今月の月一は「長月の舞」。9月に入り、文字通り月が出ているのが長くなってきて、秋をだんだんと感じるようになってきましたね。奉納神楽もあちこちで行われるようになってきて、ファンのみなさんも毎週楽しみになさっていることと思います。では長月の舞をご紹介していきましょう!
はじめは上府子ども神楽団「塵輪」。神のお二人は小学生で、しかも兄弟なんだそうです。弟さんが供を舞われましたが、子供用の陣羽織が大きく見えますよね。上演前に舞台裏で拝見したとき、てっきり大人の衣装と思ってしまいました(笑)。しかし、舞は本当によく舞われ、御幣や弓矢を祓う所作もなかなか決まっていましたよ!鬼を舞われたお二人は高校生。立ち合いのときには神との身長差が大きいので、より迫力があるように見えました。やはり鬼は神より大きいほうがしっくりきますね!
次は西宗神楽団「桃太郎伝説」。以前から舞われていた創作神楽「吉備津彦」に、さらに改良を加えられ、「より親しんでもらえるように」と演目名を変更されたんだそうです。鬼の目から火が噴き出したり、立ち合いのときも火花の演出があったりと、初心者ファンの方にも楽しんでいただけたと思います。個人的には、最初に天皇から弓矢を授かる場面が印象に残りました。普通なら口上で済むような場面ですが、いろいろな小道具などで再現されており、非常に興味深いと思います。
そして堀神楽団「胴の口明け」。これは太鼓を叩くのがメインという、イベントや大会などではあまり見かけない演目で、まだご覧になったことのない方もいらっしゃるかもしれません。自分自身まだ6、7団体くらいしか見たことがないのですが、今までにない珍しいところがありました。それは大太鼓を叩く方が、最初からスタンバイしてなかったことです。まず一人だけ太鼓につかれ、楽が始まると幣を持った方が現れて舞を舞われ、それから他の方がばちを持って出てくるというパターンで、これまた非常に興味深く拝見しました。しかし、神楽歌がよく聞こえなかったのが残念でしたね。一人でいいのでマイクを付けられているとよかったと思いました。
最後は上府社中「日本武尊」。たっぷりと笑わせてもらいました!日本武尊(やまとたけるのみこと)率いる大軍を、策略によって滅ぼそうとする兄ぎし(えぎし)弟ぎし(おとぎし)の兄弟。親分の賊首(ひとこのかみ)から刀を授かるのですが、「本当に切れるか試してみよう」と、なんと客席から男の子を拉致!思わぬ展開にみなさん大爆笑!本当に息の合ったコンビで、他にもいろいろと笑わせていただきました。あとはこの演目の最大の見所、火花をふんだんに使った立ち合いが迫力あってよかったですね。衣装に火花が散って燃えかかるというようなハプニングもありましたが、それにも負けない素晴らしい舞を見せていただきました。
上演後は恒例の撮影会で、上府社中のみなさんにご協力していただきました。今回は他にも、面作り同好会のみなさんによる神楽面や、実際に投げることができるクモなど、来られた方にいろいろとプレゼントがありました。おそらく、来月も何かあると思いますので、どうぞみなさん月一にお越しください!
また、このイベントの後に、北広島町のショッピングセンターサンクス内にあるギャラリー「森(しん)」に行ってきました。ここでは現在、神楽に伝わる「色と形」展が開催されています。切り絵や御幣、弓矢、茅の輪、天蓋など、いろいろなものが展示されています。また、200円で御幣を作るという体験もあり、さっそく作ってみました!5分くらいで、けっこう簡単に作れますよ!ぜひみなさんも行ってみてください。24日(月・祝)まで開催されています。
神楽に伝わる「色と形」展
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はじめは上府子ども神楽団「塵輪」。神のお二人は小学生で、しかも兄弟なんだそうです。弟さんが供を舞われましたが、子供用の陣羽織が大きく見えますよね。上演前に舞台裏で拝見したとき、てっきり大人の衣装と思ってしまいました(笑)。しかし、舞は本当によく舞われ、御幣や弓矢を祓う所作もなかなか決まっていましたよ!鬼を舞われたお二人は高校生。立ち合いのときには神との身長差が大きいので、より迫力があるように見えました。やはり鬼は神より大きいほうがしっくりきますね!
