なんとか天気も回復し、思ったより寒くならなかった日曜日。千代田開発センターで「月一の舞・如月の舞」が行われました。
今田神楽団「日本武尊」。あまり派手さはないかもしれませんが、その代わり舞や演技がじっくり楽しめる演目だと思います。上演前に団長様よりご紹介があったように、立ち合いの前の舞手4人のにらみ合い、ここは本当に迫力がありましたね。とても緊迫感があって、見ていて手に力が入るようでした。あと個人的には川上梟帥(かわかみたける)の方の演技がよかったと思います。実に力強く、荒々しく、しかも細かい動きも丁寧にやっておられたので、より一層神楽が楽しめました。
西村社中「塵輪」。石見神楽の塵輪を初めて見ることができました。まずはやはり、鬼が2匹出るのが特徴的ですね。しかも1匹は般若の面、そしてもう1匹が丸い面の赤鬼で、同じ塵輪でも広島県との違いを感じました。そして神も鬼も2人ずつということで、非常に見応えのある立ち合いでした。いろいろ見せ場がある神楽もよいですが、オーソドックスに神楽の面白さをじっくり味わうことができましたね。
原田神楽団「土蜘蛛」。胡蝶の方の素晴らしい舞と演技、そして面の早変わりには会場から大きな拍手がありました。原田神楽団さんは奏楽が非常に重みがあるように感じるのですが、それが胡蝶が頼光に襲いいかかる場面にピッタリで、さらに迫力ある場面になっていました。また鬼との立ち合いで、写真のように神と鬼とのにらみ合いがありましたが、こうすることによってさらに神楽が盛り上がるように感じました。
恒例の撮影会では、原田神楽団さんの鬼と胡蝶さんが登場。鬼に抱っこされて号泣するお子さんや、まったく動じないお子さんもいらっしゃって、こちらもみなさんに楽しんでいただけたと思います。回を重ねるごとに、撮影会に参加される方が多くなっているようで、それはこちらとしても嬉しく思います。が、協力していただく団員さんは舞った後ということで、けっこう大変ではないかと思うのですが、最後までしっかりサービスしておられました。来月は予定としては最後の「月一の舞」となります。どうぞみなさんお越しください☆
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今田神楽団「日本武尊」。あまり派手さはないかもしれませんが、その代わり舞や演技がじっくり楽しめる演目だと思います。上演前に団長様よりご紹介があったように、立ち合いの前の舞手4人のにらみ合い、ここは本当に迫力がありましたね。とても緊迫感があって、見ていて手に力が入るようでした。あと個人的には川上梟帥(かわかみたける)の方の演技がよかったと思います。実に力強く、荒々しく、しかも細かい動きも丁寧にやっておられたので、より一層神楽が楽しめました。
西村社中「塵輪」。石見神楽の塵輪を初めて見ることができました。まずはやはり、鬼が2匹出るのが特徴的ですね。しかも1匹は般若の面、そしてもう1匹が丸い面の赤鬼で、同じ塵輪でも広島県との違いを感じました。そして神も鬼も2人ずつということで、非常に見応えのある立ち合いでした。いろいろ見せ場がある神楽もよいですが、オーソドックスに神楽の面白さをじっくり味わうことができましたね。
原田神楽団「土蜘蛛」。胡蝶の方の素晴らしい舞と演技、そして面の早変わりには会場から大きな拍手がありました。原田神楽団さんは奏楽が非常に重みがあるように感じるのですが、それが胡蝶が頼光に襲いいかかる場面にピッタリで、さらに迫力ある場面になっていました。また鬼との立ち合いで、写真のように神と鬼とのにらみ合いがありましたが、こうすることによってさらに神楽が盛り上がるように感じました。
恒例の撮影会では、原田神楽団さんの鬼と胡蝶さんが登場。鬼に抱っこされて号泣するお子さんや、まったく動じないお子さんもいらっしゃって、こちらもみなさんに楽しんでいただけたと思います。回を重ねるごとに、撮影会に参加される方が多くなっているようで、それはこちらとしても嬉しく思います。が、協力していただく団員さんは舞った後ということで、けっこう大変ではないかと思うのですが、最後までしっかりサービスしておられました。来月は予定としては最後の「月一の舞」となります。どうぞみなさんお越しください☆
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2007,02,11 Sun 20:45
新着コメント
KAOさん、コメントありがとうございます。
こちらこそお世話になりました。
声をかけていただいてこちらも嬉しかったです☆
個人的にも、来月で最後というのがとても寂しく思います。
なんとか4月以降も続けれないかなと…^^;
またコメントお願いします!
