先週の日曜日、千代田開発センターにて、「月一の舞」が開催されました。今回は、いつもの特派員さんたちが出席できないため、代理としてわたくし特派員Wが務めさせてもらいました。今年度最後のテーマは「誕生ー日本の神々ー」として、行われました。
今回は、最初にお伝えしなければならないことがあります。みなさん御承知の通り、先日、東日本を襲った大地震・大津波によって、多くの尊い命、そして長い避難生活を余儀なくされている方々がたくさんいらっしゃいます。国内の多くのイベントが中止となる中、今回の月一の舞は「できることをみつけ、動き、支えていこう」とチャリティーという形で行われました。ご来場いただいた皆様からの入場料・設置した募金箱で集められた義援金は、新聞社を通して、被災地へ送られます。また、開演に先立ちましては、亡くなられた方々への黙とうも行われました。特に被害の大きかった東北地方も神楽の盛んな地域とのことで、ここ、広島から「神楽」を通しての思いが被災地に届くことができれば、幸いです。
天の岩戸 筏津神楽団
この演目は、神楽の起源だけでなく、日本の芸能の起源と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。この演目では個性豊かな神々の舞が特徴的ですよね。兒屋根命と太玉命が岩戸へ向かう場面では、それぞれ対照的な動きながら、息の合った舞を見ることができた方も多いと思います。この二人、口上の中でしか見ることができませんが、岩戸から天照大神を迎えるために様々な準備をしているのです。まさに日本の基盤を支えた神といえるのではないでしょうか。舞を見るのもいいですが、ふと口上に耳を傾けると「なるほど」と思えるようなことがたくさん眠ってます。岩戸が開かれる場面では、舞手・奏楽はもちろん、会場全体が一つになって盛り上がりを見せました。
八幡 三谷神楽団
神一人と鬼一人という、シンプルな内容ですが、この演目には、神楽の舞の基本要素が盛り込まれていて、どの神楽団・社中においても大切にされている舞の一つとされています。神と鬼では舞はもちろん異なりますが、共通して言えるのは、自分の動きをしっかり見せること・自分の採物を十分に使うことだと見ていて感じました。合戦の場面では、一対一なので緊張感のある舞が繰り広げられ、鬼は矢を受けて苦しむところを神がとどめの一矢を打ち込もうと機会をうかがう場面では印象的でした。先月の早春神楽では、「鐘馗」を演じられていて、この二つをご覧になった方の中には、比べて違いを楽しむことのできた人もいるのではないでしょうか。
日本武尊 谷住郷神楽社中
すっかり、広島でもおなじみとなってきましたね。古代日本の英雄・日本武尊の東国賊徒征伐の物語。この演目を語るうえで忘れてはならないものは、天叢雲剣(後に草薙剣)ですよね。ご存じ、須佐之男命が八岐大蛇を退治した時に出てきた剣で、今回の物語では尊の危機を救う活躍を見せます。そして、もう一つ忘れてならないのが、神楽の演目の中で憎めない敵役の代表格といえましょう、賊首率いる兄ぎし・弟ぎしたちです。今回もいつものように兄ぎし・弟ぎしに刀とたいまつを渡すのかと思いきや、今回は賊首さんどうも様子がおかしいようで、大きな袋の中には、ミニ門松・太刀ならぬタチウオ、終いには今年のカレンダーが出てくる始末で、どうやらまだ正月気分が抜けていないようです。それでも兄ぎしさんたち無事に刀とたいまつをもらったようで、合戦の場面では、さっきとは変わって血気迫る立ち回りを見せてくれました。
神武 筏津神楽団
最初に紹介した「天の岩戸」に登場した天照大神の子孫・神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)の物語です。筏津さんの「神武」では、ほかの神楽団さんでは登場しない「八咫鳥」が登場し、物語に深く入り込むことができたのではないでしょうか。大和国を目指す磐余彦尊を導き、霊剣を授け、この「八咫鳥」も日本を支えた功労者ではないでしょうか。ご存知の方も多いと思いますが、サッカー日本代表のシンボルマークは「八咫鳥」なんです。1月に行われたアジア杯では、日本は見事に優勝しましたが、日本を勝利に導いてくれたのは「八咫鳥」のおかげでしょうね。さて、「八咫鳥」のおかげで大和国に辿りついた磐余彦尊ですが、そこには長髄彦の軍勢が待ち受けていました。合戦の場面でもたびたび磐余彦尊を窮地に追いやっていました。大激闘の末、磐余彦尊は長髄彦を倒し、神武天皇となって畝傍山のふもとに都を築きました。話は変わりますが、戦いに敗れた長髄彦は、一説によれば、現在の東北地方に逃れたという説、また、子孫はあの織田信長・伊達正宗という説もあります。彼らの強さは、ご先祖譲りだったのかもしれないですね。
今回の月一の舞で、今年度の月一の舞は終了です。さて、最初にも申し上げたとおり、東日本を襲った大地震・大津波によって、多くの尊い命が奪われました。すでに日本国内はもとより、世界中からも救助隊をはじめ、また温かいご支援が届けられています。ある、外国紙では、「日本人は、非常に秩序を持った行動ができる人々だ。今回の未曾有の大災害にも必ず立ち向かえるはずだ」と報じられていました。その世界中から称賛される心を育んでくれたのは、「神楽」を通しても語り継がれる、先人たちのおかげだと思います。日本人は、今までも多くの困難に遭いながらも、助け合う気持ちを忘れずに立ち向かってきました。私たち月一の舞主催者としても、義援金という形ではありますが、被災地のみなさんの力になれればと思い、ご来場いただいた皆様からの入場料・設置した義援箱へのお気持ち、出演神楽団・社中の皆様、今回出演のなかった神楽団・社中の皆様からも寄付をいただきました。義援金の全額291,948円は、中国新聞社を通して、被災地に届けられます。このたびの活動にご理解・ご支援いただいた神楽ファン・神楽団・社中の皆様に厚くお礼を申し上げます。そして、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
