今回のテーマは「紅葉狩」。みなさんは「紅葉狩」と聞いて、何を思い浮かべられるだろうか。美しい姫の舞、鬼たちの豪華な衣装、紅葉に染まった実際の山々を想像される方もおられるかもしれない。はたまた、化粧したイケメンの神がパッと浮かんでくる方も…、いや、それはないか。ともかく、それらは皆「華やか」なイメージではないだろうか。実にシンプルなようだが、これこそが「紅葉狩」の一番の魅力であると思う。
シンプルと言えば、ストーリーも実にシンプル。では基本的なあらすじを紹介しよう。「そんなの知ってるから飛ばして次読もう」って?いやいや、そう言わずに。
平維茂が信州信濃国戸隠山で、紅葉狩の宴を催す美女たちに出会う。すすめられるままに酒を飲んで酔いふした維茂に、正体を現した鬼女が襲い掛かる。しかし日頃信心する八幡大菩薩に救われた維茂は、授かった神剣を持って鬼女を征伐する。
「はいはい、それで?」 …お気づきの方もいらっしゃるだろうが、「紅葉狩」のあらすじには2パターンある。平維茂が、鬼女征伐の勅命を受けて戸隠山に向かうものと、狩野の旅に出て道に迷って戸隠山へと入っていくものの2つである。これは大きな違いだ。「そんなんどうでもいいよ!」 …まぁまぁ、そう言わずに。
要するに、勅命を受けて向かうパターンでは、鬼女たちがいると知っているにも関わらず、奥山で出会った美女たちにだまされてしまうのだ。それほど紅葉が人を惑わす、という意味にも取れるが、それにしても維茂さん、情けないぞ。八幡大菩薩が助けに来てくれたからいいようなものの、どうやら朝廷は人選を誤ったようだ。もしこれが源頼光だったらどうであろう。「物の怪バカ」の頼光さんの事だ、美女たちを見た瞬間に、目の色変えて切りかかったに違いない。
それと、このあらすじの微妙な違いは、いろいろな所に影響しており、神楽団ごとの違いをじっくり見比べると面白いと思う。例えばセリフ。「紅葉狩」のセリフと言えば、「良き酒肴が登り来る登り来る~!」ではなかろうか。これは維茂が勅命を受けたパターンでは使われないのが普通である。鬼女たちも、維茂の存在を知っているパターンとそうでないものがあるから、少しややこしいが、知っていれば「維茂主従登り来る~!」というセリフになっているはず。
「ひろしま神楽」の代表的な演目である「紅葉狩」。あまりにもポピュラーになりすぎて、なんとなく見てしまうかもしれないが、よぉく見るとなかなか興味深い演目でもあるのだ。次回、「紅葉狩」を見るときにぜひ参考にしていただきたい。
この記事が面白い・勉強になったと思われたら迷わずクリック
シンプルと言えば、ストーリーも実にシンプル。では基本的なあらすじを紹介しよう。「そんなの知ってるから飛ばして次読もう」って?いやいや、そう言わずに。
平維茂が信州信濃国戸隠山で、紅葉狩の宴を催す美女たちに出会う。すすめられるままに酒を飲んで酔いふした維茂に、正体を現した鬼女が襲い掛かる。しかし日頃信心する八幡大菩薩に救われた維茂は、授かった神剣を持って鬼女を征伐する。
「はいはい、それで?」 …お気づきの方もいらっしゃるだろうが、「紅葉狩」のあらすじには2パターンある。平維茂が、鬼女征伐の勅命を受けて戸隠山に向かうものと、狩野の旅に出て道に迷って戸隠山へと入っていくものの2つである。これは大きな違いだ。「そんなんどうでもいいよ!」 …まぁまぁ、そう言わずに。
要するに、勅命を受けて向かうパターンでは、鬼女たちがいると知っているにも関わらず、奥山で出会った美女たちにだまされてしまうのだ。それほど紅葉が人を惑わす、という意味にも取れるが、それにしても維茂さん、情けないぞ。八幡大菩薩が助けに来てくれたからいいようなものの、どうやら朝廷は人選を誤ったようだ。もしこれが源頼光だったらどうであろう。「物の怪バカ」の頼光さんの事だ、美女たちを見た瞬間に、目の色変えて切りかかったに違いない。
それと、このあらすじの微妙な違いは、いろいろな所に影響しており、神楽団ごとの違いをじっくり見比べると面白いと思う。例えばセリフ。「紅葉狩」のセリフと言えば、「良き酒肴が登り来る登り来る~!」ではなかろうか。これは維茂が勅命を受けたパターンでは使われないのが普通である。鬼女たちも、維茂の存在を知っているパターンとそうでないものがあるから、少しややこしいが、知っていれば「維茂主従登り来る~!」というセリフになっているはず。
「ひろしま神楽」の代表的な演目である「紅葉狩」。あまりにもポピュラーになりすぎて、なんとなく見てしまうかもしれないが、よぉく見るとなかなか興味深い演目でもあるのだ。次回、「紅葉狩」を見るときにぜひ参考にしていただきたい。
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2007,01,01 Mon 00:00
コメント
榊凪さん、コメントありがとうございます。
「紅葉狩」は美土里町の佐々木先生が作られたものが今では一般的ですが、他の先生方が作られたものもあるようです。
自分はまだ見たことがないのですが、資料を見るとかなり違う印象を受けますね。
木こりさんが登場するのは、上河内神楽団さんが舞われているのを見たことがあります。
やはり時間の関係などで、普段はなかなか見ることができないのが残念ですね。
祭などでは本来のバージョンを舞われているところもけっこうあるみたいですよ!
