こんなに怖い神楽は、あの「貴船」以来!八重西神楽団の創作神楽「奥州安達ヶ原の鬼女」。もとのあらすじだけでも恐ろしい話が、八重西さんの見事な演出により、さらに恐怖感が際立っていました。前半で鬼婆に殺されてしまう「恋衣」を舞われた方が、わずかな登場時間にもかかわらず個人賞を受賞されたように、みなさんとても素晴らしい演技をされていたと思います。また、クライマックスの場面では、阿闍梨祐慶の唱えるお経と奏楽がとてもよく合っていて、非常に見応えのあるものになっていました。
見応えといえば、最後に上演された今福神楽社中の「大蛇」。やはり石見神楽の大蛇は本当に素晴らしいですね。「動く」のではなく、ちゃんと「舞っている」大蛇がステージいっぱいに暴れまわるのですから、見ていて圧倒されっぱなしでした。特に大蛇が酒に酔って寝てしまう場面では、「大蛇ってこういう寝方するんだぁ~!」と感動するほどのリアルな演技でした。
同じく石見神楽の後野神楽社中「五神」。なかなか見る機会のない演目で、まずはこの演目を上演されたことに敬意を表したいですね。陰陽五行思想において、東西南北を表す4人の神と、中央を表す神が、それぞれ領土を主張して争いになりますが、式部の老人がこれを仲裁し、以後平和になったというあらすじ。印象的だったのは、まず4人に領土を主張する際に、チャリ役が登場したこと。そして4人それぞれに話しかけ、口上というよりアドリブの会話が交わされたのがおもしろかったですね。
そしてもう一つ、吉田神楽団の「元就公」。広島を代表する戦国武将の毛利元就、その出身地である安芸高田市吉田町の神楽団ならではの創作神楽といえるでしょう。あらすじは、元就がその名を全国にとどろかすきっかけにもなった、「郡山合戦」をもとに作られています。神の衣装には、毛利家の家紋が記されていたり、ドライアイスを使った演出など、いろいろ工夫をされていて見どころがいっぱいでした。
10月に入り一段と寒くなってきましたので、これから神楽を見に行かれる際は、防寒対策をしっかりして風邪をひかないように気をつけましょう!
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2006,10,09 Mon 20:08
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