次は西宗神楽団「桃太郎伝説」。以前から舞われていた創作神楽「吉備津彦」に、さらに改良を加えられ、「より親しんでもらえるように」と演目名を変更されたんだそうです。鬼の目から火が噴き出したり、立ち合いのときも火花の演出があったりと、初心者ファンの方にも楽しんでいただけたと思います。個人的には、最初に天皇から弓矢を授かる場面が印象に残りました。普通なら口上で済むような場面ですが、いろいろな小道具などで再現されており、非常に興味深いと思います。
そして堀神楽団「胴の口明け」。これは太鼓を叩くのがメインという、イベントや大会などではあまり見かけない演目で、まだご覧になったことのない方もいらっしゃるかもしれません。自分自身まだ6、7団体くらいしか見たことがないのですが、今までにない珍しいところがありました。それは大太鼓を叩く方が、最初からスタンバイしてなかったことです。まず一人だけ太鼓につかれ、楽が始まると幣を持った方が現れて舞を舞われ、それから他の方がばちを持って出てくるというパターンで、これまた非常に興味深く拝見しました。しかし、神楽歌がよく聞こえなかったのが残念でしたね。一人でいいのでマイクを付けられているとよかったと思いました。
最後は上府社中「日本武尊」。たっぷりと笑わせてもらいました!日本武尊(やまとたけるのみこと)率いる大軍を、策略によって滅ぼそうとする兄ぎし(えぎし)弟ぎし(おとぎし)の兄弟。親分の賊首(ひとこのかみ)から刀を授かるのですが、「本当に切れるか試してみよう」と、なんと客席から男の子を拉致!思わぬ展開にみなさん大爆笑!本当に息の合ったコンビで、他にもいろいろと笑わせていただきました。あとはこの演目の最大の見所、火花をふんだんに使った立ち合いが迫力あってよかったですね。衣装に火花が散って燃えかかるというようなハプニングもありましたが、それにも負けない素晴らしい舞を見せていただきました。
上演後は恒例の撮影会で、上府社中のみなさんにご協力していただきました。今回は他にも、面作り同好会のみなさんによる神楽面や、実際に投げることができるクモなど、来られた方にいろいろとプレゼントがありました。おそらく、来月も何かあると思いますので、どうぞみなさん月一にお越しください!
また、このイベントの後に、北広島町のショッピングセンターサンクス内にあるギャラリー「森(しん)」に行ってきました。ここでは現在、神楽に伝わる「色と形」展が開催されています。切り絵や御幣、弓矢、茅の輪、天蓋など、いろいろなものが展示されています。また、200円で御幣を作るという体験もあり、さっそく作ってみました!5分くらいで、けっこう簡単に作れますよ!ぜひみなさんも行ってみてください。24日(月・祝)まで開催されています。
神楽に伝わる「色と形」展
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2007,09,17 Mon 20:51
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今週の日曜日は千代田開発センターで「月一の舞・長月の舞」が行われます。今回も他ではあまり見られない演目を見ることができます!堀神楽団の「胴の口開け」。「胴」とは太鼓のことで、舞手がいない、太鼓を打ち鳴らす神楽です。神楽の楽の基本が詰まっており、どことなく懐かしい感じもすると思います。じっくり見て、聴いてください!上府社中「日本武尊」はいろいろな意味で面白い神楽だと思います。以前からこちらでもお伝えしているように、広島と島根の「日本武尊」ではけっこう違いがあります。広島のものしかご覧になったことのない方に、是非おすすめします。西宗神楽団「桃太郎伝説」は、みなさん御存知の「もも太郎」の伝説を神楽化したものです。「もも太郎」のお話をもう一度頭に入れてからご覧になると、何か発見があるかもしれませんよ!
月一の舞の詳細
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2007,09,13 Thu 18:44
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13団体の競演と特別出演1団体、まさに記念すべき大イベントとなった「第60回西中国選抜神楽競演大会」が、9月8日に安芸太田町の加計体育館で行われました。まだまだ残暑の厳しい時期で、ご覧になるファンの方も大変だったことと思います。儀式舞が始まったのがお昼の12時半で、すべての上演が終了したのが夜11時半すぎ。しかし、ほぼ予定通りの時間進行で、途中の休憩もちゃんとあり、スタッフのみなさんの働きぶりのよさがうかがえました。また記念大会ということで、上演前に祭典があったのも、個人的にはすごくよかったと思います。では競演の部を見ていきましょう!