こちらこそお世話になりました。
声をかけていただいてこちらも嬉しかったです☆
個人的にも、来月で最後というのがとても寂しく思います。
なんとか4月以降も続けれないかなと…^^;
またコメントお願いします!
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/02/12 18:38 | BFfnvy1Y |
この度は大変お世話になりました。うちの上演の前後に、広島の神楽見させてもらいましたが、とっても見応えがありました。私たちもまだまだ頑張らなければいけません。
特派員さんともお会い出来て嬉しかったです。
来月はいよいよ最後の「月一の舞」ですね。盛り上がる大会になるといいですね☆
特派員さんともお会い出来て嬉しかったです。
来月はいよいよ最後の「月一の舞」ですね。盛り上がる大会になるといいですね☆
| KAO | EMAIL | URL | 07/02/12 01:56 | 0hXi.bSU |
八千代神楽団「戻り橋」。始めは「葛城山」の予定だったのですが、新年を迎え、今年最初の月一の舞ということで「みなさんに笑っていただければ」との思いで変更されたんだそうです。そんなわけですので、傘売りの善平さんが大活躍されました(笑)。なんでも受験生がいらっしゃって、とにかく生活のためにもお金が必要、とのことで必死になって傘を売られていました。また八千代神楽団さんは、昔から八千代に伝わる神楽も伝承されておられるそうで、そちらも機会があればぜひ見てみたいですね。
細谷(ほそだに)社中「岩戸」。江戸時代中期に発足されたという記録が残っており、大変歴史のある社中さんです。石見神楽の「岩戸」を初めて拝見したのですが、やはり面白いですね。舞はもちろん楽の基本でもありますから、いろいろな囃子を楽しむことができました。兒屋根命と太玉命が最初に登場するのですが、声を聞いてみると兒屋根命が若い方のように感じました。後で面を取って舞われたのを見ると、兒屋根命に限らずほとんどが若い方でした。歴史ある社中の伝統ある神楽を、これからも伝承していただきたいと思います。
琴庄神楽団「奥州平泉」。団長の竹村様が「口上舞」というふうに説明をされていましたが、やはりみなさん声がいいですね。また演技も素晴らしいですから、立ち合いのない前半のやり取りも、非常に見応えがありました。また安宅関を通過した後、義経と弁慶のやり取りも感動的な場面で、ここも大きな拍手がありました。後半の立ち合いは演技に舞が加わったという感じで、最初から最後まで目が離せません。本当に完成度の高い神楽を見せていただきました。また、上演後の撮影会は、上演中のシリアスな演技とは対照的な、笑顔の義経さんと弁慶さんがステージに登場し、ファンのみなさんと写真を撮られていました。
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2007,01,14 Sun 20:03
新着コメント
KAOさん、コメントありがとうございます。
実は自分はまだ西村神楽社中さんの神楽を見たことがなく、また石見神楽の「塵輪」も初めてなので、来月の月一を非常に楽しみにしています。
素晴らしい企画と言っていただいて嬉しいです☆
こちらこそよろしくお願いします。
実は自分はまだ西村神楽社中さんの神楽を見たことがなく、また石見神楽の「塵輪」も初めてなので、来月の月一を非常に楽しみにしています。
素晴らしい企画と言っていただいて嬉しいです☆
こちらこそよろしくお願いします。
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/01/16 18:59 | BFfnvy1Y |
特派員のみなさんはじめまして。
2月にお世話になる西村神楽社中です。動画などを拝見させていただきながら、いよいよウチも番がきたと思って気が引き締まってきました。広島・島根の交流として企画的にも素晴らしいと思います。当日はよろしくお願い致します。
2月にお世話になる西村神楽社中です。動画などを拝見させていただきながら、いよいよウチも番がきたと思って気が引き締まってきました。広島・島根の交流として企画的にも素晴らしいと思います。当日はよろしくお願い致します。
| KAO | EMAIL | URL | 07/01/16 02:19 | Xt1Qbt/Q |
