では次は「紅葉狩」のヒーロー、平維茂についてみてみよう。神楽の中では従者を引き連れて狩野の旅に出るなど、どちらかというと優雅な暮らしをおくっているようなイメージがある。しかし実際は、あの源頼光らと肩を並べられるほどの武勇者として知られていた。ただ、その他のことについては謎が多く、いろいろな書物に登場するも、その内容が一致しないのだ。
桓武平氏の血筋であるのは確かだが、武蔵権守繁盛(むさしのかみしげもり)の子であるという説と、その繁盛の子である兼忠(かねただ)を父とするという説とがある。まぁどちらにしても、「滝夜叉姫」に登場する平貞盛(さだもり)と親戚にあたる。また生没年についてもハッキリとせず、約80歳まで生きたとされるが、これは当時としては異例である。また、神楽のセリフでも登場する「余五将軍(よごのしょうぐん)」だが、これは維茂の別称である。が、これについてもなぜそう呼ばれたのか様々な説があり、ハッキリしない。
本当に謎だらけだが、神楽に関してはもう一つ謎がある。それは維茂が連れている従者だ。これは神楽団によってかなりバラバラである。藤原三成、長谷兼忠(はせのかねただ)、相良蔵人、日南友親(ひなのともちか)、清原成時、小松高正、ざっと調べただけでもこんなにいた。ただ単に従者、随臣(ずいしん)などとしているところもあれば、なんとビックリ、坂田金時が出てくる団もあった。こうなればなぜこんなにもバラバラなのか、調べてみないわけにはいかない。
そもそも、もともとは誰なんだ?ってことで、佐々木順三先生が書かれた台本を開いてみる。これがまた予想外の展開。なんと維茂さん、従者を連れずに一人で戸隠山に向かっているのだ…。ちなみに、勅命を受けてではなく、道に迷って山に入っている。もとは一人だったが、やはり見た目を考えれば二人のほうがよい。が、正式な人物がいないため、このように神楽団ごとでバラつきが出てしまったのだろう。この辺は神楽団の方からコメントいただけるとありがたい(笑)。
というわけで、謎ばかりでいまいちスッキリしないが、紅葉狩のヒーロー「平維茂」についての章を終わりとする。次回は、紅葉狩伝説についてみていきたい。
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桓武平氏の血筋であるのは確かだが、武蔵権守繁盛(むさしのかみしげもり)の子であるという説と、その繁盛の子である兼忠(かねただ)を父とするという説とがある。まぁどちらにしても、「滝夜叉姫」に登場する平貞盛(さだもり)と親戚にあたる。また生没年についてもハッキリとせず、約80歳まで生きたとされるが、これは当時としては異例である。また、神楽のセリフでも登場する「余五将軍(よごのしょうぐん)」だが、これは維茂の別称である。が、これについてもなぜそう呼ばれたのか様々な説があり、ハッキリしない。
本当に謎だらけだが、神楽に関してはもう一つ謎がある。それは維茂が連れている従者だ。これは神楽団によってかなりバラバラである。藤原三成、長谷兼忠(はせのかねただ)、相良蔵人、日南友親(ひなのともちか)、清原成時、小松高正、ざっと調べただけでもこんなにいた。ただ単に従者、随臣(ずいしん)などとしているところもあれば、なんとビックリ、坂田金時が出てくる団もあった。こうなればなぜこんなにもバラバラなのか、調べてみないわけにはいかない。
そもそも、もともとは誰なんだ?ってことで、佐々木順三先生が書かれた台本を開いてみる。これがまた予想外の展開。なんと維茂さん、従者を連れずに一人で戸隠山に向かっているのだ…。ちなみに、勅命を受けてではなく、道に迷って山に入っている。もとは一人だったが、やはり見た目を考えれば二人のほうがよい。が、正式な人物がいないため、このように神楽団ごとでバラつきが出てしまったのだろう。この辺は神楽団の方からコメントいただけるとありがたい(笑)。
というわけで、謎ばかりでいまいちスッキリしないが、紅葉狩のヒーロー「平維茂」についての章を終わりとする。次回は、紅葉狩伝説についてみていきたい。
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2007,01,03 Wed 00:00
コメント
榊凪さん、コメントありがとうございます。
キコリさんが出るのは自分も一回しか見たことがありません。
やはりイベントや大会では省略されてしまうことが多いようですね。
今年はキコリさんが出る上演に立ち会えたらいいなと思います。
キコリさんが出るのは自分も一回しか見たことがありません。
やはりイベントや大会では省略されてしまうことが多いようですね。
今年はキコリさんが出る上演に立ち会えたらいいなと思います。
| 特派員 | EMAIL | URL | 08/02/25 21:57 | BFfnvy1Y |
はぁ最近はキコリが出てくるとこありませんな
| 榊凪 | EMAIL | URL | 08/02/25 13:29 | sDlCJhvw |
神楽団員さん、コメントありがとうございます。
確かにその通りですね。
神楽が史実に沿ったものではない事は十分に承知しているつもりです。
ただ、あくまでも「もっと中身に興味を持ってもらいたい」という気持ちから、このシリーズをやらせていただいております。
「魅力が無くなる」とまでは考えていなかったので、これからはそういう事も念頭に置きたいと思います。
またコメントお願いします☆
確かにその通りですね。
神楽が史実に沿ったものではない事は十分に承知しているつもりです。
ただ、あくまでも「もっと中身に興味を持ってもらいたい」という気持ちから、このシリーズをやらせていただいております。
「魅力が無くなる」とまでは考えていなかったので、これからはそういう事も念頭に置きたいと思います。
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| 特派員 | EMAIL | URL | 07/01/03 22:48 | BFfnvy1Y |
神楽、歌舞伎、謡曲等殆どの演劇には実在の史実に基いた内容に沿って作られた作品は殆ど無い。登場人物に関しての僅かな伝承、所伝の神秘性を帯びた話等を基に作られていると思います。
だからどの作品も史実に添ったものと考えるべきでは無いと考えます。
佐々木先生の作品も謡曲が原典と思うが中身は神楽として変えてあるし供人は誰か名前が伝わっていないし平維茂一人が狩りに行く事も無く供は多く居たと思われる。とにかく中身に信憑性を伴うのも神楽等の特性。
中身を裸にしたら魅力が無くなる。似た様な伝説は各地に伝わっており内容も差異が有るのではないでしょうか。
だからどの作品も史実に添ったものと考えるべきでは無いと考えます。
佐々木先生の作品も謡曲が原典と思うが中身は神楽として変えてあるし供人は誰か名前が伝わっていないし平維茂一人が狩りに行く事も無く供は多く居たと思われる。とにかく中身に信憑性を伴うのも神楽等の特性。
中身を裸にしたら魅力が無くなる。似た様な伝説は各地に伝わっており内容も差異が有るのではないでしょうか。
| 神楽団員 | EMAIL | URL | 07/01/03 10:42 | ga0U8LoY |
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