5月15日(日)、千代田開発センターにて月一の舞いが開催されました。今回のテーマは「神楽歴史物語‐平将門伝説‐」平安時代、承平・天慶年間、関東下総において立ち上がった人物、平将門の生涯を描いた「将門記(しょうもんき)」三部作です。前編・後編・最終編と分けられ、鈴張神楽団・八千代神楽団・下五原神楽団の三団体がそれぞれ保持されています。今回三部作、連続上演は初披露。また、今回は将門記三部作として共通のアイテム、相馬錦の御旗(そうまにしきのみはた)、宝刀が使われていました。そして、この月一の取りを飾るのは山王神楽団の「滝夜叉姫」。将門の生涯を三部作通して見たことにより、また違う印象、思いが募る演目となったと思います。それでは、お待たせ致しました!報告です。
鈴張神楽団「将門記前編 新皇宣下(しんのうせんげ)」
天慶の乱の発端ともなる物語。下総に大土地を所有する実力者であった将門の父、平良将(たいらのよしまさ)。しかし、将門の叔父である平国香(たいらのくにか)の企みによって良将は討たれてしまいます。良将の命、権力・領地すべてを奪った国香に将門は激怒。父の仇を討つため、そして領地奪還のため、将門は国香を討ち取りに行きます。神楽の始まりは良将と国香の立ち合い。良将を倒し権力、領土を乗っ取った証拠として宝刀を奪っていきます。そして、将門の仇討ちが始まります。やはり一番の盛り上がりは、将門と国香との戦い。将門は自分の子供である、五月姫、良門(よしかど)を連れ、国香を一気に追い込んでいきます。激しい立ち回りに白熱した戦い。その役になりきった舞手さんの表情や激しい舞いにしばし見とれてしまいました。そして、見事父の仇討ちを果たした将門は、宝刀を取り戻し新皇と名のった後、舞台は天慶の乱へと続いていきます。今回私自身初めて見る演目でしたが、とてもわかりやすく、物語の中にスムーズに入っていけたと思います。
八千代神楽団「将門記後編 天慶の乱」
将門が新皇を名のってから朝廷は上へ下への大混乱となっていきます。将門は関東を制圧して独立勢力圏を打ち立てようとしますが、遂に朝廷が将門追討の命令を下します。天慶の乱です。平貞盛(たいらのさだもり)、藤原秀郷(ふじわらひでさと)らの追討軍の攻撃を受け、新皇を名のってからわずか2ヶ月で将門は討たれてしまいます。先ほどでは正義として描かれていた将門が、今度は立場が違い悪として描かれています。しかし、泣く子も黙る悪者!だけとして描かれるのではなく、将門たちの宴の最中、訪ねてきた農民にも快く酒を振る舞う様子が表現されており、将門がどういった人物であったのかがわかるような演出もありました。また、終盤でも悪役と言えどやはり親は親。貞盛たちとの戦火に巻き込ませまいと娘の五月姫を戦から遠ざけ逃がします。しかし、共に戦った息子、良門が先に討たれると、将門は怒り狂い鬼のような人相へと変わってしまいます。将門も遂には敗れますが、子を思う親心に切なさも感じさせられる神楽でした。また、立ち合いでは、八千代さんが伝承する「土師調子」と言われる調子で舞う様子もありました。そして物語は、残された将門の娘、五月姫のお話へと移っていきます。
下五原神楽団「将門記最終編 滝夜叉」
天慶の乱で父の将門と兄の良門が討たれ、一人生き残った五月姫。一族を討ち取られたことにより、無念の思いが徐々に怨念として募っていきます。そして、その思いが次第に貴船明神の社にと足を運ばせ、遂に貴船の荒御霊(あらみだま)から妖術を授かります。名も五月姫から滝夜叉姫と改め、再び一族返り咲かんと朝廷に背き天下を乱していきます。しかし、それを朝廷は許しません。再び将門残党征伐の勅命が下ります。この物語の内容を知ってはいますが、毎回見るたび哀れな将門一族の結末に悶々とした悲しい気持ちになってしまいますね。しかし、この演目は下五原さんオリジナルの演出もいっぱいで楽しめる要素がたくさんありましたよ。相馬古御所で、里娘に化けた滝夜叉の色香に惑わされる光圀の場面。また、光圀と滝夜叉との合戦では、宝刀を使っての二刀流で舞う滝夜叉の姿などなど。他ではあまり見られない演出が見られました。そしてクライマックス、遂には滝夜叉も光圀らによって敗れてしまう場面。「父上…、兄上…」と御旗をぎゅっと胸に抱き、ゆっくりと昇天していく五月姫の姿に息が詰まるようでした。神楽上演後、司会の方もおっしゃっていましたが、このときの五月姫の気持ちはきっと無念というより、家族の元へといける深い安堵だったことでしょう。