大変失礼いたしました。
本日の紹介のときに「ほそたに」と聞こえたので誤って掲載してしまいました。
すぐに訂正させていただきます。
こちらこそ、大変お世話になりました。
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
本日の紹介のときに「ほそたに」と聞こえたので誤って掲載してしまいました。
すぐに訂正させていただきます。
こちらこそ、大変お世話になりました。
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/01/14 21:37 | BFfnvy1Y |
本日大変御世話になりまして本当に有難うございました。
石見神楽細谷社中の者です。申\し訳ないのですが社中名は細谷(ほそだに)社中ですのでお願いいたします。
また機会がございましたら石見神楽細谷社中を宜しくお願いします。お疲れ様でした。
石見神楽細谷社中の者です。申\し訳ないのですが社中名は細谷(ほそだに)社中ですのでお願いいたします。
また機会がございましたら石見神楽細谷社中を宜しくお願いします。お疲れ様でした。
| KI℃ | EMAIL | URL | 07/01/14 21:33 | dTIBBFxY |
毎年盛り上がり続ける神楽人気ですが、お正月早々にまた一つ、神楽のイベントが新しく登場しました。広島市のグリーンアリーナで行われたニューイヤーイベントで、「新春神楽」がありました。1日目は東山神楽団と三谷神楽団の上演で、今回は2日目に行ってきました。
まず宮乃木神楽団「紅葉狩」。ちょうど神楽研究コラムで特集しているので、いろいろと興味を持って見ることができたように思います。宮乃木神楽団の「紅葉狩」は、大会やイベントでよく見かけるものと少し違った内容になっています。戸隠山近辺に伝わる伝説により近いものなので、まだ見たことのない方、ぜひ見てみてください。
次は大塚神楽団「悪狐伝」。とにかく珍斉和尚さんの面白いこと!客席から現れたり、司会の人を呼び出したり、役をチェンジしたり、しまいにはみそをするすり鉢を壊す始末(笑)。しかも神と狐の立ち合いが始まろうかという時に、壊れたすり鉢を片付けに再び現れると、たまらずセリフの途中に神の方も吹き出してしまったり…。本当に笑わせていただきました!
休憩のあとは、宮乃木神楽団「八岐大蛇」。普段はあまり舞われないということで、滅多にお目にかかれない貴重な演目でした。石見神楽の大蛇をもとにして、「どろどろとした大蛇の舞」という紹介でしたが、確かに石見神楽の雰囲気がありましたね。また客席の後ろからも二頭の大蛇が現れ、お客さんを喜ばせていました。
最後は大塚神楽団「山姥」。前半の山姥と怪童丸が舞う場面では、2人の息の合った舞がとても印象に残りました。山姥の落ち着きがあって不気味さを感じさせる舞と、怪童丸の元気の良さ、力強さの舞。ピッタリと動きがそろう、という意味ではなく見ていて安定感がありました。また、親子の別れの場面は、ややマイクが不調だったにも関わらず、客席から大きな拍手が起こりました。
自分にとって2007年初神楽でした。みなさんはどんな初神楽を迎えられたでしょうか?本年もよろしくお願いします。
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2007,01,04 Thu 14:07
新着コメント
今年の5月から、特派員として活動を始めてあっという間の7ヶ月。各地でさまざまな神楽を見てきました。そして、この1年の活動を振り返って感じたことをまとめてみようと思います。
まず、私が常に考えているのは「神楽とは何か」という事です。
簡単なようで難しい問いかけだと思いますが、すぐに答えられる方、いらっしゃいますでしょうか。
そして私の願いは、この地域の神楽がより一層発展し、いつまでも伝承される事です。しかし、現在の状況を見ると、果たしてこのままで本当に大丈夫だろうかと、 不安を抱かざるを得ません。
特派員として各地の大会やイベントを視察する一方で、いろいろな資料などで神楽の勉強もしています。その中で興味深い文章を見つけました。
『かつて芸北地方の神楽競演大会を見られた民俗学者が「神楽のような芸能大会」と評され、数年後には「神楽ともいえない芸能大会」と述べられた』そうです。