来年度も、さまざまなテーマを構成して、皆様に楽しんでいただけるものが満載ですので来年度も月一の舞へ足を運んで下さいね。ご来場をスタッフ一同お待ちしております。
今回は、最初にお伝えしなければならないことがあります。みなさん御承知の通り、先日、東日本を襲った大地震・大津波によって、多くの尊い命、そして長い避難生活を余儀なくされている方々がたくさんいらっしゃいます。国内の多くのイベントが中止となる中、今回の月一の舞は「できることをみつけ、動き、支えていこう」とチャリティーという形で行われました。ご来場いただいた皆様からの入場料・設置した募金箱で集められた義援金は、新聞社を通して、被災地へ送られます。また、開演に先立ちましては、亡くなられた方々への黙とうも行われました。特に被害の大きかった東北地方も神楽の盛んな地域とのことで、ここ、広島から「神楽」を通しての思いが被災地に届くことができれば、幸いです。
天の岩戸 筏津神楽団
この演目は、神楽の起源だけでなく、日本の芸能の起源と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。この演目では個性豊かな神々の舞が特徴的ですよね。兒屋根命と太玉命が岩戸へ向かう場面では、それぞれ対照的な動きながら、息の合った舞を見ることができた方も多いと思います。この二人、口上の中でしか見ることができませんが、岩戸から天照大神を迎えるために様々な準備をしているのです。まさに日本の基盤を支えた神といえるのではないでしょうか。舞を見るのもいいですが、ふと口上に耳を傾けると「なるほど」と思えるようなことがたくさん眠ってます。岩戸が開かれる場面では、舞手・奏楽はもちろん、会場全体が一つになって盛り上がりを見せました。
八幡 三谷神楽団
神一人と鬼一人という、シンプルな内容ですが、この演目には、神楽の舞の基本要素が盛り込まれていて、どの神楽団・社中においても大切にされている舞の一つとされています。神と鬼では舞はもちろん異なりますが、共通して言えるのは、自分の動きをしっかり見せること・自分の採物を十分に使うことだと見ていて感じました。合戦の場面では、一対一なので緊張感のある舞が繰り広げられ、鬼は矢を受けて苦しむところを神がとどめの一矢を打ち込もうと機会をうかがう場面では印象的でした。先月の早春神楽では、「鐘馗」を演じられていて、この二つをご覧になった方の中には、比べて違いを楽しむことのできた人もいるのではないでしょうか。
日本武尊 谷住郷神楽社中
すっかり、広島でもおなじみとなってきましたね。古代日本の英雄・日本武尊の東国賊徒征伐の物語。この演目を語るうえで忘れてはならないものは、天叢雲剣(後に草薙剣)ですよね。ご存じ、須佐之男命が八岐大蛇を退治した時に出てきた剣で、今回の物語では尊の危機を救う活躍を見せます。そして、もう一つ忘れてならないのが、神楽の演目の中で憎めない敵役の代表格といえましょう、賊首率いる兄ぎし・弟ぎしたちです。今回もいつものように兄ぎし・弟ぎしに刀とたいまつを渡すのかと思いきや、今回は賊首さんどうも様子がおかしいようで、大きな袋の中には、ミニ門松・太刀ならぬタチウオ、終いには今年のカレンダーが出てくる始末で、どうやらまだ正月気分が抜けていないようです。それでも兄ぎしさんたち無事に刀とたいまつをもらったようで、合戦の場面では、さっきとは変わって血気迫る立ち回りを見せてくれました。
神武 筏津神楽団
最初に紹介した「天の岩戸」に登場した天照大神の子孫・神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)の物語です。筏津さんの「神武」では、ほかの神楽団さんでは登場しない「八咫鳥」が登場し、物語に深く入り込むことができたのではないでしょうか。大和国を目指す磐余彦尊を導き、霊剣を授け、この「八咫鳥」も日本を支えた功労者ではないでしょうか。ご存知の方も多いと思いますが、サッカー日本代表のシンボルマークは「八咫鳥」なんです。1月に行われたアジア杯では、日本は見事に優勝しましたが、日本を勝利に導いてくれたのは「八咫鳥」のおかげでしょうね。さて、「八咫鳥」のおかげで大和国に辿りついた磐余彦尊ですが、そこには長髄彦の軍勢が待ち受けていました。合戦の場面でもたびたび磐余彦尊を窮地に追いやっていました。大激闘の末、磐余彦尊は長髄彦を倒し、神武天皇となって畝傍山のふもとに都を築きました。話は変わりますが、戦いに敗れた長髄彦は、一説によれば、現在の東北地方に逃れたという説、また、子孫はあの織田信長・伊達正宗という説もあります。彼らの強さは、ご先祖譲りだったのかもしれないですね。
今回の月一の舞で、今年度の月一の舞は終了です。さて、最初にも申し上げたとおり、東日本を襲った大地震・大津波によって、多くの尊い命が奪われました。すでに日本国内はもとより、世界中からも救助隊をはじめ、また温かいご支援が届けられています。ある、外国紙では、「日本人は、非常に秩序を持った行動ができる人々だ。今回の未曾有の大災害にも必ず立ち向かえるはずだ」と報じられていました。その世界中から称賛される心を育んでくれたのは、「神楽」を通しても語り継がれる、先人たちのおかげだと思います。日本人は、今までも多くの困難に遭いながらも、助け合う気持ちを忘れずに立ち向かってきました。私たち月一の舞主催者としても、義援金という形ではありますが、被災地のみなさんの力になれればと思い、ご来場いただいた皆様からの入場料・設置した義援箱へのお気持ち、出演神楽団・社中の皆様、今回出演のなかった神楽団・社中の皆様からも寄付をいただきました。義援金の全額291,948円は、中国新聞社を通して、被災地に届けられます。このたびの活動にご理解・ご支援いただいた神楽ファン・神楽団・社中の皆様に厚くお礼を申し上げます。そして、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