まずあさひが丘神楽団「源頼政ぬえ退治」。鬼でも狐でもない、「ぬえ」という怪物を表現しながら舞うということは、舞った方にしかわからない難しさがあるように思います。出幕などは特に「塵輪」と似てきてしまうので、ぬえらしい舞はどうすればいいか、あれこれ考えられていることでしょう。それと神のお二人のキビキビした舞が印象的でした。
上河内神楽団「紅葉狩」。鬼女大王を舞われたのは、「神楽リレー」4人目のランナー石川啓介さんでしたが、みなさんご注目していただけたでしょうか。平維茂たちが酔いつぶれて食いかかろうとする場面、「骨をば噛みくだぁ~かん~!」の口上は本当に力強く、会場の空気をガラッと変えてしまうほどインパクトがありました。
津浪神楽団「塵倫」。旧舞の部で準優勝されました。やはりこの演目の最大の見せ場と言えば、鬼が出てくる出幕の場面でしょうね!ゆっくりと、恐ろしさを表現しながら、あるいは辺りの様子をうかがうようにしながらの登場は、舞手さんの芸の見せ所であり、個人の見せ方の工夫が見られるところではないでしょうか。これで完成!というのはないと思いますので、何回もじっくり見たいところですね!
東山神楽団「滝夜叉姫」。今週の見どころでもポイントにあげた、面を変えるタイミング。東山さんもいろいろな工夫でファンの方を楽しませてくれますが、今回も見事でしたね!特にこの演目は、クライマックスにまた面を外すという見せ場もありますから、最後まで目が離せません。また迫力ある大太鼓をはじめ、奏楽の方の盛り上げ方も素晴らしかったです。
細谷社中「岩戸」。この演目は、神楽団にとって儀式舞と同じくらい大切な演目ではないかと思うのですが、なかなか競演では上演が少ないように思います。確かにこれと言った見せ場もなく、口上も難しいし、立ち合いもない、と地味な演目ですが、この演目で優勝されるということは非常に価値のあることかもしれません。今回は残念ながら入賞はありませんでしたが、51回大会で見事優勝されています。
大塚神楽団「戻り橋」。この演目もなかなか競演では珍しいかと思います。傘売り善兵衛さんも、アドリブのセリフなく、台本通りでしたので、少し物足りないと思われた方もおられるかもしれませんね。しかし大太鼓の方が個人賞を取られたように、とても完成度の高い上演だったように思います。酒呑童子が現れる場面はドライアイスの効果もあって、いかにも主役登場!という雰囲気がとてもよかったですね。
旧舞の部で見事優勝された三谷神楽団「大江山」。酒呑童子を舞われた方、そして大太鼓の方が個人賞と、まさに総なめ状態。それほど素晴らしい上演だったことは間違いないでしょう。一体どこまで速くなるんだろうと思うほどの立ち合いのテンポ。奏楽も舞手も一緒になった感じで、まさに大熱演でしたね。6月の戸河内での大会では惜しくも準優勝だっただけに、ファンの方も今回の優勝がより一層喜ばしい結果となったことでしょう。
広森神楽団「土蜘蛛」。この演目の主役は何と言っても土蜘蛛の精魂を舞われた方だと思いますが、その演技、存在感は圧倒的と言えるほど。指先の角度や、その視線など、独特の怪しさに、すっかりファンになられた方も多いでしょうね。頼光を取り食らおうとする前、「我が思い届く今宵のさや風に雲の流れに月も隠るる」という歌を歌われるのですが、これがまさに見せ場。だんだんと正体を現す土蜘蛛の姿が見えるようでした。
苅屋形神楽団「塵輪」。先に上演された津浪神楽団さんとの違いに注目していただけたでしょうか。まずは衣装がずいぶん違っていたと思います。神は帯中津彦命(たらしなかつひこのみこと)と高丸ですが、位の高いほうが水干(すいかん)、家来の方が鎧という衣装でしたね。また鬼も重たい四天(よてん)を着たまま、激しい立ち合いをされます。これは相当しんどいでしょうね…。
新舞の部で見事優勝された横田神楽団「吾妻山」。こちらも、旧舞の部で優勝された三谷さんのように、どこまで速くなるのかと思わせる立ち合いが素晴らしいですね!あれだけ速く回っているのに、少しも舞手さんの動きがブレず、きちんとそろっているのは本当にお見事の一言。ムダな動きが一切ない、まさに洗練された舞ではなかったでしょうか。ファンの方の声援も一段と大きかったように思います。
川北神楽団「鍾馗」。先ほどの苅屋形さんの「塵輪」のように、神も鬼も最後まで重たい衣装を着たまま舞われるので、本当にしんどい演目だと思います。神は立ち合いが終わってもまだ喜びの舞がありますし、鍾馗の鬼は低い姿勢で舞うことが多いので、これもまた相当な体力が必要です。今年、川北さんはこの「鍾馗」を中心にして上演されていますが、この演目での優勝はまだありません。ファンの方も次回こそは!と応援に力が入ることでしょう。
原田神楽団「大江山」は、新舞の部で準優勝と、紅葉姫を舞われた方が個人賞を受賞されました。この役で個人賞というのは、ちょっと過去に聞いた記憶がないですね。特に「大江山」でメインとなるのはやはり鬼たちですから、紅葉姫は脇役になってしまうかもしれません。口上、それから布をさらす場面の舞はもちろん、個人的には童子たちに酒を注ぐ場面がよかったと思います。あの場面で一番あちこち動くのは紅葉姫ですが、あくまで童子たちが目立つように立ち回り、見る人に自分の印象を残さないようにされていたのはさすがです。なかなかこういう芸は見れるものではありませんね!
