広島国際会議場のフェニックスホールで行われた「ひろしま神楽の祭典」。現在、広島県に伝わる備後神楽、比婆荒神神楽、安芸十二神祇、芸北神楽の4つの神楽を一度に見ることができる、とても素晴らしい企画でした。そこで今回の報告は、二部にわたって、上演された7演目すべてを紹介しようと思います。
まずは尾道市の山波(さんば)神楽団による備後神楽「剣舞」。4人の舞手はそれぞれ東西南北の四方を意味し、またそれぞれが持つ刀にも由来があります。東は雨蝿切(あめはいきり)の剣、南は草薙(くさなぎ)の剣、西は頭槌(こうづち)の剣、北は十握(とつか)の剣で、口上でその由来を語る場面がとても興味深かったです。備後神楽は広島県南東部を中心に伝わっている神楽で、芸北地方とはちょうど対角線の位置関係になります。神楽においてもやはり違いが見られ、奏楽を見てみると大太鼓が2つ、手打鐘が2つで、笛はありません。芸北神楽のように複雑な楽ではなく、非常にシンプルで、同じリズムを淡々と繰り返すような感じの楽でした。
次は庄原市の比婆荒神神楽社による比婆荒神神楽「茣蓙(ござ)舞・猿田彦の舞」。茣蓙舞は文字通り、茣蓙を使った舞で、前半は手に持って舞われていましたが、後半では広げた茣蓙をまるでなわとびのように使って飛び跳ねるといった感じの舞でした。茣蓙は御座の意味もあり、座を清めて神様を導くという意味合いの舞です。そして座を祓い清められた後に、2人の猿田彦が登場。テンポの速い奏楽に合わせ、リズミカルに扇子や刀を操る舞を披露しました。そして凄かったのが、猿田彦が1人になり、薙刀を使った舞。両腕で、肩で、腰で、手のひらで、とにかく薙刀が回る回る!しかも面を外して舞われており、ひたすら薙刀を回される姿は見ているこちらまで腕がだるくなるような感じでした。
そして佐伯区の水内(みのち)神楽保存会による安芸十二神祇「五龍王」。これは中国から伝わった、陰陽五行思想が色濃く感じられる舞です。5人の舞手が登場し、それぞれが領地を主張して戦いになりますが、最後には和解し協力して穏やかな国づくりを目指すという物語です。登場する5人は五行思想に基づいた色分けがされ、それぞれ、東=青、西=白、南=赤、北=黒、中央=黄を表すものでした。舞い方を見てみると、東西南北の4人が刀を使うところでは、備後神楽の剣舞を髣髴させる舞があり、中央の五郎王子が薙刀を使うところは、先ほどの比婆荒神神楽と似ていたりと、共通するものを感じました。また口上ではなく、舞で物語を進めていくのも興味深いところだったと思います。
上記の3つは、芸北神楽に比べて地味な神楽ですが、伝統というものを強く感じる神楽で非常に見応えがありました。神楽歌も、民謡のような印象を受けるところもあり、地域に密着した伝統芸能というものをより一層感じることができました。こういったホール、ステージで上演することに違和感さえ覚えるほど、伝統と神聖さを感じ、見ていて神社での奉納されている風景が浮かんでくるようでした。
残りの4演目については、次回の報告で紹介したいと思います。
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まずは尾道市の山波(さんば)神楽団による備後神楽「剣舞」。4人の舞手はそれぞれ東西南北の四方を意味し、またそれぞれが持つ刀にも由来があります。東は雨蝿切(あめはいきり)の剣、南は草薙(くさなぎ)の剣、西は頭槌(こうづち)の剣、北は十握(とつか)の剣で、口上でその由来を語る場面がとても興味深かったです。備後神楽は広島県南東部を中心に伝わっている神楽で、芸北地方とはちょうど対角線の位置関係になります。神楽においてもやはり違いが見られ、奏楽を見てみると大太鼓が2つ、手打鐘が2つで、笛はありません。芸北神楽のように複雑な楽ではなく、非常にシンプルで、同じリズムを淡々と繰り返すような感じの楽でした。
次は庄原市の比婆荒神神楽社による比婆荒神神楽「茣蓙(ござ)舞・猿田彦の舞」。茣蓙舞は文字通り、茣蓙を使った舞で、前半は手に持って舞われていましたが、後半では広げた茣蓙をまるでなわとびのように使って飛び跳ねるといった感じの舞でした。茣蓙は御座の意味もあり、座を清めて神様を導くという意味合いの舞です。そして座を祓い清められた後に、2人の猿田彦が登場。テンポの速い奏楽に合わせ、リズミカルに扇子や刀を操る舞を披露しました。そして凄かったのが、猿田彦が1人になり、薙刀を使った舞。両腕で、肩で、腰で、手のひらで、とにかく薙刀が回る回る!しかも面を外して舞われており、ひたすら薙刀を回される姿は見ているこちらまで腕がだるくなるような感じでした。
そして佐伯区の水内(みのち)神楽保存会による安芸十二神祇「五龍王」。これは中国から伝わった、陰陽五行思想が色濃く感じられる舞です。5人の舞手が登場し、それぞれが領地を主張して戦いになりますが、最後には和解し協力して穏やかな国づくりを目指すという物語です。登場する5人は五行思想に基づいた色分けがされ、それぞれ、東=青、西=白、南=赤、北=黒、中央=黄を表すものでした。舞い方を見てみると、東西南北の4人が刀を使うところでは、備後神楽の剣舞を髣髴させる舞があり、中央の五郎王子が薙刀を使うところは、先ほどの比婆荒神神楽と似ていたりと、共通するものを感じました。また口上ではなく、舞で物語を進めていくのも興味深いところだったと思います。
上記の3つは、芸北神楽に比べて地味な神楽ですが、伝統というものを強く感じる神楽で非常に見応えがありました。神楽歌も、民謡のような印象を受けるところもあり、地域に密着した伝統芸能というものをより一層感じることができました。こういったホール、ステージで上演することに違和感さえ覚えるほど、伝統と神聖さを感じ、見ていて神社での奉納されている風景が浮かんでくるようでした。
残りの4演目については、次回の報告で紹介したいと思います。
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2006,07,10 Mon 22:47
コメント
えt さん、コメントありがとうございます。
猿田彦の舞をされているんですか!
素晴らしい伝統だと思います。
これからも伝統芸能の伝承を頑張っていただきたいと思います☆
猿田彦の舞をされているんですか!
素晴らしい伝統だと思います。
これからも伝統芸能の伝承を頑張っていただきたいと思います☆
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/06/14 19:11 | BFfnvy1Y |
サッチモさん、コメントありがとうございます。
当日は見に行けなかったんですか、それは残念ですね~。
動画配信はボク自身も楽しみです!
当日は見に行けなかったんですか、それは残念ですね~。
動画配信はボク自身も楽しみです!
| 特派員 | EMAIL | URL | 06/07/11 20:58 | BFfnvy1Y |
ひろしま神楽の祭典、行きたかったのですが所用?があり、見に行くことができませんでした。
しかし、このブログや動画配信で当日の様子が観られるので、うれしいです。
他の④演目の記事も期待しております。
しかし、このブログや動画配信で当日の様子が観られるので、うれしいです。
他の④演目の記事も期待しております。
| サッチモ | EMAIL | URL | 06/07/11 18:04 | Ow5MnHpc |
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