島根県邑南町にある、世界大神宮。ここで夏や秋に行われる奉納神楽は今年で14回目を迎えました。ご存知の方も多いと思いますが、この神楽は「奉納」ですので、入場はなんと無料。しかし、大勢のスタッフ、そして競演大会などで優秀な成績を収められている6団体の神楽団の出演。ですから、本当に主催者の方のご苦労は大変なものがあると思います。もちろん、気持ちばかりではありますが、御花の奉納もさせていただきました。この奉納神楽が今後も続いていくよう、神楽ファンの皆様のご協力をお願いしたいと思います。
そして今回、初めて見た神楽が3つあるので、それを主に紹介したいと思います。まずは美土里町の桑田天使神楽団「鶴ヶ丘」。これは鎌倉幕府三代将軍の源実朝(さねとも)が、二代将軍頼家(よりいえ)の息子である公暁(くぎょう)に暗殺された事件を題材に神楽化したものです。神楽団の方にお話を伺ったところ、この演目はオリジナル神楽で、かなり前から舞っておられたそうです。しかしその当時はこの演目の台本がなかったということで、団員の方が覚えていることや聞き伝えなどを参考にリニューアルされ、6,7年前に現在の「鶴が丘」の台本が完成したのだそうです。
また、「これは口上舞ですから」というふうに説明もいただきました。確かに、神楽に登場した公暁、実朝、北条義時など、みなさんとてもよく通ったいい声をされており、口上にも力を入れられているというのが見ていてよくわかりました。
そして北広島町の東山神楽団「大江山」。まず注目したのが、酒呑童子退治へ向かうメンバーが、源頼光、平井保政、碓井貞光、渡辺綱の4人という点。これを見て、「誰?」と思われた方もいらっしゃるであろう人物、平井保政(ひらいやすまさ)。この人物は歴史上では藤原保昌といい、摂津の国の平井という所に住んだので、平井保政(昌)ともいいます。この保昌が芸北神楽に登場するのは珍しく、他では安芸太田町、三谷神楽団の旧舞「大江山」があります。そして神が4人なら鬼も4匹ということで、酒呑、茨木、唐熊童子のおなじみの3匹に加え、「門番」という役名でもう一匹鬼が登場しました。これは謡曲「大江山」にはなく、「酒呑童子絵巻」などの中に、頼光たちが岩屋に着いたときに、門番をしていた鬼たちと小競り合いをした場面があるので、そういったものを参考に作られたのではないかと思いました。
そして、北広島町の琴庄神楽団「滝夜叉姫」。これはなんと言っても、主役の滝夜叉姫を舞われた方が素晴らしかった!いつもは神の方でよくお見かけするのですが、悪役を見るのは自分にとって初めてのことだったので、どのように舞われるか上演前から非常に楽しみにしていました。一番よかったと感じたのは「眼」の演技です。神の時とは別人のような気さえ感じたあの迫力は、なかなか見れるものではないと思います。面をつけたほうが迫力不足に見えるほどの素晴らしい演技をされていました。また面の早変わりもあっという間で、客席からは大きな拍手や「すごいすご~い!」という声も飛んでいました。
他の神楽も簡単に紹介します。原田神楽団の「天の岩戸」は、舞手、奏楽、観客が一緒になったかのような一体感を味わえました。横田神楽団の「葛城山」、あの素晴らしい、スピード感溢れる舞をしっかり堪能できました。上河内神楽団の「紅葉狩」では、神楽ファンならおなじみの“あの方”がなぜか登場し(笑)、客席ばかりでなく、共演者や楽の方をも笑わせていました。
今回も本当に素晴らしい奉納神楽だったと思います。スタッフのみなさんお疲れ様でした。また秋にも企画されているようなので、ぜひ次回も行ってみたいと思います。
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そして今回、初めて見た神楽が3つあるので、それを主に紹介したいと思います。まずは美土里町の桑田天使神楽団「鶴ヶ丘」。これは鎌倉幕府三代将軍の源実朝(さねとも)が、二代将軍頼家(よりいえ)の息子である公暁(くぎょう)に暗殺された事件を題材に神楽化したものです。神楽団の方にお話を伺ったところ、この演目はオリジナル神楽で、かなり前から舞っておられたそうです。しかしその当時はこの演目の台本がなかったということで、団員の方が覚えていることや聞き伝えなどを参考にリニューアルされ、6,7年前に現在の「鶴が丘」の台本が完成したのだそうです。
