8月31日月曜日、広島市のALSOKホールにおいて「ひろしま夏の芸術祭 メインコンサート オロチ」が開催されました。世界史上初となる神楽とオーケストラによるコラボレーション公演。どういった演出となったか気になった方も多いと思います。それでは早速、報告したいと思います。
まず最初は、コラボ上演の前に山王神楽団による第一部「滝夜叉姫」が上演されました。
薄暗くされた会場で貴船神社から妖術を授かるところから始まり、どんどん物語りは進んでいきます。そして、場面は、大宅中将光國たちとの立ち合いの場面。手下の蜘蛛丸、夜叉丸と激しい立ち合いを繰り広げた後、ついに鬼と化した滝夜叉姫との立ち合いです。しばし熱い戦いを繰り広げると、滝夜叉姫は一瞬白い煙のなかへ消え、さらに大きな鬼と化し登場してきました。そして、光圀たちとさらに激しくヒートアップした立ち合いで観客を魅了してきます。そして、最後の妖術が解けていく場面では、瞬時に元の姿へと変わっていく様子に観客はどよめきが起こっていました。また、上演終了直後、会場は、割れんばかりの大きな拍手で包まれました。
第二部「オロチ~火と水への讃歌~神楽とオーケストラのために」。伝統芸能の神楽と、広島交響楽団によるオーケストラ、この二つが組み合わさったステージがついに始まりました。この上演はあくまでもコラボレーションということで、神楽でお馴染みの物語にいくつかの要素が盛り込まれていました。まず感じたのは、今回登場する「オロチ」は神楽で描かれる怪物=完全な悪役ではなく、荒ぶる神として扱われていたという点。パンフレットを参照させていただくと、今回のコラボは雄大な中国山地を源として、永遠に繰り返してきた「生命の営み」を讃えるもの、ということです。いつもなら須佐之男命に首を切り落とされてしまう大蛇が、御幣で鎮められるという演出になっていました。そして神楽では見られないもう一つの見せ場がクライマックス。須佐之男命が手に入れた天叢雲剣を、姉である天照大神に捧げるという場面。言葉では語られるので、もちろんファンのみなさんもよくご存知かと思いますが、初めてその場面を目にした時はやはり新鮮な気持ちになりましたね。さらに、眩いばかりに輝く天照大神が静かに舞うところに登場したのは、なんと八岐大蛇。これも今回のコラボならではの演出で非常に興味深いものでした。
そして今回の奏楽は、神楽のお囃子だけの時、オーケストラだけの時、そしてその二つの協奏の時というものでした。神楽を見慣れているみなさんからすると、「やっぱりお囃子の時がしっくりくるなぁ」と思われた方が多かったのではないでしょうか。様々な楽器で壮大なスケールを感じさせるオーケストラ、それを聞きながらのお馴染みの神楽舞は、どこか不思議で新鮮な感じがしました。そこに聴き慣れた笛の音が混ざり始め、小太鼓と手打ち鐘がトッコトッコとリズムを刻み、最後に大太鼓が加わり、オーケストラにとって変わる場面などは、神楽ファンのみなさんからすればワクワクしながら聴くことができたように思います。そんな迫力ある場面よりも印象的だったのが、奇稲田姫の場面です。七人目の姫が大蛇に呑み取られ、ステージには姫が手にしていた赤い布だけが残されていました。そのまわりを神楽の笛の方が歩き始め、神楽囃子ではない音色を奏でられました。そこに奇稲田姫が登場し、同じようにまわりながら舞われたんですが、ここも神楽にはないオリジナルの面白さを感じることができました。
神楽とオーケストラ。今回史上初のコラボレーションを拝見することができました。このコラボが実現したのは、この地域の神楽が、他のどんな神楽よりも進化したものだからと思います。出雲から石見へ、そして芸北~広島へ。六調子から八調子へ、さらに現代人に受け入れられやすい音楽感覚へ。大蛇の蛇胴も、最初から今の形ではなく、明治時代に浜田で提灯にヒントを得た蛇胴が開発され、これが多くの人に受け入れられて現在に至っています。八百万の神々を讃え、そして人々を魅了し続けてきた伝統芸能「神楽」は、近年は舞台芸術としての可能性を秘めて進化しているのはみなさんも周知の通りです。その神楽の進化における、一つの大きな通過点が今回の上演だったように思います。