1月22日に千代田開発センターで月一の舞が行われました。今回のテーマは「神楽が語る-日本誕生の物語-」で、石見から芸北地域に伝わる古典的な演目で構成されました。それでは報告です。
まずは原田神楽団「天の岩戸」。岩戸を開くために、五人の神様がそれぞれ個性的で特徴ある舞を繰り広げていきます。舞にも注目ですが、奏楽もこの演目の魅力の一つ。天照大神が舞う最初の場面では、まず登場する前が重要。いつも通りではなく、静かに、小刻みに響く楽に、「東山 天照る神の御代なれば…」の歌が入り、岩戸ならではの独特な雰囲気に会場が包まれます。見ている私達を神楽の世界に誘い込んでくれますね!児屋根命と太玉命の場面は、奏楽さんと一緒に歌を歌いたくなり、そして宇津女命の場面では高い笛の音が体の芯まで鳴り響くようです。手力男命の舞に合わせた力強い太鼓の音は、ドン!となる度にこちらの興奮も高まります。「岩戸は楽が大事」という言葉も聞いたことがありますが、それを実感する上演でした。
続いて浜田市の西村神楽社中「鹿島」。広島の神楽ファンのみなさんにとっては珍しい演目ではないでしょうか。大国主命(おおくにぬしのみこと)の国譲りを題材とした神楽で、大国主の第二の王子、建御名方命(たけみなかたのみこと)が、経津主命(ふつぬしのみこと)と、力比べをする所が見所となっています。最初は大きな石を取り合ったりしていますが、途中で何やら二人ともごそごそ…。何をするのかと思いきや、なんとお互いに向かって豆を投げつけ始めました!しかもかなりの勢いでビュンビュンと豆が飛んでいきます。予想外の衝撃的な光景に、笑いをこらえきれませんでした(笑)。その後は会場のみなさんにも福が訪れたようですね。西村神楽社中さんの暖かいサービスでした。
次も浜田市より石見神代神楽上府社中による「八衢」、これも広島の神楽ファンのみなさんには聞き慣れない演目ですね。天孫降臨の神話を神楽化したもので、「天の岩戸」でお馴染みの宇津女命と、天狗のような顔立ちの猿田彦命が登場します。まずは宇津女命が舞い、そして猿田彦と出会い、矛を授けます。そして後半はその矛を持って猿田彦が悪魔祓いの舞をするという内容。場面転換も少なく、地味な印象かもしれませんが、この二人の神様の舞をじっくりと見ることができました。軽やかに、そして柔らかく舞う宇津女命。そして力強く、キレのある舞の猿田彦。広島の姫舞や鬼舞とは一味違う舞を楽しめたことと思います。
最後は筏津神楽団「神武」。神倭磐余彦命(かんやまといわれひこのみこと)が大和国で長髓彦(ながすねひこ)を討ち、神武天皇と改めて日本国を建国します。初代天皇の誕生、そして日本誕生の物語です。はじめは神二人の舞です。ゆったりとした舞で一つ一つの動作がとても丁寧に感じられました。そして二人の道案内をする八咫烏(やたがらす)の登場。出番は少しですが、その出で立ちはインパクト十分。他では見られないキャラクターにみなさんも注目されたことと思います。そして敵役の長髓彦と兄磯城(えしき)の登場。神二人のコンビに負けない、息の合った舞を見せてくださいました。合戦は四人が長い刀を持って入り乱れる激しいもの。前半とはガラっと違う、奏楽さんの盛り上げっぷりにも目を奪われました。
以上、今年最初の月一の舞でした。イベント終了後は写真撮影会で、筏津神楽団さんが協力してくださいました。来月は2月12日、神楽が語る-ケモノ伝-です。お楽しみに!