来年度も、さまざまなテーマを構成して、皆様に楽しんでいただけるものが満載ですので来年度も月一の舞へ足を運んで下さいね。ご来場をスタッフ一同お待ちしております。
2011,03,17 Thu 22:40
新着コメント
さぁ番外編です。まず最初は恒例の?天蓋の写真から。それぞれの飾りの色、そして描かれているもの、その配置。これらは陰陽五行思想に基づいています。この天蓋で季節や方角などを示し、そして何より神様の存在を感じるということ。古代日本の人々が、どのように生きて、何を大事にしてきたのか。天蓋にはそんな私達のご先祖様の思いが込められているのです。
続いては当日の朝8時半ごろのステージの様子です。開場まであとわずか。そんな中、トップバッターの亀山社中さんと音響のステッフさんが、最後の調整をされているところです。前日から機材の搬入、そして入念な準備をされ、いよいよ本番を迎えるステージ。やり直しはききません。舞台で舞ったりするよりも、裏で神経を張り詰めているスタッフさんのほうが緊張されているのかもしれませんね。
そして3枚目、これは上演中の写真ですが、さぁどの演目かおわかりになりますか!?神楽ファンのみなさんなら簡単ですね。そう、川北神楽団「安達ヶ原」です。この画像をご紹介する理由はご覧になるとおわかりかと思いますが、狐の化身が太鼓から飛び上がった時の決定的瞬間!を捉えた写真なんです。タイミングがわかってても、なかなかここまで綺麗に撮ることは難しいと思いますが、これは特派員Nさんの見事な腕前によるもの。今回のイベントの画像は、すべてNさんが頑張って撮影してくれました。みなさんに少しでも雰囲気が伝わるように、写真も記事も努力しています。これからもよろしくお願いします!
さて今回も大盛況に終わったRCC早春神楽共演大会。熱演が繰り広げられたステージは、30分と立たぬうちにご覧の状態。朝早くから会場入りし、そして長時間の本番を無事に終えたスタッフのみなさんですが、この撤収作業が完了しないと帰れません(笑)。最後の最後にケガをしないよう、また忘れ物をしないように細心の注意を払いながら、テキパキとお片づけ。本当にお疲れ様でした!!
さぁそしてもったいぶって一番最後になりましたが、パンフレット購入で挑戦できる抽選。特派員になって毎回高級醤油をいただいていました。今年こそは!と気合を入れてガラガラと回すと…赤い玉が!?ついに今年は醤油を卒業し、なんとお米が当たりました!!主催者のみなさん、ありがとうございます(笑)。もちろん肝心のパンフレットの中身も神楽ファン必見の盛り沢山な内容ですよ!来年も挑戦したいと思います。ということで、「おまけ」の番外編でした。次回の特派員報告もお楽しみに!
2011,03,03 Thu 23:01
新着コメント
コメントありがとうございます。
はい、見事にお米をゲットしました☆
いつも見ていただいてありがとうございます。
舞台裏も楽しんでいただけたようで嬉しいです。
これからもよろしくお願いします!
はい、見事にお米をゲットしました☆
いつも見ていただいてありがとうございます。
舞台裏も楽しんでいただけたようで嬉しいです。
これからもよろしくお願いします!
| 特派員Y | EMAIL | URL | 11/03/17 22:47 | aPtMLMsg |
お米の当選、おめでとうございます!(笑)
いつも楽しみに拝見してますよ。
特にその3がいいですね、一般客にはわからない舞台裏という感じでw
これからも頑張ってください。
いつも楽しみに拝見してますよ。
特にその3がいいですね、一般客にはわからない舞台裏という感じでw
これからも頑張ってください。
| osa | EMAIL | URL | 11/03/16 20:54 | bwe7u89A |
第三部「新たなる神楽への挑戦」
琴庄神楽団「厳島」。今回この上演を楽しみに来られた方も多くおられたことでしょう。昨年9月に初演を向かえたばかりの、まさに最新の演目です。厳島を拠点とした平清盛の物語がメインとして語られます。ホールでの演出が存分に生かされた場面が随所に見られるあたり、この第三部にピッタリの上演だったように思います。後に厳島に鎮まる三女神が登場するところは、幕が開いた時の背景の鮮やかな青色が印象的で、天からやってきた様子か、あるいは瀬戸内海の美しい海を表しているのかといった感じ。清盛が沈んだ太陽を再び呼び戻す場面は、いったん落とされた照明が、舞に合わせて次第に強くなっていくのがわかりました。やはりもっとも印象的だったのは怨霊が登場する場面でしょうか。青暗いステージにスモークが立ちこめ、ゆっくりと怨霊がその不気味な姿を現します。見に行かれた方はどんな場面が印象に残りましたか?
原田神楽団「戻り橋(前編)」。いよいよ大江山三段返しの始まりです。まずは都、戻り橋がその舞台となります。夜な夜な悪事をはたらく茨木童子を成敗するため、四天王の渡辺綱が戻り橋へと向かいます。対する茨木童子は老婆に化けて同じく戻り橋へ。これから始まる壮大な物語が、静かに幕を開けていくようでワクワクしますね。そして戻り橋と言えば忘れてはなりません、傘売り善兵衛さん。第二部で「笑いの魔術師」が登場されたため、かなりプレッシャーを感じていたそうですが、負けず劣らすの笑いを誘っていましたよ!そして後半は茨木童子の加勢に酒呑童子が参戦。その駆けつけた時の様子がとてもリアルで、「どうした?」「あいつが綱じゃ!」というような会話が聞こえてきそうでした。そして激しい戦いの末、綱は茨木童子を左腕を切り落とします。腕を切られ、大江山へと逃げ去る様子も、悔しさを爆発させながらといった感じで印象的でした!
