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中川戸神楽団「土蜘蛛」。ここでは主役の胡蝶さんに注目。最初に出てきた時は頼光に付き従い、まさに侍女の姿そのもの。そして典薬守の元へ行くわけですが、この流れの中で、舞にはまったく派手な所がなく、静かに淡々と舞われている印象を受けました。そしてこの後、土蜘蛛が化けた胡蝶の舞になるわけですが、この対比がお見事でしたね!同じ舞手さんとは思えないほど、まったく違う印象を受けました。先ほどは脇役という雰囲気すら感じたのが、一変して「私が主役だ!」と言わんばかりの存在感。舞手さんのこだわりをしっかりと感じることができました。
次は上河内神楽団「悪狐伝」。きっと楽しみにされている方も多かったことでしょう!珍斉和尚さんの作り出す笑いの渦に、会場全体が巻き込まれていました。当日が参院選挙だったこともあり、「投票行ってきた?」と問いかけてみたり。現れた悪狐にお手をさせて、「かわいいやつじゃの~」と抱き合ってみたり。悪狐にやられてしまうと、退場の間際に面を取ってご挨拶。笑いで楽しんだ後は、三浦介らと悪狐の対決に釘付け。正体を見破られた玉藻前の放つ怒りの言葉は、体中がゾクゾクしてきます。そして興奮が高まったところでついに戦いが始まり、今度は激しい合戦で会場が沸いていました。
続いては珍しい演目で、初めてご覧になった方も多くおられたことでしょう。天神神楽団「二所の朝廷」。平安時代に、平城京と平安京との間で起こった政治的な争いを題材にした創作神楽です。見所はやはり、三人の美女たちが鬼になる場面。鬼女への早変わりはファンのみなさんお馴染みだと思いますが、そこにさらなる要素を加えることで、今までにない新鮮さを感じました。画像でもおわかりのように、なんと大蛇の登場!予想外の展開に驚いていると、その蛇体を持ち上げて三匹の鬼が登場!!立て続けの驚きの展開に、会場からは大きなどよめきと拍手が。あらすじも少し難しいですし、機会があればまたじっくりと見てみたい演目ですね。
最後は宮乃木神楽団「大江山」。トリを飾る上演に、期待が高まります。始まってすぐ、さっと幕を切って登場した頼光たちの姿、カッコいいですね~!それぞれに個性的な衣装なのも、見る側の目を引き付けます。姫の案内で鬼の岩屋へと辿り着いた一行は、酒呑童子との問答になります。ここも見所の一つ。雷が轟くかのように叫ぶ童子ら、それに怯むことなく、堂々と答えていく頼光。流れるような台詞は聞いていて心地がいいですね。そしてラストにも注目。一太刀浴びせられた酒呑童子は、酒を飲んで反撃に出ようとしますが、その酒は神変鬼毒酒。みるみるうちに力を失っていくのでした。大好物の酒が仇となってしまった、という演出を興味深く見せていただきました。
以上「RCC神楽スペシャル」の特派員報告でした。暑い時期が続きますが、みなさん体調崩されないように!