上府社中「大蛇」。ちょうど1年前のこの大会で初めて拝見し、その大蛇の舞と優勝という結果に衝撃を受けたのをよく覚えています。何回見ても大蛇のなめらかな動きは素晴らしいですね。本当に生きているかのような、作り物と思わせない芸。これまたなかなか見ることはできません。派手さはないかもしれませんが、息のそろった「大蛇」は本当に必見ですよ!まだご覧になったことのない方は是非!
最後は特別出演の琴庄神楽団「奥州平泉」。夜遅くなり、さすがにお客さんの数も減ってしまいましたが、最後までしっかりご覧になったファンの方には自分からも感謝したいですね。この演目は琴庄さんの創作ということもあり、団員の方の思い入れも相当なものがあると思います。それだけに、安宅関(あたかのせき)や、その直後の義経と弁慶のやり取りなど、見ていて胸が熱くなる場面ばかり。お客さんの大きな声援と拍手はしっかりと団員さんに届いたことでしょう。
というように、長時間に渡る大イベントが無事終了しました。最後に少し気になったことを記したいと思います。幕間で、「お客様にお願いします。神楽上演中はお静かにご鑑賞されるようにお願い申し上げます。」という内容のアナウンスが流れたことなんですが、パッと聞いて、みなさんはどう思われるでしょうか。ファンの方からすれば、好きな神楽団への応援はしたいでしょうし、神楽団の方も、お客さんの反応が全く無いのは寂しいことだと思います。ただそれでもあえてこのアナウンスということは、もしかしたら一部の方のマナーの悪さで、迷惑された方がいらっしゃったのかもしれません。もちろん真意はわかりませんが、もしそうだとしてもこのアナウンスでは違和感を感じざるをえません。上演された神楽と直接関係はないかもしれませんが、ちょっとみなさんに考えていただきたく、あえて書かせていただきました。ファンのみなさん、くれぐれも他の方の迷惑にならないよう、お気をつけください。
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まずあさひが丘神楽団「源頼政ぬえ退治」。鬼でも狐でもない、「ぬえ」という怪物を表現しながら舞うということは、舞った方にしかわからない難しさがあるように思います。出幕などは特に「塵輪」と似てきてしまうので、ぬえらしい舞はどうすればいいか、あれこれ考えられていることでしょう。それと神のお二人のキビキビした舞が印象的でした。
上河内神楽団「紅葉狩」。鬼女大王を舞われたのは、「神楽リレー」4人目のランナー石川啓介さんでしたが、みなさんご注目していただけたでしょうか。平維茂たちが酔いつぶれて食いかかろうとする場面、「骨をば噛みくだぁ~かん~!」の口上は本当に力強く、会場の空気をガラッと変えてしまうほどインパクトがありました。
津浪神楽団「塵倫」。旧舞の部で準優勝されました。やはりこの演目の最大の見せ場と言えば、鬼が出てくる出幕の場面でしょうね!ゆっくりと、恐ろしさを表現しながら、あるいは辺りの様子をうかがうようにしながらの登場は、舞手さんの芸の見せ所であり、個人の見せ方の工夫が見られるところではないでしょうか。これで完成!というのはないと思いますので、何回もじっくり見たいところですね!