そしてその左腕を取り返すのが大塚神楽団「羅生門」の物語。まずは仕返しとばかり、綱の乳母を手にかける茨木童子。そして酒呑童子はその乳母に化け、綱の館へ。変化自在の鬼ならではの術を、舞手さんの巧みな演技で見事に表現。会場のみなさんも注目されたことでしょう!そしてついに左腕を取り返した酒呑童子。早速茨木童子へともみつけ…しかしここで腕がまた無くなった?というお馴染みの展開に。ここもいかにも仲良さげな鬼たちのリアルなやり取りに笑わせていただきました。そして綱の加勢に源頼光が現れ、酒呑童子との初顔合わせ。激しい戦いを表すように、息もつかせぬほどの速いテンポで五人の舞手さんが舞っていきます。奏楽さんもここぞとばかりに一気に盛り上げ、会場も興奮状態に。しかし鬼たちは逃げ失せ、そして最後の一戦が始まります!
上河内神楽団「大江山」。まずは頼光たちの登場です。豪華な衣装に身を包んだ三人の神は、いづれも若い舞手さんのようでしたが、今回のようなホールでの一大イベント、どんな気持ちで迎えられていたのでしょうね。そんなことを思うと、見ている側も応援に力が入ります。最初の神の舞では、元気良さというよりは「焦らず、落ち着いて。」という感じで丁寧な印象を受けました。そして一歩ずつ、しっかりと大江山千丈ケ岳へと登って行きます。そしてついに岩屋へと辿り着いた頼光たち。2枚目の画像をご覧いただくとおわかりのように、酒呑童子のこの迫力!大きな面ですね~。どっしりと構えてグッと睨みつける、そんなことをされたら怖くて逃げ出しそうになってしまいますが、頼光たちは動じません。酒に酔ったところを逃さず切りかかります。これまたテンポの速い合戦の舞、煌びやかな衣装が目に焼きつくようです。三人の渾身の一撃がついに酒呑童子を捕らえ、長い戦いが幕を閉じました。
横田神楽団「紅葉狩」。広島を代表する人気の神楽団と人気演目で、上演中はたくさんの声援が飛んでいましたね。舞台演出は控えめですが、そのぶんじっくりと神楽そのものを見ることができたように思います。各地の競演大会で優秀な成績を収められている実績、さすがですね。見ていて本当に安定感を感じます。舞と楽のテンポ、バランス。見ているとなんとも言えない心地よさに包まれます。さらには神楽歌や掛け声で舞台が盛り上がり、見ている側もどんどん神楽の世界に引き込まれていくようです。すべてにおいて洗練されたという印象で、本当に小さいことにまで雑なところがなく、とても綺麗に見えますよね。それでなおかつ、合戦ではスピード感ある速い舞をたっぷりと見せてくださいました。
最後は中川戸神楽団「青葉の笛」。大事にしていた青葉の笛を盗まれた官那羅(かんなら)は、自分の手下を向かわせます。そして笛を奪い返すも、人の業によって鬼にされ、ついには退治されてしまいます。中川戸さんのオリジナル演目ですが、とても深い物語ですよね。それでも見る人にちゃんと伝わるよう、舞や楽はもちろん、セリフや展開、舞手の立ち位置など、本当にいろんなところに工夫されていると思います。古典曲目の場合、このような物語があっても単純に鬼退治といった感じで省略されてしまい、なかなか深い意味や物語などを知ることが少ないと思いますが、この演目のような新しい試みによって、この地域の神楽はより多くのファンを獲得してきたのです。20年前に「板蓋宮」というオリジナル神楽を発表されて以来、新しい神楽に挑戦され続けている中川戸神楽団さん。これからも多くのファンを魅了してくださることでしょう。
以上、後半の演目のご紹介でした。「その3」は密かに楽しみにされている方もいる?番外編です。
琴庄神楽団「厳島」。今回この上演を楽しみに来られた方も多くおられたことでしょう。昨年9月に初演を向かえたばかりの、まさに最新の演目です。厳島を拠点とした平清盛の物語がメインとして語られます。ホールでの演出が存分に生かされた場面が随所に見られるあたり、この第三部にピッタリの上演だったように思います。後に厳島に鎮まる三女神が登場するところは、幕が開いた時の背景の鮮やかな青色が印象的で、天からやってきた様子か、あるいは瀬戸内海の美しい海を表しているのかといった感じ。清盛が沈んだ太陽を再び呼び戻す場面は、いったん落とされた照明が、舞に合わせて次第に強くなっていくのがわかりました。やはりもっとも印象的だったのは怨霊が登場する場面でしょうか。青暗いステージにスモークが立ちこめ、ゆっくりと怨霊がその不気味な姿を現します。見に行かれた方はどんな場面が印象に残りましたか?
原田神楽団「戻り橋(前編)」。いよいよ大江山三段返しの始まりです。まずは都、戻り橋がその舞台となります。夜な夜な悪事をはたらく茨木童子を成敗するため、四天王の渡辺綱が戻り橋へと向かいます。対する茨木童子は老婆に化けて同じく戻り橋へ。これから始まる壮大な物語が、静かに幕を開けていくようでワクワクしますね。そして戻り橋と言えば忘れてはなりません、傘売り善兵衛さん。第二部で「笑いの魔術師」が登場されたため、かなりプレッシャーを感じていたそうですが、負けず劣らすの笑いを誘っていましたよ!そして後半は茨木童子の加勢に酒呑童子が参戦。その駆けつけた時の様子がとてもリアルで、「どうした?」「あいつが綱じゃ!」というような会話が聞こえてきそうでした。そして激しい戦いの末、綱は茨木童子を左腕を切り落とします。腕を切られ、大江山へと逃げ去る様子も、悔しさを爆発させながらといった感じで印象的でした!
