度の高い八岐大蛇はいつも感心してしまいます。今回大蛇は8頭登場、その数から繰り広げられる技の数々は迫力満点。また技から技へと移る動作がとっても速いこと速いこと。さっき見たはずの技から一瞬にしてつぎの技へと変わる様子は学生たちのチームワークの良さがわかりますね。また、迫力満点といいますと、大蛇を倒す須佐之男命の姿も必見。忙しなく襲ってくる大蛇たちを勢いよくバッサバッサやっつけていく姿はとてもお見事でした。
以上、八月の月一の舞でした。学生の皆様お疲れ様でした。
そしてここでお知らせですが、月一の舞は一旦八月をもって少しの間休憩に入ります。次の公演は十二月となりますので、お間違えのないよう気をつけくださいね。その間もさまざまなところで神楽がありますので、思う存分楽しんできてくださいね★
広島県立千代田高校‐神楽愛好会‐「日本武尊」
こちらの千代田高校の舞いはとても力強く、メリハリのある舞を披露してくれました。やはり一番荒々しく力強さを感じたのは川上武たちが登場してきた場面でしょうか。火薬を使った演出もあり、また舞台の照明の明るさも落とされ、恐ろしさがにじみ出る一場面となっていました。また、川上武たちが開く酒宴では、髪を大きく振り乱し豪快に酒を飲む川上武たちの姿にお囃子の効果もあってか暫し見入ってしまいました。そしてついに倭男具那命(ヤマトオグナノミコト)たちとの立ち合いが始まります。立ち合いでは川上武といった頭に目がいきがちですが頭を補佐する手下だって引けをとりません。四人で複雑に入り組んだりしながらの激闘を繰り広げ、熱気のこもった舞いを見せていただきました。
広島県立吉田高校-神楽部‐「滝夜叉姫」
吉田高校の神楽では先ほど観た千代田高校の力強い舞いとはまたどこか違い、こちらでは全体的にスッと綺麗に流れるような所作にひとつひとつに柔らかさのある舞いが見てとれました。今回「滝夜叉姫」という演目だっただけにさらに五月姫の女性らしい柔らかな舞いが際立っていたと思います。しかし、女性といってもやはり最後は憎しみと悲しみで鬼となる運命を辿ってしまいます。するとさきほどの柔らかく女性らしい舞いとは一転し、長刀を大きく振り回しながらの荒らしい舞いへと変わっていきました。また、若いだけあってスピードも速く、キレのある舞いを披露してくれました。
広島新庄高校‐郷土芸能同好会‐「紅葉狩」
今回、新庄高校の三年生はこの公演が終わると引退となるそうです。そんな三年生最後の神楽は始まってすぐ、美女たちが中央の幕から勢いよく飛びだし三人の息の揃った舞いが繰り広げられていきました。こちらも女性ではありますが、柔らかな舞いをみせるもどこか妖艶で怪しさも感じさせる舞いでした。また、維持らと酒宴を開く場面では、維持らの背後で瞬間的に鬼と変わる鬼女たちの姿にドキッと驚かす様子もありました。そして最後の立ち合いではこちらもスピード感あふれる立ち回り。そして鬼女大王の何度切られようともなお、襲い掛かってくる粘り強さに会場からはたくさんの拍手が沸き起こっていました。
広島県立加計高校芸北分校‐神楽部‐「八岐大蛇」
芸北分校のこの演目はここに限らず多くの場所でも披露されており、お客様のなかでも何度か観られたことがある演目かもしれませんね。しかし、何度観ても完成度の高い八岐大蛇はいつも感心してしまいます。今回大蛇は8頭登場、その数から繰り広げられる技の数々は迫力満点。また技から技へと移る動作がとっても速いこと速いこと。さっき見たはずの技から一瞬にしてつぎの技へと変わる様子は学生たちのチームワークの良さがわかりますね。また、迫力満点といいますと、大蛇を倒す須佐之男命の姿も必見。忙しなく襲ってくる大蛇たちを勢いよくバッサバッサやっつけていく姿はとてもお見事でした。
以上、八月の月一の舞でした。学生の皆様お疲れ様でした。
そしてここでお知らせですが、月一の舞は一旦八月をもって少しの間休憩に入ります。次の公演は十二月となりますので、お間違えのないよう気をつけくださいね。その間もさまざまなところで神楽がありますので、思う存分楽しんできてくださいね★
2010,08,24 Tue 22:55
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7月25日は千代田開発センターで「月一の舞」が行われました。今回のテーマは「大江山への道」ということで、ファンの方にもわかりやすい企画だったと思います。源頼光と四天王、そして大江山の酒呑童子という有名なキャラクターが、4演目にわたって活躍しました。それではご紹介します。