山王神楽団「滝夜叉姫」
いよいよ最後の演目ですね。この演目は広島神楽でも人気の高い演目ですが、今回将門記三部作続けて見た後では、また少しとらえ方、思いが違ってきたのではないでしょうか。みなさんの目にはどのように映ったでしょうか?一族を討ち取られた無念さ、その無念さから朝廷を憎みそして鬼と化してしまう五月姫。満願の二十一夜目、妖術を授かりもう後には引けません。決死の覚悟、それほどまでに五月姫の心は深く傷つき、無念だったのでしょう。その思いが、山王さんの神楽でも独創的な笛の音と舞手さんの演技によって見事に表現されていました。五月姫の哀れさと儚さに心が痛みました。しかしながら、さすが山王さん。神楽で見せるところはバッチリ見せてくださいます。徐々に恐ろしい鬼と化す場面や、術が破られ次第に鬼から五月姫に戻る場面で見せる面の早変わりはすばらしく、また、赤い糸や白い糸を使っての派手な演出で会場を盛り上げます。最後の最後まで観客を引き付けてくださいました。
また神楽上演後は、恒例の記念撮影会がありました。協力してくださったのは、最後に舞われました山王神楽団。皆さんしっかり写真を撮られていました。見に来られたお客さんも最高の思い出となったことでしょう★さて、次回の月一の舞いは6月5日です。テーマは「『壬生の花田植え』と『無形文化財合同まつり』」です。次回は時間が異なりますので注意してくださいね。次回もお待ちしてまーす♪
鈴張神楽団「将門記前編 新皇宣下(しんのうせんげ)」
天慶の乱の発端ともなる物語。下総に大土地を所有する実力者であった将門の父、平良将(たいらのよしまさ)。しかし、将門の叔父である平国香(たいらのくにか)の企みによって良将は討たれてしまいます。良将の命、権力・領地すべてを奪った国香に将門は激怒。父の仇を討つため、そして領地奪還のため、将門は国香を討ち取りに行きます。神楽の始まりは良将と国香の立ち合い。良将を倒し権力、領土を乗っ取った証拠として宝刀を奪っていきます。そして、将門の仇討ちが始まります。やはり一番の盛り上がりは、将門と国香との戦い。将門は自分の子供である、五月姫、良門(よしかど)を連れ、国香を一気に追い込んでいきます。激しい立ち回りに白熱した戦い。その役になりきった舞手さんの表情や激しい舞いにしばし見とれてしまいました。そして、見事父の仇討ちを果たした将門は、宝刀を取り戻し新皇と名のった後、舞台は天慶の乱へと続いていきます。今回私自身初めて見る演目でしたが、とてもわかりやすく、物語の中にスムーズに入っていけたと思います。
八千代神楽団「将門記後編 天慶の乱」
将門が新皇を名のってから朝廷は上へ下への大混乱となっていきます。将門は関東を制圧して独立勢力圏を打ち立てようとしますが、遂に朝廷が将門追討の命令を下します。天慶の乱です。平貞盛(たいらのさだもり)、藤原秀郷(ふじわらひでさと)らの追討軍の攻撃を受け、新皇を名のってからわずか2ヶ月で将門は討たれてしまいます。先ほどでは正義として描かれていた将門が、今度は立場が違い悪として描かれています。しかし、泣く子も黙る悪者!だけとして描かれるのではなく、将門たちの宴の最中、訪ねてきた農民にも快く酒を振る舞う様子が表現されており、将門がどういった人物であったのかがわかるような演出もありました。また、終盤でも悪役と言えどやはり親は親。貞盛たちとの戦火に巻き込ませまいと娘の五月姫を戦から遠ざけ逃がします。しかし、共に戦った息子、良門が先に討たれると、将門は怒り狂い鬼のような人相へと変わってしまいます。将門も遂には敗れますが、子を思う親心に切なさも感じさせられる神楽でした。また、立ち合いでは、八千代さんが伝承する「土師調子」と言われる調子で舞う様子もありました。そして物語は、残された将門の娘、五月姫のお話へと移っていきます。
下五原神楽団「将門記最終編 滝夜叉」