そしてその左腕を取り返すのが大塚神楽団「羅生門」の物語。まずは仕返しとばかり、綱の乳母を手にかける茨木童子。そして酒呑童子はその乳母に化け、綱の館へ。変化自在の鬼ならではの術を、舞手さんの巧みな演技で見事に表現。会場のみなさんも注目されたことでしょう!そしてついに左腕を取り返した酒呑童子。早速茨木童子へともみつけ…しかしここで腕がまた無くなった?というお馴染みの展開に。ここもいかにも仲良さげな鬼たちのリアルなやり取りに笑わせていただきました。そして綱の加勢に源頼光が現れ、酒呑童子との初顔合わせ。激しい戦いを表すように、息もつかせぬほどの速いテンポで五人の舞手さんが舞っていきます。奏楽さんもここぞとばかりに一気に盛り上げ、会場も興奮状態に。しかし鬼たちは逃げ失せ、そして最後の一戦が始まります!
上河内神楽団「大江山」。まずは頼光たちの登場です。豪華な衣装に身を包んだ三人の神は、いづれも若い舞手さんのようでしたが、今回のようなホールでの一大イベント、どんな気持ちで迎えられていたのでしょうね。そんなことを思うと、見ている側も応援に力が入ります。最初の神の舞では、元気良さというよりは「焦らず、落ち着いて。」という感じで丁寧な印象を受けました。そして一歩ずつ、しっかりと大江山千丈ケ岳へと登って行きます。そしてついに岩屋へと辿り着いた頼光たち。2枚目の画像をご覧いただくとおわかりのように、酒呑童子のこの迫力!大きな面ですね~。どっしりと構えてグッと睨みつける、そんなことをされたら怖くて逃げ出しそうになってしまいますが、頼光たちは動じません。酒に酔ったところを逃さず切りかかります。これまたテンポの速い合戦の舞、煌びやかな衣装が目に焼きつくようです。三人の渾身の一撃がついに酒呑童子を捕らえ、長い戦いが幕を閉じました。
横田神楽団「紅葉狩」。広島を代表する人気の神楽団と人気演目で、上演中はたくさんの声援が飛んでいましたね。舞台演出は控えめですが、そのぶんじっくりと神楽そのものを見ることができたように思います。各地の競演大会で優秀な成績を収められている実績、さすがですね。見ていて本当に安定感を感じます。舞と楽のテンポ、バランス。見ているとなんとも言えない心地よさに包まれます。さらには神楽歌や掛け声で舞台が盛り上がり、見ている側もどんどん神楽の世界に引き込まれていくようです。すべてにおいて洗練されたという印象で、本当に小さいことにまで雑なところがなく、とても綺麗に見えますよね。それでなおかつ、合戦ではスピード感ある速い舞をたっぷりと見せてくださいました。
最後は中川戸神楽団「青葉の笛」。大事にしていた青葉の笛を盗まれた官那羅(かんなら)は、自分の手下を向かわせます。そして笛を奪い返すも、人の業によって鬼にされ、ついには退治されてしまいます。中川戸さんのオリジナル演目ですが、とても深い物語ですよね。それでも見る人にちゃんと伝わるよう、舞や楽はもちろん、セリフや展開、舞手の立ち位置など、本当にいろんなところに工夫されていると思います。古典曲目の場合、このような物語があっても単純に鬼退治といった感じで省略されてしまい、なかなか深い意味や物語などを知ることが少ないと思いますが、この演目のような新しい試みによって、この地域の神楽はより多くのファンを獲得してきたのです。20年前に「板蓋宮」というオリジナル神楽を発表されて以来、新しい神楽に挑戦され続けている中川戸神楽団さん。これからも多くのファンを魅了してくださることでしょう。
以上、後半の演目のご紹介でした。「その3」は密かに楽しみにされている方もいる?番外編です。
2011,03,02 Wed 22:45
新着コメント
2月27日に広島市の文化交流会館(旧厚生年金会館)でRCC早春神楽共演大会が行われました。神楽と舞台演出を組み合わせたステージが魅力のこのイベント、楽しみにされていたファンの方も多かったことと思います。たまたま、私の知人で大阪から来られた方がいらっしゃいました。もっと遠くから来られた方もおられたことでしょう!昨年よりもお客さんの数が多かったようで、神楽人気の高さを改めて感じました。それではご紹介したいと思います。
第一部「原点を見つめる」
石見神楽亀山社中「岩戸」からステージが幕を開けました。「まずは岩戸のその始め…」という歌もありますが、神楽の始まりが語られる「岩戸」は、第一部に相応しい演目ですね。舞、楽のそれぞれの面白さ、そしてその一体感。さらに舞台演出にも注目。最初に天照大神が岩戸を閉じてしまいますが、その場面。幕が閉じるとすべての照明が落とされ、会場は真っ暗に。いつも奏楽を照らすほのかな明かりすらも消えてしまい、まさに会場は常闇の世界。その後、青く薄暗い照明で舞台が照らされました。一瞬、完全に暗闇を体験されたことによって、必死で目を凝らしたり、あるいは耳を傾けて音に集中したりという行動をされたお客さんもいらしたと思いますが、そんな表現が神楽の中でも見ることができます。登場する神様が、よく音が響き渡る鈴を持っていたり、身体が触れて初めてお互いの存在に気づいたり。そういった小さなことにも神楽の面白さが隠れていると思います。
第二部「伝統を受け継ぐ」
三谷神楽団「鍾馗」。神楽には鬼が出る演目がたくさんありますが、その中でも最も古いものの一つとされるこの「鍾馗」。これも第二部に相応しい演目だと思います。鍾馗大神、大疫神、そして立ち合いの舞の中で、他ではないような特徴的な舞が見られるのも興味深い点ですね。その舞の意味は、見る人がすべて理解できるものではないですが、それでもつい引き込まれて見てしまうところに、神楽の魅力、特に古典曲目ならではの魅力があると言えるでしょう。登場人物を見てみると、鍾馗大神は実に迫力のある舞。対する大疫神は怖さを感じさせ、目に見えない病の恐ろしさを表します。言葉の言い方も対照的で、「我こそは鍾馗なり!」と雷が轟くかのような凄みのある鍾馗。そして大疫神は薄気味悪いような感じのしゃべり方。これには思わず会場もどよめいていました。