しかし忘れてはならないのは、神楽は神楽であるということ、そして時代の流れにとらわれず、伝えられた伝統を残そうと日々尽力されている方がいるということです。今回の上演を見ても、陰陽五行思想を思わせる舞台演出があったり、コラボだからと言って舞の作法がメチャクチャに…ということもなく、「神楽」を感じるところは多くあったように思いました。あくまでもコラボですので、この上演について「神楽がどうのこうの」と書いてもちょっとズレているかもしれませんが、神楽を応援している者の一人として、嬉しく感じるところがあったのは確かです。この地域に伝わる「伝統を守る舞」、そして新しい時代に対応する「創作的な舞」。この二つが欠けることなく伝承され、そしてより多くの方に見てもらいたい。そんな思いを改めて強く感じた今回のイベントでした。
また、今回の催しで神楽に初めて触れた方もおられたでしょう。そういったみなさんにも神楽に興味を持っていただいて、神楽にハマっていってほしいですね。ということで今回は特派員報告も初のコラボでお送りしました(笑) NとY、二人の記事が入り混じったものでしたが…みなさんおわかりになりました??いよいよ今年も神楽シーズンが始まりますね!これからもよろしくお願いします。
まず最初は、コラボ上演の前に山王神楽団による第一部「滝夜叉姫」が上演されました。
薄暗くされた会場で貴船神社から妖術を授かるところから始まり、どんどん物語りは進んでいきます。そして、場面は、大宅中将光國たちとの立ち合いの場面。手下の蜘蛛丸、夜叉丸と激しい立ち合いを繰り広げた後、ついに鬼と化した滝夜叉姫との立ち合いです。しばし熱い戦いを繰り広げると、滝夜叉姫は一瞬白い煙のなかへ消え、さらに大きな鬼と化し登場してきました。そして、光圀たちとさらに激しくヒートアップした立ち合いで観客を魅了してきます。そして、最後の妖術が解けていく場面では、瞬時に元の姿へと変わっていく様子に観客はどよめきが起こっていました。また、上演終了直後、会場は、割れんばかりの大きな拍手で包まれました。
第二部「オロチ~火と水への讃歌~神楽とオーケストラのために」。伝統芸能の神楽と、広島交響楽団によるオーケストラ、この二つが組み合わさったステージがついに始まりました。この上演はあくまでもコラボレーションということで、神楽でお馴染みの物語にいくつかの要素が盛り込まれていました。まず感じたのは、今回登場する「オロチ」は神楽で描かれる怪物=完全な悪役ではなく、荒ぶる神として扱われていたという点。パンフレットを参照させていただくと、今回のコラボは雄大な中国山地を源として、永遠に繰り返してきた「生命の営み」を讃えるもの、ということです。いつもなら須佐之男命に首を切り落とされてしまう大蛇が、御幣で鎮められるという演出になっていました。そして神楽では見られないもう一つの見せ場がクライマックス。須佐之男命が手に入れた天叢雲剣を、姉である天照大神に捧げるという場面。言葉では語られるので、もちろんファンのみなさんもよくご存知かと思いますが、初めてその場面を目にした時はやはり新鮮な気持ちになりましたね。さらに、眩いばかりに輝く天照大神が静かに舞うところに登場したのは、なんと八岐大蛇。これも今回のコラボならではの演出で非常に興味深いものでした。
そして今回の奏楽は、神楽のお囃子だけの時、オーケストラだけの時、そしてその二つの協奏の時というものでした。神楽を見慣れているみなさんからすると、「やっぱりお囃子の時がしっくりくるなぁ」と思われた方が多かったのではないでしょうか。様々な楽器で壮大なスケールを感じさせるオーケストラ、それを聞きながらのお馴染みの神楽舞は、どこか不思議で新鮮な感じがしました。そこに聴き慣れた笛の音が混ざり始め、小太鼓と手打ち鐘がトッコトッコとリズムを刻み、最後に大太鼓が加わり、オーケストラにとって変わる場面などは、神楽ファンのみなさんからすればワクワクしながら聴くことができたように思います。そんな迫力ある場面よりも印象的だったのが、奇稲田姫の場面です。七人目の姫が大蛇に呑み取られ、ステージには姫が手にしていた赤い布だけが残されていました。そのまわりを神楽の笛の方が歩き始め、神楽囃子ではない音色を奏でられました。そこに奇稲田姫が登場し、同じようにまわりながら舞われたんですが、ここも神楽にはないオリジナルの面白さを感じることができました。