これは、普段私たちが目にしているほとんどの神楽が、民俗学的には「神楽ではない」という意味になってしまいます。広島県に入ってきた石見神楽が、各地に根付いて芸北神楽となり、最近では「ひろしま神楽」という言葉も使われるようになってきています。
何が言いたいかと言うと、「神楽が進化し続けている」ということです。もちろん、今までも時代の変化とともに神楽も進化し、そのおかげで今日まで伝承されてきました。しかしここ十数年、いわゆるスーパー神楽や創作神楽などの登場によって、著しく変わってしまったという印象を持つのは、私だけではないと思います。簡単に言うなら「派手になりすぎている」といった感じでしょうか。
ここで、現在の状況を見てみましょう。近年は各神楽団とも見せ方に工夫を凝らし、非常に見栄えのする神楽が増えてきています。これは応援してくださるファンのためであり、もっと喜んでもらいたいという気持ちの表れです。そうすることによって、ファンの方もますます神楽に夢中になっていきます。そして、競演大会やイベントの主催者側は、たくさんのお客さんに来て欲しい、という気持ちが当然ありますから、プログラムはどうしても人気の高い神楽団がメインになります。呼ばれた神楽団は、せっかく呼んでいただいて、たくさんの方に見てもらうのだから、と少しでも見栄えをよくしようと工夫をします。そしてそれにまたファンが反応し…というように、今の状況は神楽がますます派手になるような循環が出来上がってしまっているのです。
神楽の発展という意味では、これは歓迎すべき状況でしょう。しかし、伝統の芸能の保存という観点から見れば、とても手放しで喜べるものではありません。ではどうすればよいのでしょうか。「じゃぁ旧舞ばっかりやればいいのか?」という声が上がりそうですが、そんな単純な問題ではありません。それに私は、スーパー神楽や創作神楽の批判をしたいわけでもありません。神楽ブームと言われる今だからこそ、神楽団・神楽ファン・主催者の三者が、「神楽とは何か」ということを見つめ直さなければならないと思います。
その中でも、特にファンの方にもっと神楽の事を知ってもらう機会を作るのが急務ではないかと考えています。現在の状況は、ただ神楽を見るだけで終わってしまい、ファンには見た目の良さしか残りません。そうではなく、「この演目ではこの衣装、面を着ける」だとか「舞人の立ち位置にはこんな意味がある」というような、神楽の基本をファンの方に知ってもらえば、ただ派手なものがいいというわけではない、神楽の本当の面白さみたいなものが、少しはわかっていただけるのではと思います。
私は、神楽芸術研究所の一人として、この地域の神楽のために何をすればよいかと、毎日あれこれ考えています。今回は「神楽とは何か」という事を一人でも多くの方に考えていただきたいと思い、この文章を書きました。今後も活動を続けていきたいのですが、今年はマイクロソフト社のNPO支援事業のおかげで助成金をいただき、このような活動ができました。しかし来年以降はそういったものがないので、今までと同じような活動ができる保障はありません。こればかりは自分の力ではどうしようもない事です。ですから、今まで以上にみなさんのご支援、ご協力が必要です。どうかこれからもよろしくお願いします。
このコラムに関してのご意見、ご感想をお待ちしております。
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まず、私が常に考えているのは「神楽とは何か」という事です。
簡単なようで難しい問いかけだと思いますが、すぐに答えられる方、いらっしゃいますでしょうか。
そして私の願いは、この地域の神楽がより一層発展し、いつまでも伝承される事です。しかし、現在の状況を見ると、果たしてこのままで本当に大丈夫だろうかと、 不安を抱かざるを得ません。
特派員として各地の大会やイベントを視察する一方で、いろいろな資料などで神楽の勉強もしています。その中で興味深い文章を見つけました。
『かつて芸北地方の神楽競演大会を見られた民俗学者が「神楽のような芸能大会」と評され、数年後には「神楽ともいえない芸能大会」と述べられた』そうです。
これは、普段私たちが目にしているほとんどの神楽が、民俗学的には「神楽ではない」という意味になってしまいます。広島県に入ってきた石見神楽が、各地に根付いて芸北神楽となり、最近では「ひろしま神楽」という言葉も使われるようになってきています。