後野神楽社中「八岐大蛇」は2009年にも上演されましたが、その時に印象的だったのが最初の姫を呑み取る場面でした。暗いステージで姫がポツンといるところに、何やら赤い点が浮かび上がって…それが大蛇の目だと気づいた時の衝撃を今でもよく覚えています。今回はその前回と少し違った演出でしたが、やはり背後から姫に忍び寄ってくる大蛇の恐怖をしっかり表現されていたと思います。もちろん8頭の大蛇が登場、序盤から出し惜しみすることなく、迫力の場面となりました。後半の須佐之男命との立ち合いでもそうですが、大蛇が襲い掛かる様子は、まるで大きな波が小さな舟を一気に飲み込んでしまうような感じ。もちろん須佐之男命はやられるわけにはいきません。剣を振り回し、一頭、また一頭と大蛇の頭を切り落としていきます。最後の大蛇を退治した瞬間に、「わぁっ」という大きな歓声が客席から上がりました。「ここぞ!」の見せ場ではなく、本当に応援しながら見ているからこその素直な反応は、舞手の方にしっかり伝わったことと思います。
そしてみなさんお待ちかね?川北神楽団「安達ヶ原」がついに始まりました。主役はやはり、「笑いの魔術師」こと団長扮する剛力さんです。ここ最近はずっと「安達ヶ原」の上演が続いているそうで、「はぁネタがない」と言いながらもお客さんを爆笑の渦に巻き込む芸は、さすが「笑いの魔術師」といったところ。今回はファン待望の?バスに乗ったお婆さんの話の続編が語られました。伝統を受け継ぎ、そして発展させていくのは、なにも舞だけに限ったことではないんですね!(笑) 本当にたくさん笑わせていただきました。その剛力さんに負けじと、九尾の狐も大中小の3匹が登場し、舞台だけでなく客席にも進出して大暴れ。広いホールでは、前の席以外ではなかなか舞手さんを近くで見ることができないと思いますが、こうやって手を伸ばせば触れるほどのところまで来てもらえるのは、ファンのみなさんにとってはかなり嬉しいですよね。
以上、前半のご紹介でした。この後は「その2」で第三部を、そして「その3」で番外編をお送りする予定です。そして今年も挑戦、パンフレット購入でチャレンジできる、ガラガラの抽選。これまで毎年高級醤油でしたが、今年はついに…!?「その3」でご報告したいと思います!!
第一部「原点を見つめる」
石見神楽亀山社中「岩戸」からステージが幕を開けました。「まずは岩戸のその始め…」という歌もありますが、神楽の始まりが語られる「岩戸」は、第一部に相応しい演目ですね。舞、楽のそれぞれの面白さ、そしてその一体感。さらに舞台演出にも注目。最初に天照大神が岩戸を閉じてしまいますが、その場面。幕が閉じるとすべての照明が落とされ、会場は真っ暗に。いつも奏楽を照らすほのかな明かりすらも消えてしまい、まさに会場は常闇の世界。その後、青く薄暗い照明で舞台が照らされました。一瞬、完全に暗闇を体験されたことによって、必死で目を凝らしたり、あるいは耳を傾けて音に集中したりという行動をされたお客さんもいらしたと思いますが、そんな表現が神楽の中でも見ることができます。登場する神様が、よく音が響き渡る鈴を持っていたり、身体が触れて初めてお互いの存在に気づいたり。そういった小さなことにも神楽の面白さが隠れていると思います。
第二部「伝統を受け継ぐ」
三谷神楽団「鍾馗」。神楽には鬼が出る演目がたくさんありますが、その中でも最も古いものの一つとされるこの「鍾馗」。これも第二部に相応しい演目だと思います。鍾馗大神、大疫神、そして立ち合いの舞の中で、他ではないような特徴的な舞が見られるのも興味深い点ですね。その舞の意味は、見る人がすべて理解できるものではないですが、それでもつい引き込まれて見てしまうところに、神楽の魅力、特に古典曲目ならではの魅力があると言えるでしょう。登場人物を見てみると、鍾馗大神は実に迫力のある舞。対する大疫神は怖さを感じさせ、目に見えない病の恐ろしさを表します。言葉の言い方も対照的で、「我こそは鍾馗なり!」と雷が轟くかのような凄みのある鍾馗。そして大疫神は薄気味悪いような感じのしゃべり方。これには思わず会場もどよめいていました。
後野神楽社中「八岐大蛇」は2009年にも上演されましたが、その時に印象的だったのが最初の姫を呑み取る場面でした。暗いステージで姫がポツンといるところに、何やら赤い点が浮かび上がって…それが大蛇の目だと気づいた時の衝撃を今でもよく覚えています。今回はその前回と少し違った演出でしたが、やはり背後から姫に忍び寄ってくる大蛇の恐怖をしっかり表現されていたと思います。もちろん8頭の大蛇が登場、序盤から出し惜しみすることなく、迫力の場面となりました。後半の須佐之男命との立ち合いでもそうですが、大蛇が襲い掛かる様子は、まるで大きな波が小さな舟を一気に飲み込んでしまうような感じ。もちろん須佐之男命はやられるわけにはいきません。剣を振り回し、一頭、また一頭と大蛇の頭を切り落としていきます。最後の大蛇を退治した瞬間に、「わぁっ」という大きな歓声が客席から上がりました。「ここぞ!」の見せ場ではなく、本当に応援しながら見ているからこその素直な反応は、舞手の方にしっかり伝わったことと思います。
そしてみなさんお待ちかね?川北神楽団「安達ヶ原」がついに始まりました。主役はやはり、「笑いの魔術師」こと団長扮する剛力さんです。ここ最近はずっと「安達ヶ原」の上演が続いているそうで、「はぁネタがない」と言いながらもお客さんを爆笑の渦に巻き込む芸は、さすが「笑いの魔術師」といったところ。今回はファン待望の?バスに乗ったお婆さんの話の続編が語られました。伝統を受け継ぎ、そして発展させていくのは、なにも舞だけに限ったことではないんですね!(笑) 本当にたくさん笑わせていただきました。その剛力さんに負けじと、九尾の狐も大中小の3匹が登場し、舞台だけでなく客席にも進出して大暴れ。広いホールでは、前の席以外ではなかなか舞手さんを近くで見ることができないと思いますが、こうやって手を伸ばせば触れるほどのところまで来てもらえるのは、ファンのみなさんにとってはかなり嬉しいですよね。
以上、前半のご紹介でした。この後は「その2」で第三部を、そして「その3」で番外編をお送りする予定です。そして今年も挑戦、パンフレット購入でチャレンジできる、ガラガラの抽選。これまで毎年高級醤油でしたが、今年はついに…!?「その3」でご報告したいと思います!!