中川戸神楽団「土蜘蛛」。ここでは主役の胡蝶さんに注目。最初に出てきた時は頼光に付き従い、まさに侍女の姿そのもの。そして典薬守の元へ行くわけですが、この流れの中で、舞にはまったく派手な所がなく、静かに淡々と舞われている印象を受けました。そしてこの後、土蜘蛛が化けた胡蝶の舞になるわけですが、この対比がお見事でしたね!同じ舞手さんとは思えないほど、まったく違う印象を受けました。先ほどは脇役という雰囲気すら感じたのが、一変して「私が主役だ!」と言わんばかりの存在感。舞手さんのこだわりをしっかりと感じることができました。
次は上河内神楽団「悪狐伝」。きっと楽しみにされている方も多かったことでしょう!珍斉和尚さんの作り出す笑いの渦に、会場全体が巻き込まれていました。当日が参院選挙だったこともあり、「投票行ってきた?」と問いかけてみたり。現れた悪狐にお手をさせて、「かわいいやつじゃの~」と抱き合ってみたり。悪狐にやられてしまうと、退場の間際に面を取ってご挨拶。笑いで楽しんだ後は、三浦介らと悪狐の対決に釘付け。正体を見破られた玉藻前の放つ怒りの言葉は、体中がゾクゾクしてきます。そして興奮が高まったところでついに戦いが始まり、今度は激しい合戦で会場が沸いていました。
続いては珍しい演目で、初めてご覧になった方も多くおられたことでしょう。天神神楽団「二所の朝廷」。平安時代に、平城京と平安京との間で起こった政治的な争いを題材にした創作神楽です。見所はやはり、三人の美女たちが鬼になる場面。鬼女への早変わりはファンのみなさんお馴染みだと思いますが、そこにさらなる要素を加えることで、今までにない新鮮さを感じました。画像でもおわかりのように、なんと大蛇の登場!予想外の展開に驚いていると、その蛇体を持ち上げて三匹の鬼が登場!!立て続けの驚きの展開に、会場からは大きなどよめきと拍手が。あらすじも少し難しいですし、機会があればまたじっくりと見てみたい演目ですね。
最後は宮乃木神楽団「大江山」。トリを飾る上演に、期待が高まります。始まってすぐ、さっと幕を切って登場した頼光たちの姿、カッコいいですね~!それぞれに個性的な衣装なのも、見る側の目を引き付けます。姫の案内で鬼の岩屋へと辿り着いた一行は、酒呑童子との問答になります。ここも見所の一つ。雷が轟くかのように叫ぶ童子ら、それに怯むことなく、堂々と答えていく頼光。流れるような台詞は聞いていて心地がいいですね。そしてラストにも注目。一太刀浴びせられた酒呑童子は、酒を飲んで反撃に出ようとしますが、その酒は神変鬼毒酒。みるみるうちに力を失っていくのでした。大好物の酒が仇となってしまった、という演出を興味深く見せていただきました。
以上「RCC神楽スペシャル」の特派員報告でした。暑い時期が続きますが、みなさん体調崩されないように!
2013,07,27 Sat 01:03
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7月21日に広島市の上野学園ホールで「RCC神楽スペシャル」が行われました。夏のホール神楽のイベントとして定着し、今年10年という節目を迎えました。会場はほぼ満席で、神楽ファンのみなさんの期待の高さが伺えましたよ!それでは報告です。
まずは原田神楽団「胴の口」。神楽を舞う時に、最初に演じる儀式舞の一つです。静かな囃子から始まり、段々と激しくなってくる様子がみなさんにもおわかりになったことと思います。派手な上演が多いホール神楽と言えど、やはり始まりは静かな囃子のほうが心が落ち着きますね。そしてこの演目の魅力の一つである「神楽歌」。パンフレットにも一部掲載されていたので、ご覧になりながら楽しまれた方もおられたことでしょう。また、全部はわからなくても、「神楽の声を」「御座へ参ろう」「太鼓の音は」といったフレーズが聞こえるだけでも、ちょっとだけ神聖な気分になれますね。
次は琴庄神楽団「滝夜叉姫」。先ほどの「胴の口」は奏楽メインの演目ですが、この琴庄さんの「滝夜叉姫」も、奏楽に注目。場面ごとだけでなく、舞手さんと一体化して微妙な変化をつけたりと、実に細かな表現が伝わってきました。新舞というジャンルでは、こういった表現が実に重要になってきますが、「厳島」という最新の神楽に挑戦されている琴庄さん、そのあたりの演出はさすがといったところ。そしてクライマックスの盛り上がりも見所の一つ。滝夜叉姫が面を変え、衣装を変えるごとに会場からは大きな拍手が。興奮の連続だった合戦が終わると、そこには元の五月姫の姿が。印象に残る場面ですね。
続いては吉田高校神楽部による「日本武尊」。未来の広島神楽を背負って立つ、若いみなさんの元気溢れる上演でした。広いステージの舞心地は果たしてどうだったでしょうか。きっと相当な練習を詰まれてこの日を迎えられたことと思います。舞手さんも奏楽さんも、その一生懸命ぶりがしっかり伝わってきましたよ!その中でもやはり最後の合戦がよかったですね。一つの演目の中で最も盛り上がる重要な部分ですが、舞も囃子も速くなるため、みんなの呼吸を合わせることが大事です。しかし乱れることなく、それでいてしっかり盛り上げる。簡単そうに見えて難しい部分、日ごろの練習の成果をしっかり見せていただきました。
そして原田神楽団「紅葉狩」。三人の鬼女たちによる美しい舞にまず魅せられます。ゆったりとしている舞の中に、ひらひらと舞い散る紅葉の様子が浮かんでくるようです。しかし鬼女たちが抱いてる怨念は相当なもので、その怒りを隠さず表現する言葉のくだりは、背筋がゾクゾクしますね!平維茂たちが酔い伏し、ついに恨みを晴らさんとする場面の盛り上がりは最高潮で、思わず鬼女側を応援してしまいそうになるほど。そして最初の上演「胴の口」で、神様をお呼びした原田さんですが、勢いで?チャンチキの神様も降臨されました(笑)。客席の後ろにいても、舞殿のすぐそばにいるような、神楽ならではの独特の一体感を味わうことができました。
以上四演目のご紹介でした。後半もお楽しみに!