まずは原田神楽団「天の岩戸」。岩戸を開くために、五人の神様がそれぞれ個性的で特徴ある舞を繰り広げていきます。舞にも注目ですが、奏楽もこの演目の魅力の一つ。天照大神が舞う最初の場面では、まず登場する前が重要。いつも通りではなく、静かに、小刻みに響く楽に、「東山 天照る神の御代なれば…」の歌が入り、岩戸ならではの独特な雰囲気に会場が包まれます。見ている私達を神楽の世界に誘い込んでくれますね!児屋根命と太玉命の場面は、奏楽さんと一緒に歌を歌いたくなり、そして宇津女命の場面では高い笛の音が体の芯まで鳴り響くようです。手力男命の舞に合わせた力強い太鼓の音は、ドン!となる度にこちらの興奮も高まります。「岩戸は楽が大事」という言葉も聞いたことがありますが、それを実感する上演でした。
続いて浜田市の西村神楽社中「鹿島」。広島の神楽ファンのみなさんにとっては珍しい演目ではないでしょうか。大国主命(おおくにぬしのみこと)の国譲りを題材とした神楽で、大国主の第二の王子、建御名方命(たけみなかたのみこと)が、経津主命(ふつぬしのみこと)と、力比べをする所が見所となっています。最初は大きな石を取り合ったりしていますが、途中で何やら二人ともごそごそ…。何をするのかと思いきや、なんとお互いに向かって豆を投げつけ始めました!しかもかなりの勢いでビュンビュンと豆が飛んでいきます。予想外の衝撃的な光景に、笑いをこらえきれませんでした(笑)。その後は会場のみなさんにも福が訪れたようですね。西村神楽社中さんの暖かいサービスでした。
次も浜田市より石見神代神楽上府社中による「八衢」、これも広島の神楽ファンのみなさんには聞き慣れない演目ですね。天孫降臨の神話を神楽化したもので、「天の岩戸」でお馴染みの宇津女命と、天狗のような顔立ちの猿田彦命が登場します。まずは宇津女命が舞い、そして猿田彦と出会い、矛を授けます。そして後半はその矛を持って猿田彦が悪魔祓いの舞をするという内容。場面転換も少なく、地味な印象かもしれませんが、この二人の神様の舞をじっくりと見ることができました。軽やかに、そして柔らかく舞う宇津女命。そして力強く、キレのある舞の猿田彦。広島の姫舞や鬼舞とは一味違う舞を楽しめたことと思います。
最後は筏津神楽団「神武」。神倭磐余彦命(かんやまといわれひこのみこと)が大和国で長髓彦(ながすねひこ)を討ち、神武天皇と改めて日本国を建国します。初代天皇の誕生、そして日本誕生の物語です。はじめは神二人の舞です。ゆったりとした舞で一つ一つの動作がとても丁寧に感じられました。そして二人の道案内をする八咫烏(やたがらす)の登場。出番は少しですが、その出で立ちはインパクト十分。他では見られないキャラクターにみなさんも注目されたことと思います。そして敵役の長髓彦と兄磯城(えしき)の登場。神二人のコンビに負けない、息の合った舞を見せてくださいました。合戦は四人が長い刀を持って入り乱れる激しいもの。前半とはガラっと違う、奏楽さんの盛り上げっぷりにも目を奪われました。
以上、今年最初の月一の舞でした。イベント終了後は写真撮影会で、筏津神楽団さんが協力してくださいました。来月は2月12日、神楽が語る-ケモノ伝-です。お楽しみに!
2012,01,22 Sun 23:12
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みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。さて新年最初の特派員報告は、1月3日の「グリーンアリーナ ニューイヤーイベント」です。お客さんも多く来られ、年初めから大賑わいのイベントでした。それでは報告です。
まずは中川戸神楽団「土蜘蛛」。源頼光の命を狙った葛城山の土蜘蛛ですが、逆に返り討ちに遭い、果てには四天王らによって退治されます。新舞の中でも人気の演目ですが、今回の上演で印象的だったのが、奏楽のみなさん。後に紹介もありましたが、高校生から二十歳という顔ぶれで、とってもフレッシュな印象でした。先輩方の舞を一生懸命盛り上げようとされてるのが伝わってきましたよ。神楽の醍醐味の一つである、舞と楽との一体感がしっかりと感じられました。
次は大塚神楽団「倭建命」。悲劇の英雄、ヤマトタケルの物語…のはずですが、兄ぎしと弟ぎしによる、「新春爆笑トーク」が繰り広げられました(笑)。攻めてくるヤマトタケルに対し、なんとかしようとする兄ぎし、なんだかやる気のない弟ぎし。兄ぎしに「シャンとせぇ!」と渇を入れられ、ようやくカッコよく決めたかと思いきや、「国を捨てて逃げよう」と退場しだす弟ぎし…。保育所からの付き合いだというお二人、息の合ったやり取りで会場を沸かせてくださいました。
次は上河内神楽団「悪狐伝・中編」。悪狐以上の人気を誇る?珍斉和尚さんの登場で、これまた大いに笑わせていただきました。たくさんのネタを披露したかと思えば、なんでもないセリフで噛んだりして、奏楽のみなさんも思わず吹き出してしまったり。もちろん共演者の玉藻前さんにも、いろんなちょっかいを出したりと大活躍。先ほどの大塚さんの上演では若いお二人でしたが、こちらはベテランのチャリの技でまたも大笑いの演目でした。