まずはあさひが丘神楽団「山姥」から。頼光四天王の一人、坂田金時誕生の物語です。直接大江山とは関係ないかもしれませんが、この後に上演された中でも、金時の風貌は誰が見ても普通とは違うとお気づきになるでしょう。その辺りも含めた金時の物語、そして頼光の武勇をしっかりと見ることができます。山姥の、ゆっくりと不気味さを漂わせながらの舞に対し、後の金時となる怪童丸は荒々しさの中に幼さ、ヤンチャさを感じる舞。寝込みを襲われながらも、慌てることなく冷静に迎え撃つ頼光の勇姿もカッコよかったですね!そして合戦の中、ひと際印象的だったのは、持っていたマサカリにすべてを賭けるかのような怪童丸の力強さではなかったでしょうか。激しい戦いの後は、悲しい母子の別れの場面が待っています。戦後、芝居や劇の要素を取り入れた新作神楽の魅力の一つがこういった場面ではないかと思いますが、物語に感動を覚えるのもこの演目の特徴ですね。
そして舞台は京の都へ。綾西神楽団「戻り橋」は、大江山の鬼人、茨木童子が大暴れを繰り広げます。冒頭からいきなりその茨木童子が登場し、あっという間に老婆へと変化。その見事な早変わりは誰でもだまされ、そして餌食となってしまうように思わされます。そしてその餌食となってしまうのが…そう、傘売り善兵衛さん。いろんなネタあり、客席との会話ありで楽しませていただきました。中でも茨木童子の化身に、まったく役に立たないような超ミニ傘を差し出したのが最高でした(笑)。そしてこの後は化身の巧みな変身術に釘付け。奏楽さんも一緒になって、面が変わったのと同じように場の雰囲気を変えておられたように思います。上演後に「一生懸命舞いたい」という挨拶もありましたが、最後の合戦はそんな団員さんの思いが強く伝わってきました。渡辺綱とマサカリを持った坂田金時が、茨木童子と一戦を交えます。火がつきそうな激しい舞に、掛け声と大きな身振りで盛り上げる大太鼓の方が印象的でした。
東山神楽団「戻り橋後編」は、茨木童子の左腕を、渡辺綱が切り取る場面からスタート。姫と鬼の面を素早く変える演出と盛り上がる奏楽で、一気に物語の世界へと引きずり込まれます。豪華な刺繍のある衣装で合戦を舞う綱の姿、普通の演目では見られないもので、新鮮な感じがしますね。また鬼が持っている赤い傘も印象的で、この演目ならではの見所が序盤からしっかり楽しめます。戦いの後は場を落ちつかせるかのように、渡辺綱の一人舞があり、そして源頼光が登場。ただ強いだけでなく、実際には武士としてはかなり高い位まで出世した頼光ですが、ここはそんな気高さも感じられる場面だったと思います。いったん落ち着いたかと思えば、次は酒呑童子と茨木童子が白妙を襲う場面に。一つの演目にこれだけたくさんの見所や展開があるのも、新舞の魅力の一つですね。まんまと腕を取り返し、さらに大江山へと逃げ去った鬼たち。最後の頼光と綱の舞は、必ず退治してやる!といった勢いを感じるものでした。
そしていよいよクライマックス。浜田市の上府社中「大江山」が始まりました。怪童丸の面影が残る坂田金時、「戻り橋」で活躍した渡辺綱。そして四天王を従え、鋭い眼差しでひと際凛々しさを感じる源頼光。この三人が登場するだけでも見応えありで、さらに決戦が近づいてくるというワクワク感も覚えました。勇ましい神の舞の後は、やわらかな姫の舞。見られた方も印象的だったと思いますが、両手に長い布を持って自在に操りながらの舞は、思わず「お見事!」と声をかけたくなるほど。そして姫の案内でついに鬼の岩屋へ辿り着いた頼光たち。「うお~」と唸り声を上げながら五匹の鬼が出てくる所は、会場からもどよめきが。頼光と童子の流れるような問答に続いて酒宴が始まりました。気分をよくした鬼は「都で流行りの歌を歌え」とリクエスト。すると綱が手拍子しながら歌い始めたのはなんと「お魚くわえたドラネコ…」のフレーズ!!これには意表を突かれました(笑)。他にもアドリブともとれるような「…酔うた。」という童子のつぶやき?もあり、今まで見たことのない面白い場面になっていました。もちろんこの後に決戦となるんですが、これで一気に場の雰囲気を変えて、壮絶な戦いの舞が繰り広げられます。とてもスケールの大きい神楽を見せていただいたような気がしましたね。
以上、7月の月一の舞「大江山への道」でした。来月は高校生のみなさんによる特集が企画されています。どうぞみなさんお越しください!