何が言いたいかと言うと、「神楽が進化し続けている」ということです。もちろん、今までも時代の変化とともに神楽も進化し、そのおかげで今日まで伝承されてきました。しかしここ十数年、いわゆるスーパー神楽や創作神楽などの登場によって、著しく変わってしまったという印象を持つのは、私だけではないと思います。簡単に言うなら「派手になりすぎている」といった感じでしょうか。
ここで、現在の状況を見てみましょう。近年は各神楽団とも見せ方に工夫を凝らし、非常に見栄えのする神楽が増えてきています。これは応援してくださるファンのためであり、もっと喜んでもらいたいという気持ちの表れです。そうすることによって、ファンの方もますます神楽に夢中になっていきます。そして、競演大会やイベントの主催者側は、たくさんのお客さんに来て欲しい、という気持ちが当然ありますから、プログラムはどうしても人気の高い神楽団がメインになります。呼ばれた神楽団は、せっかく呼んでいただいて、たくさんの方に見てもらうのだから、と少しでも見栄えをよくしようと工夫をします。そしてそれにまたファンが反応し…というように、今の状況は神楽がますます派手になるような循環が出来上がってしまっているのです。
神楽の発展という意味では、これは歓迎すべき状況でしょう。しかし、伝統の芸能の保存という観点から見れば、とても手放しで喜べるものではありません。ではどうすればよいのでしょうか。「じゃぁ旧舞ばっかりやればいいのか?」という声が上がりそうですが、そんな単純な問題ではありません。それに私は、スーパー神楽や創作神楽の批判をしたいわけでもありません。神楽ブームと言われる今だからこそ、神楽団・神楽ファン・主催者の三者が、「神楽とは何か」ということを見つめ直さなければならないと思います。
その中でも、特にファンの方にもっと神楽の事を知ってもらう機会を作るのが急務ではないかと考えています。現在の状況は、ただ神楽を見るだけで終わってしまい、ファンには見た目の良さしか残りません。そうではなく、「この演目ではこの衣装、面を着ける」だとか「舞人の立ち位置にはこんな意味がある」というような、神楽の基本をファンの方に知ってもらえば、ただ派手なものがいいというわけではない、神楽の本当の面白さみたいなものが、少しはわかっていただけるのではと思います。
私は、神楽芸術研究所の一人として、この地域の神楽のために何をすればよいかと、毎日あれこれ考えています。今回は「神楽とは何か」という事を一人でも多くの方に考えていただきたいと思い、この文章を書きました。今後も活動を続けていきたいのですが、今年はマイクロソフト社のNPO支援事業のおかげで助成金をいただき、このような活動ができました。しかし来年以降はそういったものがないので、今までと同じような活動ができる保障はありません。こればかりは自分の力ではどうしようもない事です。ですから、今まで以上にみなさんのご支援、ご協力が必要です。どうかこれからもよろしくお願いします。
このコラムに関してのご意見、ご感想をお待ちしております。
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2006,12,29 Fri 20:50
新着コメント
すみません、文章が切れてしまったので、続きを投稿します。
八調子石見神楽系を研究に値しないと言う人は言ってしまえば、大元神楽や比婆荒神神楽に価値を見出している訳です。それはそれで立派なことですが、一方で時代に応じて変化する神楽、ありのままの神楽をありのまま見ていないことになります。すなわち権威主義なのです。
ステージで演じる神楽をセカンドハンド、フォークロリズムだという批判もあります。フォークロリズムとは要するにフォークロアまがいです。ですが、なぜまがいものが観客を惹きつけるのか、民俗学はその理由を明らかにしていないのです。言いっぱなしなのです。
またまた話が変わりますが、関東の神楽は幕間が長く、着付けと休憩で一時間くらい空きます。その間に観客が入れ替わってしまうのです。観察するに、親御さんが子供さんに積極的に神楽を見せるという習慣がないようです。
神楽の鍵を握るのは子供です。親が子に神楽を見せる、そうやって成長した子供が親となってその子(孫)に神楽を見せるというサイクルが島根や広島では確立されています。いかにあしざまに言われようがビクともしないのは、こうしたサイクルのお蔭でしょう。