2011,03,01 Tue 23:59
新着コメント
2月13日は千代田開発センターで「月一の舞」が行われました。今回のテーマは「仁・義・礼 神楽の物語」。親子、兄弟、君臣など、いろいろな関係における絆や愛といった、人の心に強く訴える物語が、神楽の中で語られます。そんな熱い4演目のご紹介です。
まずは原田神楽団「桜井の駅」。後醍醐(ごだいご)天皇に味方した楠木正成(くすのきまさしげ)は、足利軍と戦うために弟の正季(まさすえ)とともに出陣します。最初の神の舞はとても落ち着いた舞で、まさにこれから死地に赴く(おもむく)という印象を受けました。奏楽も静かに響き渡るような感じで、二人の秘めた覚悟を表しているように思いました。そんな序盤の雰囲気が、中盤に設けられた親子別れの場面をより一層感動的にしているのでしょう。死んでも親について行きたいという、息子正行(まさつら)の必死の思い、その気持ちを十分に理解しながらも追い返す正成。上演前の団員の方のお話でも、「合戦を短くしてでも別れの場面を」ということでしたので、きっと見ているみなさんにもその情熱が伝わったことと思います。
続いて梶矢神楽団「勿来(なこそ)の関」。この神楽のぶろぐに初登場の演目ですが、今回初めてご覧になった方も多くおられたことと思います。源義家(みなもとのよしいえ)が安倍貞任(あべのさだとう)とその弟、宗任(むねとう)を討つという物語で、歴史では前九年の役にあたります。しかし神楽では、義家が安倍氏討伐に向かう途中で、安達ヶ原の鬼女お岩を退治するというエピソードが追加されています。さらに安達ヶ原の案内をするチャリ役まで登場し、バラエティ豊かな内容で楽しませてくださいました。中でも鬼女お岩はあっと驚く手法で変化し、きっと多くの方がその恐ろしい顔に釘付けになられたことでしょう!初めてご覧になった方には強烈なインパクトだったと思います…。そしてお岩を退治した後は安倍氏と合戦、これにも勝利するのですが、注目は最後の最後。兄の貞任は討ち取られますが弟の宗任は降伏します。義家は文武両道に長けた宗任を討つのは惜しいとして、源家に仕えるように言い渡します。命を救ってもらった礼として忠義を尽くすというドラマが最後に待っていました。
前九年の役に続いて起こったのが後三年の役、これを舞台にしたのが宮乃木神楽団「新羅三郎(しんらさぶろう)」です。前九年の役では出羽(でわ)国の豪族、清原氏の加勢を得て安倍氏を討伐した義家でしたが、今度はその清原一族の内乱を治める戦いへ参戦。しかし清原家衡(いえひら)と武衡(たけひら)の軍勢の前に苦戦を強いられます。それを聞いた義家の弟、新羅三郎源義光(よしみつ)は京を離れ奥州へと向かいます。その途中、義光を慕う豊原時秋(とよはらのときあき)が参戦を願い出ますが、義光はこれを諭(さと)します。「桜井の駅」と同じように、行く者と帰る者の別れの場面が、二人の絆を結ぶ笙(しょう)の秘曲と共に演じられました。そして別れの後は出会い。兄義家と弟義光の再会で、物語はいよいよクライマックスへ。弟の参戦で「百万の軍勢を得た」と勢いづく義家らと家衡・武衡の激しい合戦。「いかに叔父上!」と残して討たれた家衡の最期を目の当たりにした武衡。その怒り狂う様子にも思わず胸が熱くなりました。
そして最後は浜田市の後野神楽社中「鏡山」。地元に残る「烈女お初」の物語を神楽化したものです。侮辱を受けて自害した主の仇を討つという、日本人にお馴染みの「忠臣蔵」に通じる物語がこの神楽の元になっています。尾上(おのえ)に仕えるお初(おはつ)、そして尾上を自害に追いやった岩藤(いわふじ)と諏訪(すわ)、登場人物はすべて女性。しかしそれぞれの舞は実に個性的で、見ていて非常に興味深いと思います。そして岩藤が魅せる面の早変わりもこの演目の見どころ。どれも印象的な面で、特に物語が進むにつれて段々と恐ろしい面になってくるところにこだわりを感じました。そしてその悪役の存在感が、主役のお初をさらに引き立たせ、その舞はより凛々しく力強く見えましたね。主の仇を討ち、そして舞い終えてピシっと一点を見つめる姿は、今回のテーマを改めて考えさせてくださいました。
そして上演後は恒例の撮影会で、今回は後野神楽社中さんが登場。神楽の中では激しく戦ったお初と岩藤の怨霊が仲良く?協力してくださいました。これは貴重な写真が撮れたのではないでしょうか。先月ほどではありませんでしたが、大雪に見舞われた今回の月一。さらに開発センターの空調も故障して、会場内は外と変わらぬくらいの寒さに。しかしそんな中、最後まで応援してくださったファンのみなさんが、大勢おられたことはとても嬉しかったですね。同じく寒い中、しっかりと舞い切った神楽団の熱演に、途中で帰ることなく最後まで拍手を送られていた光景に、ここにも今回のテーマ「仁・義・礼」を見た気がしました。さて来月の月一は年度を締めくくる開催となります。たくさんの方のご来場をお待ちしております。