神楽とオーケストラ。今回史上初のコラボレーションを拝見することができました。このコラボが実現したのは、この地域の神楽が、他のどんな神楽よりも進化したものだからと思います。出雲から石見へ、そして芸北~広島へ。六調子から八調子へ、さらに現代人に受け入れられやすい音楽感覚へ。大蛇の蛇胴も、最初から今の形ではなく、明治時代に浜田で提灯にヒントを得た蛇胴が開発され、これが多くの人に受け入れられて現在に至っています。八百万の神々を讃え、そして人々を魅了し続けてきた伝統芸能「神楽」は、近年は舞台芸術としての可能性を秘めて進化しているのはみなさんも周知の通りです。その神楽の進化における、一つの大きな通過点が今回の上演だったように思います。しかし忘れてはならないのは、神楽は神楽であるということ、そして時代の流れにとらわれず、伝えられた伝統を残そうと日々尽力されている方がいるということです。今回の上演を見ても、陰陽五行思想を思わせる舞台演出があったり、コラボだからと言って舞の作法がメチャクチャに…ということもなく、「神楽」を感じるところは多くあったように思いました。あくまでもコラボですので、この上演について「神楽がどうのこうの」と書いてもちょっとズレているかもしれませんが、神楽を応援している者の一人として、嬉しく感じるところがあったのは確かです。この地域に伝わる「伝統を守る舞」、そして新しい時代に対応する「創作的な舞」。この二つが欠けることなく伝承され、そしてより多くの方に見てもらいたい。そんな思いを改めて強く感じた今回のイベントでした。
また、今回の催しで神楽に初めて触れた方もおられたでしょう。そういったみなさんにも神楽に興味を持っていただいて、神楽にハマっていってほしいですね。ということで今回は特派員報告も初のコラボでお送りしました(笑) NとY、二人の記事が入り混じったものでしたが…みなさんおわかりになりました??いよいよ今年も神楽シーズンが始まりますね!これからもよろしくお願いします。
2009,09,03 Thu 22:25
コメント
神楽ファンですさん、コメントありがとうございます。
神楽としての見ると、物語が少しよくわからない部分もあったかと思います。
その辺はパンフレットをしっかり参照されるとおわかりになりますよね。
初のコラボで注目度も高かったと思いますが、本当に新鮮なものでしたね!
またコメントお願いします。
神楽としての見ると、物語が少しよくわからない部分もあったかと思います。
その辺はパンフレットをしっかり参照されるとおわかりになりますよね。
初のコラボで注目度も高かったと思いますが、本当に新鮮なものでしたね!
またコメントお願いします。
| 特派員Y | EMAIL | URL | 09/09/04 22:40 | jH.jJyWA |
最初、オーケストラと神楽のコラボと聞いて??????
チケットが手に入りやすい価格でしたので、取り敢えず見ておこうとチケットを購入し当日会場へ
満員のお客さんにびっくり!
オーケストラの迫力にびっくり!
案外「神楽」と「オーケストラ」の響きがマッチしていたのにびっくり!
感想は・・・・・・・・・
んー・・・・・・・・・
パンフレットに制作イメージや思いが書いてありましたので、なんとなくわかったような?????
不思議な感じで会場をあとにしました。
神楽を演じられた皆さん、練習大変だったとお察しします。
チケットが手に入りやすい価格でしたので、取り敢えず見ておこうとチケットを購入し当日会場へ
満員のお客さんにびっくり!
オーケストラの迫力にびっくり!
案外「神楽」と「オーケストラ」の響きがマッチしていたのにびっくり!
感想は・・・・・・・・・
んー・・・・・・・・・
パンフレットに制作イメージや思いが書いてありましたので、なんとなくわかったような?????
不思議な感じで会場をあとにしました。
神楽を演じられた皆さん、練習大変だったとお察しします。
| 神楽ファンです | EMAIL | URL | 09/09/04 13:00 | tTBCbx1A |
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