東山神楽団「滝夜叉姫」。今週の見どころでもポイントにあげた、面を変えるタイミング。東山さんもいろいろな工夫でファンの方を楽しませてくれますが、今回も見事でしたね!特にこの演目は、クライマックスにまた面を外すという見せ場もありますから、最後まで目が離せません。また迫力ある大太鼓をはじめ、奏楽の方の盛り上げ方も素晴らしかったです。
細谷社中「岩戸」。この演目は、神楽団にとって儀式舞と同じくらい大切な演目ではないかと思うのですが、なかなか競演では上演が少ないように思います。確かにこれと言った見せ場もなく、口上も難しいし、立ち合いもない、と地味な演目ですが、この演目で優勝されるということは非常に価値のあることかもしれません。今回は残念ながら入賞はありませんでしたが、51回大会で見事優勝されています。
大塚神楽団「戻り橋」。この演目もなかなか競演では珍しいかと思います。傘売り善兵衛さんも、アドリブのセリフなく、台本通りでしたので、少し物足りないと思われた方もおられるかもしれませんね。しかし大太鼓の方が個人賞を取られたように、とても完成度の高い上演だったように思います。酒呑童子が現れる場面はドライアイスの効果もあって、いかにも主役登場!という雰囲気がとてもよかったですね。
旧舞の部で見事優勝された三谷神楽団「大江山」。酒呑童子を舞われた方、そして大太鼓の方が個人賞と、まさに総なめ状態。それほど素晴らしい上演だったことは間違いないでしょう。一体どこまで速くなるんだろうと思うほどの立ち合いのテンポ。奏楽も舞手も一緒になった感じで、まさに大熱演でしたね。6月の戸河内での大会では惜しくも準優勝だっただけに、ファンの方も今回の優勝がより一層喜ばしい結果となったことでしょう。
広森神楽団「土蜘蛛」。この演目の主役は何と言っても土蜘蛛の精魂を舞われた方だと思いますが、その演技、存在感は圧倒的と言えるほど。指先の角度や、その視線など、独特の怪しさに、すっかりファンになられた方も多いでしょうね。頼光を取り食らおうとする前、「我が思い届く今宵のさや風に雲の流れに月も隠るる」という歌を歌われるのですが、これがまさに見せ場。だんだんと正体を現す土蜘蛛の姿が見えるようでした。
苅屋形神楽団「塵輪」。先に上演された津浪神楽団さんとの違いに注目していただけたでしょうか。まずは衣装がずいぶん違っていたと思います。神は帯中津彦命(たらしなかつひこのみこと)と高丸ですが、位の高いほうが水干(すいかん)、家来の方が鎧という衣装でしたね。また鬼も重たい四天(よてん)を着たまま、激しい立ち合いをされます。これは相当しんどいでしょうね…。
新舞の部で見事優勝された横田神楽団「吾妻山」。こちらも、旧舞の部で優勝された三谷さんのように、どこまで速くなるのかと思わせる立ち合いが素晴らしいですね!あれだけ速く回っているのに、少しも舞手さんの動きがブレず、きちんとそろっているのは本当にお見事の一言。ムダな動きが一切ない、まさに洗練された舞ではなかったでしょうか。ファンの方の声援も一段と大きかったように思います。
川北神楽団「鍾馗」。先ほどの苅屋形さんの「塵輪」のように、神も鬼も最後まで重たい衣装を着たまま舞われるので、本当にしんどい演目だと思います。神は立ち合いが終わってもまだ喜びの舞がありますし、鍾馗の鬼は低い姿勢で舞うことが多いので、これもまた相当な体力が必要です。今年、川北さんはこの「鍾馗」を中心にして上演されていますが、この演目での優勝はまだありません。ファンの方も次回こそは!と応援に力が入ることでしょう。
原田神楽団「大江山」は、新舞の部で準優勝と、紅葉姫を舞われた方が個人賞を受賞されました。この役で個人賞というのは、ちょっと過去に聞いた記憶がないですね。特に「大江山」でメインとなるのはやはり鬼たちですから、紅葉姫は脇役になってしまうかもしれません。口上、それから布をさらす場面の舞はもちろん、個人的には童子たちに酒を注ぐ場面がよかったと思います。あの場面で一番あちこち動くのは紅葉姫ですが、あくまで童子たちが目立つように立ち回り、見る人に自分の印象を残さないようにされていたのはさすがです。なかなかこういう芸は見れるものではありませんね!