まずは原田神楽団「桜井の駅」。後醍醐(ごだいご)天皇に味方した楠木正成(くすのきまさしげ)は、足利軍と戦うために弟の正季(まさすえ)とともに出陣します。最初の神の舞はとても落ち着いた舞で、まさにこれから死地に赴く(おもむく)という印象を受けました。奏楽も静かに響き渡るような感じで、二人の秘めた覚悟を表しているように思いました。そんな序盤の雰囲気が、中盤に設けられた親子別れの場面をより一層感動的にしているのでしょう。死んでも親について行きたいという、息子正行(まさつら)の必死の思い、その気持ちを十分に理解しながらも追い返す正成。上演前の団員の方のお話でも、「合戦を短くしてでも別れの場面を」ということでしたので、きっと見ているみなさんにもその情熱が伝わったことと思います。
続いて梶矢神楽団「勿来(なこそ)の関」。この神楽のぶろぐに初登場の演目ですが、今回初めてご覧になった方も多くおられたことと思います。源義家(みなもとのよしいえ)が安倍貞任(あべのさだとう)とその弟、宗任(むねとう)を討つという物語で、歴史では前九年の役にあたります。しかし神楽では、義家が安倍氏討伐に向かう途中で、安達ヶ原の鬼女お岩を退治するというエピソードが追加されています。さらに安達ヶ原の案内をするチャリ役まで登場し、バラエティ豊かな内容で楽しませてくださいました。中でも鬼女お岩はあっと驚く手法で変化し、きっと多くの方がその恐ろしい顔に釘付けになられたことでしょう!初めてご覧になった方には強烈なインパクトだったと思います…。そしてお岩を退治した後は安倍氏と合戦、これにも勝利するのですが、注目は最後の最後。兄の貞任は討ち取られますが弟の宗任は降伏します。義家は文武両道に長けた宗任を討つのは惜しいとして、源家に仕えるように言い渡します。命を救ってもらった礼として忠義を尽くすというドラマが最後に待っていました。
前九年の役に続いて起こったのが後三年の役、これを舞台にしたのが宮乃木神楽団「新羅三郎(しんらさぶろう)」です。前九年の役では出羽(でわ)国の豪族、清原氏の加勢を得て安倍氏を討伐した義家でしたが、今度はその清原一族の内乱を治める戦いへ参戦。しかし清原家衡(いえひら)と武衡(たけひら)の軍勢の前に苦戦を強いられます。それを聞いた義家の弟、新羅三郎源義光(よしみつ)は京を離れ奥州へと向かいます。その途中、義光を慕う豊原時秋(とよはらのときあき)が参戦を願い出ますが、義光はこれを諭(さと)します。「桜井の駅」と同じように、行く者と帰る者の別れの場面が、二人の絆を結ぶ笙(しょう)の秘曲と共に演じられました。そして別れの後は出会い。兄義家と弟義光の再会で、物語はいよいよクライマックスへ。弟の参戦で「百万の軍勢を得た」と勢いづく義家らと家衡・武衡の激しい合戦。「いかに叔父上!」と残して討たれた家衡の最期を目の当たりにした武衡。その怒り狂う様子にも思わず胸が熱くなりました。
そして最後は浜田市の後野神楽社中「鏡山」。地元に残る「烈女お初」の物語を神楽化したものです。侮辱を受けて自害した主の仇を討つという、日本人にお馴染みの「忠臣蔵」に通じる物語がこの神楽の元になっています。尾上(おのえ)に仕えるお初(おはつ)、そして尾上を自害に追いやった岩藤(いわふじ)と諏訪(すわ)、登場人物はすべて女性。しかしそれぞれの舞は実に個性的で、見ていて非常に興味深いと思います。そして岩藤が魅せる面の早変わりもこの演目の見どころ。どれも印象的な面で、特に物語が進むにつれて段々と恐ろしい面になってくるところにこだわりを感じました。そしてその悪役の存在感が、主役のお初をさらに引き立たせ、その舞はより凛々しく力強く見えましたね。主の仇を討ち、そして舞い終えてピシっと一点を見つめる姿は、今回のテーマを改めて考えさせてくださいました。
そして上演後は恒例の撮影会で、今回は後野神楽社中さんが登場。神楽の中では激しく戦ったお初と岩藤の怨霊が仲良く?協力してくださいました。これは貴重な写真が撮れたのではないでしょうか。先月ほどではありませんでしたが、大雪に見舞われた今回の月一。さらに開発センターの空調も故障して、会場内は外と変わらぬくらいの寒さに。しかしそんな中、最後まで応援してくださったファンのみなさんが、大勢おられたことはとても嬉しかったですね。同じく寒い中、しっかりと舞い切った神楽団の熱演に、途中で帰ることなく最後まで拍手を送られていた光景に、ここにも今回のテーマ「仁・義・礼」を見た気がしました。さて来月の月一は年度を締めくくる開催となります。たくさんの方のご来場をお待ちしております。
2011,02,15 Tue 00:24
新着コメント