八調子石見神楽系を研究に値しないと言う人は言ってしまえば、大元神楽や比婆荒神神楽に価値を見出している訳です。それはそれで立派なことですが、一方で時代に応じて変化する神楽、ありのままの神楽をありのまま見ていないことになります。すなわち権威主義なのです。
ステージで演じる神楽をセカンドハンド、フォークロリズムだという批判もあります。フォークロリズムとは要するにフォークロアまがいです。ですが、なぜまがいものが観客を惹きつけるのか、民俗学はその理由を明らかにしていないのです。言いっぱなしなのです。
またまた話が変わりますが、関東の神楽は幕間が長く、着付けと休憩で一時間くらい空きます。その間に観客が入れ替わってしまうのです。観察するに、親御さんが子供さんに積極的に神楽を見せるという習慣がないようです。
神楽の鍵を握るのは子供です。親が子に神楽を見せる、そうやって成長した子供が親となってその子(孫)に神楽を見せるというサイクルが島根や広島では確立されています。いかにあしざまに言われようがビクともしないのは、こうしたサイクルのお蔭でしょう。
| mitsuzakura | EMAIL | URL | 20/11/24 21:56 | rj4PZ9s6 |
失礼します。私は島根県浜田市の出身で、現在は関東に住んでいます。なので芸北神楽はYouTubeで見ただけです。いずれ大朝の競演大会を見にいきたいと思っています(高速道路で一本なので)。
さて、関東の神代神楽の奉納を何軒か見ることができたのですが、石見神楽系の神楽に比べてバトルの要素が薄いのです。海幸山幸や天孫降臨など記紀神話に比較的忠実な内容です。
翻って見るに、特に芸北神楽の新舞ですが、ほとんどの演目がバトルが主眼となっています。それから新舞の場合、その成り立ち上、神話を題材にした演目が少なく説話を題材にした演目が多いです。言ってしまえば、神話劇からの逸脱です。
出雲の民俗学者である石塚尊俊は「曲目もどんどん新作され、神楽といいながら神話とも縁起とも関係ないものがもっぱら賞翫されるに至っております。」と山陰民俗研究3号で述べています。
八調子石見神楽系の人気の要因はテンポが速い、闊達である、そして勧善懲悪のストーリー性を持つこと等でしょう。しかしながら、特に新舞はそれに特化し過ぎてしまっている様に見えます。これは神楽とは神話劇であるという縛りを外すことで、一段と世界を広げているという見方もできるでしょう。一方で、バトル一辺倒の内容となっていますので、その点で発展の方向性が限られているということも言えます。
関東の神代神楽が証明していますが、バトルに頼らなくても神楽は成立するのです(※関東の神楽にバトルが無いとは言っていません)。
話は変わりますが、私自身、中学生のときに「本物の神楽は大元神楽みたいなのを言うんだ」と郷土史家だった担任の先生の発言があったことを記憶しています。
芸北神楽を神楽ではないという批判ですが、要するに「ショーである」「見せ物である」という批判と同根のものでしょう。
これについては、二つの見方が挙げられます。伝統芸能は昔から変わらずに今まできたという認識は今では否定され、伝統芸能は時代に応じて変化しながら生き残ってきたという認識の方が有力となっています。
八調子石見神楽系は他地域の神楽と比べて変化を進んで受容し、時代に応じて生き延びてきた度合いが強いと言えるでしょう。
八調子石見神楽系を研究に値しないと言う人は言ってしまえば、大元神楽や比婆荒神神楽に価値を見出している訳です。それはそれで立派なことですが、一方で時代に応じて変化する神楽、ありのま
さて、関東の神代神楽の奉納を何軒か見ることができたのですが、石見神楽系の神楽に比べてバトルの要素が薄いのです。海幸山幸や天孫降臨など記紀神話に比較的忠実な内容です。
翻って見るに、特に芸北神楽の新舞ですが、ほとんどの演目がバトルが主眼となっています。それから新舞の場合、その成り立ち上、神話を題材にした演目が少なく説話を題材にした演目が多いです。言ってしまえば、神話劇からの逸脱です。
出雲の民俗学者である石塚尊俊は「曲目もどんどん新作され、神楽といいながら神話とも縁起とも関係ないものがもっぱら賞翫されるに至っております。」と山陰民俗研究3号で述べています。