まずは原田神楽団「胴の口」。神楽を舞う時に、最初に演じる儀式舞の一つです。静かな囃子から始まり、段々と激しくなってくる様子がみなさんにもおわかりになったことと思います。派手な上演が多いホール神楽と言えど、やはり始まりは静かな囃子のほうが心が落ち着きますね。そしてこの演目の魅力の一つである「神楽歌」。パンフレットにも一部掲載されていたので、ご覧になりながら楽しまれた方もおられたことでしょう。また、全部はわからなくても、「神楽の声を」「御座へ参ろう」「太鼓の音は」といったフレーズが聞こえるだけでも、ちょっとだけ神聖な気分になれますね。
次は琴庄神楽団「滝夜叉姫」。先ほどの「胴の口」は奏楽メインの演目ですが、この琴庄さんの「滝夜叉姫」も、奏楽に注目。場面ごとだけでなく、舞手さんと一体化して微妙な変化をつけたりと、実に細かな表現が伝わってきました。新舞というジャンルでは、こういった表現が実に重要になってきますが、「厳島」という最新の神楽に挑戦されている琴庄さん、そのあたりの演出はさすがといったところ。そしてクライマックスの盛り上がりも見所の一つ。滝夜叉姫が面を変え、衣装を変えるごとに会場からは大きな拍手が。興奮の連続だった合戦が終わると、そこには元の五月姫の姿が。印象に残る場面ですね。
続いては吉田高校神楽部による「日本武尊」。未来の広島神楽を背負って立つ、若いみなさんの元気溢れる上演でした。広いステージの舞心地は果たしてどうだったでしょうか。きっと相当な練習を詰まれてこの日を迎えられたことと思います。舞手さんも奏楽さんも、その一生懸命ぶりがしっかり伝わってきましたよ!その中でもやはり最後の合戦がよかったですね。一つの演目の中で最も盛り上がる重要な部分ですが、舞も囃子も速くなるため、みんなの呼吸を合わせることが大事です。しかし乱れることなく、それでいてしっかり盛り上げる。簡単そうに見えて難しい部分、日ごろの練習の成果をしっかり見せていただきました。
そして原田神楽団「紅葉狩」。三人の鬼女たちによる美しい舞にまず魅せられます。ゆったりとしている舞の中に、ひらひらと舞い散る紅葉の様子が浮かんでくるようです。しかし鬼女たちが抱いてる怨念は相当なもので、その怒りを隠さず表現する言葉のくだりは、背筋がゾクゾクしますね!平維茂たちが酔い伏し、ついに恨みを晴らさんとする場面の盛り上がりは最高潮で、思わず鬼女側を応援してしまいそうになるほど。そして最初の上演「胴の口」で、神様をお呼びした原田さんですが、勢いで?チャンチキの神様も降臨されました(笑)。客席の後ろにいても、舞殿のすぐそばにいるような、神楽ならではの独特の一体感を味わうことができました。
以上四演目のご紹介でした。後半もお楽しみに!
2013,07,25 Thu 00:58
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