天慶の乱で父の将門と兄の良門が討たれ、一人生き残った五月姫。一族を討ち取られたことにより、無念の思いが徐々に怨念として募っていきます。そして、その思いが次第に貴船明神の社にと足を運ばせ、遂に貴船の荒御霊(あらみだま)から妖術を授かります。名も五月姫から滝夜叉姫と改め、再び一族返り咲かんと朝廷に背き天下を乱していきます。しかし、それを朝廷は許しません。再び将門残党征伐の勅命が下ります。この物語の内容を知ってはいますが、毎回見るたび哀れな将門一族の結末に悶々とした悲しい気持ちになってしまいますね。しかし、この演目は下五原さんオリジナルの演出もいっぱいで楽しめる要素がたくさんありましたよ。相馬古御所で、里娘に化けた滝夜叉の色香に惑わされる光圀の場面。また、光圀と滝夜叉との合戦では、宝刀を使っての二刀流で舞う滝夜叉の姿などなど。他ではあまり見られない演出が見られました。そしてクライマックス、遂には滝夜叉も光圀らによって敗れてしまう場面。「父上…、兄上…」と御旗をぎゅっと胸に抱き、ゆっくりと昇天していく五月姫の姿に息が詰まるようでした。神楽上演後、司会の方もおっしゃっていましたが、このときの五月姫の気持ちはきっと無念というより、家族の元へといける深い安堵だったことでしょう。
山王神楽団「滝夜叉姫」
いよいよ最後の演目ですね。この演目は広島神楽でも人気の高い演目ですが、今回将門記三部作続けて見た後では、また少しとらえ方、思いが違ってきたのではないでしょうか。みなさんの目にはどのように映ったでしょうか?一族を討ち取られた無念さ、その無念さから朝廷を憎みそして鬼と化してしまう五月姫。満願の二十一夜目、妖術を授かりもう後には引けません。決死の覚悟、それほどまでに五月姫の心は深く傷つき、無念だったのでしょう。その思いが、山王さんの神楽でも独創的な笛の音と舞手さんの演技によって見事に表現されていました。五月姫の哀れさと儚さに心が痛みました。しかしながら、さすが山王さん。神楽で見せるところはバッチリ見せてくださいます。徐々に恐ろしい鬼と化す場面や、術が破られ次第に鬼から五月姫に戻る場面で見せる面の早変わりはすばらしく、また、赤い糸や白い糸を使っての派手な演出で会場を盛り上げます。最後の最後まで観客を引き付けてくださいました。
また神楽上演後は、恒例の記念撮影会がありました。協力してくださったのは、最後に舞われました山王神楽団。皆さんしっかり写真を撮られていました。見に来られたお客さんも最高の思い出となったことでしょう★さて、次回の月一の舞いは6月5日です。テーマは「『壬生の花田植え』と『無形文化財合同まつり』」です。次回は時間が異なりますので注意してくださいね。次回もお待ちしてまーす♪
2011,05,18 Wed 19:46
コメント
まりんさんコメントありがとうございます★
今回の報告で、少しでも雰囲気や内容をお伝えできてよかったです(^ ^)
今度は将門記を生で観れるといいですね!
また、月一にもぜひ足を運んでくださいね♪
お待ちしてます(^0^)
今回の報告で、少しでも雰囲気や内容をお伝えできてよかったです(^ ^)
今度は将門記を生で観れるといいですね!
また、月一にもぜひ足を運んでくださいね♪
お待ちしてます(^0^)
| 特派員N | EMAIL | URL | 11/05/20 10:17 | 2ETYRi5g |
初めまして。
初のコメントです。
私は今回の月一は観に行けなかったので、ブログを楽しみにしていました。
将門記と言うことで、非常に興味を持ちました。ブログの内容も分かりやすく、イメージ出来ました。
今度は実際に観てみたいです。
初のコメントです。
私は今回の月一は観に行けなかったので、ブログを楽しみにしていました。
将門記と言うことで、非常に興味を持ちました。ブログの内容も分かりやすく、イメージ出来ました。
今度は実際に観てみたいです。
| まりん | EMAIL | URL | 11/05/19 01:33 | hpdrLgHM |
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