また、「これは口上舞ですから」というふうに説明もいただきました。確かに、神楽に登場した公暁、実朝、北条義時など、みなさんとてもよく通ったいい声をされており、口上にも力を入れられているというのが見ていてよくわかりました。
そして北広島町の東山神楽団「大江山」。まず注目したのが、酒呑童子退治へ向かうメンバーが、源頼光、平井保政、碓井貞光、渡辺綱の4人という点。これを見て、「誰?」と思われた方もいらっしゃるであろう人物、平井保政(ひらいやすまさ)。この人物は歴史上では藤原保昌といい、摂津の国の平井という所に住んだので、平井保政(昌)ともいいます。この保昌が芸北神楽に登場するのは珍しく、他では安芸太田町、三谷神楽団の旧舞「大江山」があります。そして神が4人なら鬼も4匹ということで、酒呑、茨木、唐熊童子のおなじみの3匹に加え、「門番」という役名でもう一匹鬼が登場しました。これは謡曲「大江山」にはなく、「酒呑童子絵巻」などの中に、頼光たちが岩屋に着いたときに、門番をしていた鬼たちと小競り合いをした場面があるので、そういったものを参考に作られたのではないかと思いました。
そして、北広島町の琴庄神楽団「滝夜叉姫」。これはなんと言っても、主役の滝夜叉姫を舞われた方が素晴らしかった!いつもは神の方でよくお見かけするのですが、悪役を見るのは自分にとって初めてのことだったので、どのように舞われるか上演前から非常に楽しみにしていました。一番よかったと感じたのは「眼」の演技です。神の時とは別人のような気さえ感じたあの迫力は、なかなか見れるものではないと思います。面をつけたほうが迫力不足に見えるほどの素晴らしい演技をされていました。また面の早変わりもあっという間で、客席からは大きな拍手や「すごいすご~い!」という声も飛んでいました。
他の神楽も簡単に紹介します。原田神楽団の「天の岩戸」は、舞手、奏楽、観客が一緒になったかのような一体感を味わえました。横田神楽団の「葛城山」、あの素晴らしい、スピード感溢れる舞をしっかり堪能できました。上河内神楽団の「紅葉狩」では、神楽ファンならおなじみの“あの方”がなぜか登場し(笑)、客席ばかりでなく、共演者や楽の方をも笑わせていました。
今回も本当に素晴らしい奉納神楽だったと思います。スタッフのみなさんお疲れ様でした。また秋にも企画されているようなので、ぜひ次回も行ってみたいと思います。
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2006,06,11 Sun 21:01
コメント
神楽さん、コメントありがとうございます。
そうなんですね。
なかなか祭りを見る機会がなくて、木の又権兵衛が登場する紅葉狩は初めて見ました。
やはり祭りの神楽はいいですよね。
そうなんですね。
なかなか祭りを見る機会がなくて、木の又権兵衛が登場する紅葉狩は初めて見ました。
やはり祭りの神楽はいいですよね。
| 特派員 | EMAIL | URL | 06/06/22 23:05 | BFfnvy1Y |
紅葉狩には角丸は登場するんですよ。だけど近年は競演では時間の都合上カットされてるんです。神楽団の地元でやられる地祭りとかでは紅葉狩で角丸が出る神楽団も結構あるんですよ
| 神楽 | EMAIL | URL | 06/06/22 00:30 | DpoAj8ew |
サッチモさん、ありがとうございます。
しかしまだまだ勉強中ですので、これからも精進して行きたいと思っているところです。
はい、明日は開発センターです。
いろいろ撮影しなくちゃいけないんで、がんばります!
しかしまだまだ勉強中ですので、これからも精進して行きたいと思っているところです。
はい、明日は開発センターです。
いろいろ撮影しなくちゃいけないんで、がんばります!
| 特派員 | EMAIL | URL | 06/06/16 18:28 | BFfnvy1Y |
いつもいい記事を書かれてて、楽しみに読ませていただいております。特派員Mさんの神楽に対する造詣の深さに感心してます。
明日は千代田開発センターですか??
明日は千代田開発センターですか??
| サッチモ | EMAIL | URL | 06/06/16 18:19 | Ow5MnHpc |
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