八調子石見神楽系の人気の要因はテンポが速い、闊達である、そして勧善懲悪のストーリー性を持つこと等でしょう。しかしながら、特に新舞はそれに特化し過ぎてしまっている様に見えます。これは神楽とは神話劇であるという縛りを外すことで、一段と世界を広げているという見方もできるでしょう。一方で、バトル一辺倒の内容となっていますので、その点で発展の方向性が限られているということも言えます。
関東の神代神楽が証明していますが、バトルに頼らなくても神楽は成立するのです(※関東の神楽にバトルが無いとは言っていません)。
話は変わりますが、私自身、中学生のときに「本物の神楽は大元神楽みたいなのを言うんだ」と郷土史家だった担任の先生の発言があったことを記憶しています。
芸北神楽を神楽ではないという批判ですが、要するに「ショーである」「見せ物である」という批判と同根のものでしょう。
これについては、二つの見方が挙げられます。伝統芸能は昔から変わらずに今まできたという認識は今では否定され、伝統芸能は時代に応じて変化しながら生き残ってきたという認識の方が有力となっています。
八調子石見神楽系は他地域の神楽と比べて変化を進んで受容し、時代に応じて生き延びてきた度合いが強いと言えるでしょう。
八調子石見神楽系を研究に値しないと言う人は言ってしまえば、大元神楽や比婆荒神神楽に価値を見出している訳です。それはそれで立派なことですが、一方で時代に応じて変化する神楽、ありのま
| mitsuzakura | EMAIL | URL | 20/11/24 21:51 | rj4PZ9s6 |
メビウスさん、コメントありがとうございます。
団員をされている方の投稿、嬉しいです☆
メビウスさんの意見、本当にその通りだと思います。
「敬神観念」、ファンの方には難しいかもしれませんが、これは神楽において非常に大切なものですよね。
もっと団員さんとファンとの距離を、いろんな面から近づけたい、と思います。
ご意見ありがとうございました。
団員をされている方の投稿、嬉しいです☆
メビウスさんの意見、本当にその通りだと思います。
「敬神観念」、ファンの方には難しいかもしれませんが、これは神楽において非常に大切なものですよね。
もっと団員さんとファンとの距離を、いろんな面から近づけたい、と思います。
ご意見ありがとうございました。
| 特派員 | EMAIL | URL | 06/12/31 17:20 | BFfnvy1Y |
私も神楽を舞いますが、大晦日にもの思う。です。
確かに神楽は、神の御霊を鎮めると同時に大衆の楽しみ、心のよりどころの一端を担い発展、進化し続けてきました。でも、私は思います。見るものを意識しないのもこの地方に根付いた神楽ではないと。活発な囃子と絢爛な衣装。その神楽は人々を魅了し、感動を与える。全国稀な郷土芸能です。一方では、過疎化が進み、神楽を奉納することすらできなくなった団体も垣間見られ、全体を見渡せば後継者が着実に減っているのはまぎれもない事実。芸能化を迎合するものではありませんが、神楽人はいろんな狭間で葛藤しているのだと思います。舞台神楽のみを見れば確かに神楽とは言いがたいのかも知れない・・・しかし、そこに立つものは宮での奉納も礼をつくしておこなっているはず。私は神楽人として、その場に合った舞のできる懐の深い舞子でいたいと思います。そして、この誇れる郷土芸能をこの地の文化として、敬神観念を持ちながら伝承していきたいと思っています。
確かに神楽は、神の御霊を鎮めると同時に大衆の楽しみ、心のよりどころの一端を担い発展、進化し続けてきました。でも、私は思います。見るものを意識しないのもこの地方に根付いた神楽ではないと。活発な囃子と絢爛な衣装。その神楽は人々を魅了し、感動を与える。全国稀な郷土芸能です。一方では、過疎化が進み、神楽を奉納することすらできなくなった団体も垣間見られ、全体を見渡せば後継者が着実に減っているのはまぎれもない事実。芸能化を迎合するものではありませんが、神楽人はいろんな狭間で葛藤しているのだと思います。舞台神楽のみを見れば確かに神楽とは言いがたいのかも知れない・・・しかし、そこに立つものは宮での奉納も礼をつくしておこなっているはず。私は神楽人として、その場に合った舞のできる懐の深い舞子でいたいと思います。そして、この誇れる郷土芸能をこの地の文化として、敬神観念を持ちながら伝承していきたいと思っています。