休憩を挟んだ後は中川戸神楽団「瀧夜叉姫」から始まりました。いつもながら、瀧夜叉姫の見事な変化に思わず見入ってしまいますね。会場からも変化のたびに「おぉ~」というどよめきがありました。もう一つの見どころが手下達との激しい合戦。5人の舞手さんによるその合戦は、まさに息つく暇もないほど。その中で、ヒラヒラと舞う煌びやかな衣装が目に焼きついて、さらに見ている側の興奮をあおってくれます。演出だけでなく、いろいろ見応えたっぷりの上演でした。
続いて大塚神楽団「道成寺」。ここでもチャリ役の船頭さんが登場し、またまた会場を笑いの渦に巻き込んでくださいました。なんでも船頭さんの住まれている大塚地域、今日も雪の降る中を来られたそうで、「街はぬくいね!」を連発。お客さんからビールの差し入れをもらったかと思えば、「つまみはないん?」と付け加えてみたり。しかしそんな船頭さんにも想定外の出来事が!安珍さんを乗せて船渡しの最中、なんと船が二つに分かれてしまうのです(笑)。ストーリー上、絶対に起こるはずのない珍事に、会場のみなさんも大笑いでした。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。人気演目であり、新舞の魅力がたくさん詰め込まれていますね。鬼女たちの華やかな舞はゆったりとして、物語の始まりを強調します。物語が進むにつれ、段々と舞が変化していきます。そして奏楽も重要な要素。特に場面と場面をつなぐわずかな間などは、奏楽の持っていき方で随分と印象が変わるのではないでしょうか。最後はエネルギーを全て出し切るかのような合戦。舞も楽も、限界までスピードアップし、見事な伝統の技を見せてくださいました。
さて毎年恒例の新春神楽から、今年も始まりました。どうぞ本年も「神楽のぶろぐ」をよろしくお願いします。
まずは中川戸神楽団「土蜘蛛」。源頼光の命を狙った葛城山の土蜘蛛ですが、逆に返り討ちに遭い、果てには四天王らによって退治されます。新舞の中でも人気の演目ですが、今回の上演で印象的だったのが、奏楽のみなさん。後に紹介もありましたが、高校生から二十歳という顔ぶれで、とってもフレッシュな印象でした。先輩方の舞を一生懸命盛り上げようとされてるのが伝わってきましたよ。神楽の醍醐味の一つである、舞と楽との一体感がしっかりと感じられました。
次は大塚神楽団「倭建命」。悲劇の英雄、ヤマトタケルの物語…のはずですが、兄ぎしと弟ぎしによる、「新春爆笑トーク」が繰り広げられました(笑)。攻めてくるヤマトタケルに対し、なんとかしようとする兄ぎし、なんだかやる気のない弟ぎし。兄ぎしに「シャンとせぇ!」と渇を入れられ、ようやくカッコよく決めたかと思いきや、「国を捨てて逃げよう」と退場しだす弟ぎし…。保育所からの付き合いだというお二人、息の合ったやり取りで会場を沸かせてくださいました。
次は上河内神楽団「悪狐伝・中編」。悪狐以上の人気を誇る?珍斉和尚さんの登場で、これまた大いに笑わせていただきました。たくさんのネタを披露したかと思えば、なんでもないセリフで噛んだりして、奏楽のみなさんも思わず吹き出してしまったり。もちろん共演者の玉藻前さんにも、いろんなちょっかいを出したりと大活躍。先ほどの大塚さんの上演では若いお二人でしたが、こちらはベテランのチャリの技でまたも大笑いの演目でした。
休憩を挟んだ後は中川戸神楽団「瀧夜叉姫」から始まりました。いつもながら、瀧夜叉姫の見事な変化に思わず見入ってしまいますね。会場からも変化のたびに「おぉ~」というどよめきがありました。もう一つの見どころが手下達との激しい合戦。5人の舞手さんによるその合戦は、まさに息つく暇もないほど。その中で、ヒラヒラと舞う煌びやかな衣装が目に焼きついて、さらに見ている側の興奮をあおってくれます。演出だけでなく、いろいろ見応えたっぷりの上演でした。
続いて大塚神楽団「道成寺」。ここでもチャリ役の船頭さんが登場し、またまた会場を笑いの渦に巻き込んでくださいました。なんでも船頭さんの住まれている大塚地域、今日も雪の降る中を来られたそうで、「街はぬくいね!」を連発。お客さんからビールの差し入れをもらったかと思えば、「つまみはないん?」と付け加えてみたり。しかしそんな船頭さんにも想定外の出来事が!安珍さんを乗せて船渡しの最中、なんと船が二つに分かれてしまうのです(笑)。ストーリー上、絶対に起こるはずのない珍事に、会場のみなさんも大笑いでした。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。人気演目であり、新舞の魅力がたくさん詰め込まれていますね。鬼女たちの華やかな舞はゆったりとして、物語の始まりを強調します。物語が進むにつれ、段々と舞が変化していきます。そして奏楽も重要な要素。特に場面と場面をつなぐわずかな間などは、奏楽の持っていき方で随分と印象が変わるのではないでしょうか。最後はエネルギーを全て出し切るかのような合戦。舞も楽も、限界までスピードアップし、見事な伝統の技を見せてくださいました。
さて毎年恒例の新春神楽から、今年も始まりました。どうぞ本年も「神楽のぶろぐ」をよろしくお願いします。
2012,01,03 Tue 20:08
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