まずはあさひが丘神楽団「山姥」から。頼光四天王の一人、坂田金時誕生の物語です。直接大江山とは関係ないかもしれませんが、この後に上演された中でも、金時の風貌は誰が見ても普通とは違うとお気づきになるでしょう。その辺りも含めた金時の物語、そして頼光の武勇をしっかりと見ることができます。山姥の、ゆっくりと不気味さを漂わせながらの舞に対し、後の金時となる怪童丸は荒々しさの中に幼さ、ヤンチャさを感じる舞。寝込みを襲われながらも、慌てることなく冷静に迎え撃つ頼光の勇姿もカッコよかったですね!そして合戦の中、ひと際印象的だったのは、持っていたマサカリにすべてを賭けるかのような怪童丸の力強さではなかったでしょうか。激しい戦いの後は、悲しい母子の別れの場面が待っています。戦後、芝居や劇の要素を取り入れた新作神楽の魅力の一つがこういった場面ではないかと思いますが、物語に感動を覚えるのもこの演目の特徴ですね。
そして舞台は京の都へ。綾西神楽団「戻り橋」は、大江山の鬼人、茨木童子が大暴れを繰り広げます。冒頭からいきなりその茨木童子が登場し、あっという間に老婆へと変化。その見事な早変わりは誰でもだまされ、そして餌食となってしまうように思わされます。そしてその餌食となってしまうのが…そう、傘売り善兵衛さん。いろんなネタあり、客席との会話ありで楽しませていただきました。中でも茨木童子の化身に、まったく役に立たないような超ミニ傘を差し出したのが最高でした(笑)。そしてこの後は化身の巧みな変身術に釘付け。奏楽さんも一緒になって、面が変わったのと同じように場の雰囲気を変えておられたように思います。上演後に「一生懸命舞いたい」という挨拶もありましたが、最後の合戦はそんな団員さんの思いが強く伝わってきました。渡辺綱とマサカリを持った坂田金時が、茨木童子と一戦を交えます。火がつきそうな激しい舞に、掛け声と大きな身振りで盛り上げる大太鼓の方が印象的でした。
東山神楽団「戻り橋後編」は、茨木童子の左腕を、渡辺綱が切り取る場面からスタート。姫と鬼の面を素早く変える演出と盛り上がる奏楽で、一気に物語の世界へと引きずり込まれます。豪華な刺繍のある衣装で合戦を舞う綱の姿、普通の演目では見られないもので、新鮮な感じがしますね。また鬼が持っている赤い傘も印象的で、この演目ならではの見所が序盤からしっかり楽しめます。戦いの後は場を落ちつかせるかのように、渡辺綱の一人舞があり、そして源頼光が登場。ただ強いだけでなく、実際には武士としてはかなり高い位まで出世した頼光ですが、ここはそんな気高さも感じられる場面だったと思います。いったん落ち着いたかと思えば、次は酒呑童子と茨木童子が白妙を襲う場面に。一つの演目にこれだけたくさんの見所や展開があるのも、新舞の魅力の一つですね。まんまと腕を取り返し、さらに大江山へと逃げ去った鬼たち。最後の頼光と綱の舞は、必ず退治してやる!といった勢いを感じるものでした。
そしていよいよクライマックス。浜田市の上府社中「大江山」が始まりました。怪童丸の面影が残る坂田金時、「戻り橋」で活躍した渡辺綱。そして四天王を従え、鋭い眼差しでひと際凛々しさを感じる源頼光。この三人が登場するだけでも見応えありで、さらに決戦が近づいてくるというワクワク感も覚えました。勇ましい神の舞の後は、やわらかな姫の舞。見られた方も印象的だったと思いますが、両手に長い布を持って自在に操りながらの舞は、思わず「お見事!」と声をかけたくなるほど。そして姫の案内でついに鬼の岩屋へ辿り着いた頼光たち。「うお~」と唸り声を上げながら五匹の鬼が出てくる所は、会場からもどよめきが。頼光と童子の流れるような問答に続いて酒宴が始まりました。気分をよくした鬼は「都で流行りの歌を歌え」とリクエスト。すると綱が手拍子しながら歌い始めたのはなんと「お魚くわえたドラネコ…」のフレーズ!!これには意表を突かれました(笑)。他にもアドリブともとれるような「…酔うた。」という童子のつぶやき?もあり、今まで見たことのない面白い場面になっていました。もちろんこの後に決戦となるんですが、これで一気に場の雰囲気を変えて、壮絶な戦いの舞が繰り広げられます。とてもスケールの大きい神楽を見せていただいたような気がしましたね。
以上、7月の月一の舞「大江山への道」でした。来月は高校生のみなさんによる特集が企画されています。どうぞみなさんお越しください!
2010,07,26 Mon 23:39
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