後半は大塚神楽団「羅生門」からスタート。おそらく今回のイベントの中で、一番面を変えた回数が多い上演だったのではないでしょうか。鬼から老婆へ、老婆から鬼へ、そして鬼から鬼へ。まさに変化自在の酒呑童子の化身さんの芸はお見事でした。そして取り返した腕を茨木童子にくっつける場面は、みなさんお楽しみいただけたでしょうか。また腕がもげてしまい、「童子どの!それワシの腕じゃ!」「すまんすまん!」というような会話が聞こえてきそうでしたね。
そして中川戸神楽団「青葉の笛」。人の業によって鬼にされてしまった官那羅(かんなら)と、美しい音色を持つ青葉の笛の物語です。神が六歌仙(ろっかせん)の一人として有名な在原業平(ありわらのなりひら)ということもあり、歌に始まり歌に終わるというのも面白い演出だと思います。また中盤で、業平が吹く青葉の笛と、神楽の笛との掛け合いも情緒溢れ、悲しい物語を忘れて聴き入ってしまいました。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。やはり鬼女と言えば「紅葉狩」でしょうか。鬼女たちの豪華で華やかな衣装は、そのまま秋の山々の美しさのようですね。平維茂らに酒をすすめ、一瞬だけ鬼の本性を見せるところは、上河内さんならではの演出。そしてまた鬼女の姿を現したときは、先ほどの面とは違うものなんですよね。見事な早変わりで客席を沸かせてくださいました。
どの演目も鬼女の恐ろしさ、はかなさを存分に生かした神楽で、しっかりと楽しむことができました。そしてやはり、このイベントを支えてくださったスタッフのみなさんの素晴らしい仕事ぶりに感謝したいですね。来年はどんな「スペシャル」になるのか、今から楽しみです!
この記事が面白い・勉強になったと思われたら迷わずクリック
2007,12,18 Tue 20:40
コメント
コメントする
この記事のトラックバックURL
http://www.npo-hiroshima.jp/blogn/tb.php/188
トラックバック