「紅葉狩」は美土里町の佐々木先生が作られたものが今では一般的ですが、他の先生方が作られたものもあるようです。
自分はまだ見たことがないのですが、資料を見るとかなり違う印象を受けますね。
木こりさんが登場するのは、上河内神楽団さんが舞われているのを見たことがあります。
やはり時間の関係などで、普段はなかなか見ることができないのが残念ですね。
祭などでは本来のバージョンを舞われているところもけっこうあるみたいですよ!
| 特派員 | EMAIL | URL | 08/01/29 20:03 | BFfnvy1Y |
久々です。
紅葉狩りは確かに多彩です。
なぜなら今はどこの神楽団もやっていないのがほんとうです。
そう最初は(佐々木編)いわく キコリができて
それが道案内する 名はゴンベイさん
そして 八幡大菩薩は出すに、化身としてキツネがでていたようです。それが見栄えや、他の伝説と混ざりこうなったわけです。自分的には どんな神楽でさえ日々進化しどんな形であれ 伝承されているのです。
紅葉狩りは確かに多彩です。
なぜなら今はどこの神楽団もやっていないのがほんとうです。
そう最初は(佐々木編)いわく キコリができて
それが道案内する 名はゴンベイさん
そして 八幡大菩薩は出すに、化身としてキツネがでていたようです。それが見栄えや、他の伝説と混ざりこうなったわけです。自分的には どんな神楽でさえ日々進化しどんな形であれ 伝承されているのです。
| 榊凪 | EMAIL | URL | 08/01/29 19:54 | GYKWyFX. |
あけましておめでとうございます。
次回は「酒呑童子」…と思っていたんですが、ファンの方からリクエストをいただいたので変更にしました☆
同じように見えても、けっこう神楽団によって違いがありますよね!
これからその辺をドンドンご紹介したいと思います。
またコメントお願いします。
次回は「酒呑童子」…と思っていたんですが、ファンの方からリクエストをいただいたので変更にしました☆
同じように見えても、けっこう神楽団によって違いがありますよね!
これからその辺をドンドンご紹介したいと思います。
またコメントお願いします。
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/01/01 13:31 | BFfnvy1Y |
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
待ってました!!新シリーズ!!前回は「源頼光」でしたが、今回は「紅葉狩」ですか~新舞を代表する演目ですね。
自分も「狩野の旅に出て・・・」と「鬼女征伐の勅命を受け・・・」の2つに分かれていると、思っていました。
正しいのは、「狩野の旅に出て・・・」ですが、某神楽団さんのは鬼女征伐で来ていても、宴の最中に鬼女の正体を見破るというストーリーになっています。
今年もよろしくお願いします。
待ってました!!新シリーズ!!前回は「源頼光」でしたが、今回は「紅葉狩」ですか~新舞を代表する演目ですね。
自分も「狩野の旅に出て・・・」と「鬼女征伐の勅命を受け・・・」の2つに分かれていると、思っていました。
正しいのは、「狩野の旅に出て・・・」ですが、某神楽団さんのは鬼女征伐で来ていても、宴の最中に鬼女の正体を見破るというストーリーになっています。
| ジェラード | EMAIL | URL | 07/01/01 13:15 | DDJ0Ydcc |
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