| メビウス | EMAIL | URL | 06/12/31 17:07 | LEQ4bAmU |
ジェラードさん、コメントありがとうございます。
「天の岩戸」は、本来ならば儀式舞と同じように、神楽を舞うときには必ず奉納しなければならない演目でした。
しかし、この「天の岩戸」が保持演目にない神楽団もけっこうあるようです。
見た目は地味ですが、大切な神楽の一つだと思います。
またコメントお願いします。
「天の岩戸」は、本来ならば儀式舞と同じように、神楽を舞うときには必ず奉納しなければならない演目でした。
しかし、この「天の岩戸」が保持演目にない神楽団もけっこうあるようです。
見た目は地味ですが、大切な神楽の一つだと思います。
またコメントお願いします。
| 特派員 | EMAIL | URL | 06/12/30 12:00 | BFfnvy1Y |
今年最後の特派員報告は、ちょっと珍しい写真を紹介してみようと思います。
まずこの写真は、開場前にスタッフで最終打ち合わせをしているところです。プロデューサー、音響、照明、ドライアイス、撮影、そして司会の方もみんな一緒に話し合います。もちろん、みなさんプロの方で、神楽のステージも慣れっこなので、本番でも失敗はなく、素晴らしいステージになったと思います。
こちらは中川戸神楽団の方が、「伊吹山」で使用する幕を準備されているところです。見られた方はすぐに「あの幕だ!」とおわかりになると思います。プログラムでは一番最後の上演でしたが、始まる前にやらなければならないので、だいぶ早く来られて準備されていました。
こちらは亀山社中のみなさんに協力していただいて、音響の最終チェックをしているところです。やはり事前に実際の音を出してもらったほうが、より完璧な仕事につながります。亀山社中のみなさんも私服のままですので、ファンのみなさんにとってはなかなか貴重ではないでしょうか?
最後は会場の写真です。たくさんのお客さんが来られていて、改めて神楽人気の高さを実感しました。これで今年は終わりですが、最後にもう一回、私特派員自身が、今年一年を振り返ってみて感じたことをまとめてみたいと思います。未掲載の写真もできるだけご紹介する予定ですので、どうぞお楽しみに!
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まずこの写真は、開場前にスタッフで最終打ち合わせをしているところです。プロデューサー、音響、照明、ドライアイス、撮影、そして司会の方もみんな一緒に話し合います。もちろん、みなさんプロの方で、神楽のステージも慣れっこなので、本番でも失敗はなく、素晴らしいステージになったと思います。
こちらは中川戸神楽団の方が、「伊吹山」で使用する幕を準備されているところです。見られた方はすぐに「あの幕だ!」とおわかりになると思います。プログラムでは一番最後の上演でしたが、始まる前にやらなければならないので、だいぶ早く来られて準備されていました。
こちらは亀山社中のみなさんに協力していただいて、音響の最終チェックをしているところです。やはり事前に実際の音を出してもらったほうが、より完璧な仕事につながります。亀山社中のみなさんも私服のままですので、ファンのみなさんにとってはなかなか貴重ではないでしょうか?
最後は会場の写真です。たくさんのお客さんが来られていて、改めて神楽人気の高さを実感しました。これで今年は終わりですが、最後にもう一回、私特派員自身が、今年一年を振り返ってみて感じたことをまとめてみたいと思います。未掲載の写真もできるだけご紹介する予定ですので、どうぞお楽しみに!
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2006,12,25 Mon 19:18
新着コメント
ジェラードさん、コメントありがとうございます。
これからもこういう写真を撮って、ファンのみなさんにご紹介したいと思います。
これからもこういう写真を撮って、ファンのみなさんにご紹介したいと思います。
| 特派員 | EMAIL | URL | 06/12/28 19:19 | BFfnvy1Y |
こういうなかなか見れない所を見れるとは、うれしいですね~
| ジェラード | EMAIL | URL | 06/12/28 12:56 | WUwqpvHU |