上府社中「大蛇」。ちょうど1年前のこの大会で初めて拝見し、その大蛇の舞と優勝という結果に衝撃を受けたのをよく覚えています。何回見ても大蛇のなめらかな動きは素晴らしいですね。本当に生きているかのような、作り物と思わせない芸。これまたなかなか見ることはできません。派手さはないかもしれませんが、息のそろった「大蛇」は本当に必見ですよ!まだご覧になったことのない方は是非!
最後は特別出演の琴庄神楽団「奥州平泉」。夜遅くなり、さすがにお客さんの数も減ってしまいましたが、最後までしっかりご覧になったファンの方には自分からも感謝したいですね。この演目は琴庄さんの創作ということもあり、団員の方の思い入れも相当なものがあると思います。それだけに、安宅関(あたかのせき)や、その直後の義経と弁慶のやり取りなど、見ていて胸が熱くなる場面ばかり。お客さんの大きな声援と拍手はしっかりと団員さんに届いたことでしょう。
というように、長時間に渡る大イベントが無事終了しました。最後に少し気になったことを記したいと思います。幕間で、「お客様にお願いします。神楽上演中はお静かにご鑑賞されるようにお願い申し上げます。」という内容のアナウンスが流れたことなんですが、パッと聞いて、みなさんはどう思われるでしょうか。ファンの方からすれば、好きな神楽団への応援はしたいでしょうし、神楽団の方も、お客さんの反応が全く無いのは寂しいことだと思います。ただそれでもあえてこのアナウンスということは、もしかしたら一部の方のマナーの悪さで、迷惑された方がいらっしゃったのかもしれません。もちろん真意はわかりませんが、もしそうだとしてもこのアナウンスでは違和感を感じざるをえません。上演された神楽と直接関係はないかもしれませんが、ちょっとみなさんに考えていただきたく、あえて書かせていただきました。ファンのみなさん、くれぐれも他の方の迷惑にならないよう、お気をつけください。
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2007,09,09 Sun 22:48
新着コメント
とおりすがり・・・・さん、コメントありがとうございます。
そうだったんですか!
それはまた、素晴らしいことですね!!
自分は第一回のグランプリのころは大会やイベントに行ってませんでしたねぇ…^^;
貴重な情報、ありがとうございました☆
またコメントお願いします!
そうだったんですか!
それはまた、素晴らしいことですね!!
自分は第一回のグランプリのころは大会やイベントに行ってませんでしたねぇ…^^;
貴重な情報、ありがとうございました☆
またコメントお願いします!
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/09/11 18:51 | BFfnvy1Y |
私目の記憶が確かならば、同じ原田神楽団さんで、第1回のグランプリかなにかで、大江山の紅葉姫で個人賞があったかと・・・・・・
| とおりすがり・・・・ | EMAIL | URL | 07/09/11 12:34 | /EioC4jQ |
五月さん、コメントありがとうございます。
とっても暑い会場で、自分も含めみなさん大変だったと思います^^;
少しでも雰囲気伝わりましたかね☆
また今週も視察に行ってきます!
とっても暑い会場で、自分も含めみなさん大変だったと思います^^;
少しでも雰囲気伝わりましたかね☆
また今週も視察に行ってきます!
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/09/10 18:43 | BFfnvy1Y |
競演大会遅くまでお疲れ様でした。さぞかし暑かったのでは…
夜中掲示板で結果を知り、横田の優勝にテンション上がりました。
報告ありがとうございました。
夜中掲示板で結果を知り、横田の優勝にテンション上がりました。
報告ありがとうございました。
| 五月 | EMAIL | URL | 07/09/09 23:39 | MZc4TY.E |
今週の土曜日は、安芸太田町の加計体育館で「第60回 西中国選抜神楽競演大会」が行われます。51回大会以降の優勝団体総出演という、まさに記念すべき大会になりそうです!そしてこの大会は、数ある競演大会の中でももっとも歴史ある大会として知られています。まさに今回はすべてが見どころ、といったかんじですね。
たくさんある見どころの中で、少し自分なりのポイントを紹介してみたいと思います。まずは旧舞の部。津浪神楽団と苅屋形神楽団が「塵輪」を上演されます。同じ演目ですが、もちろん舞い方や囃子は違います。また、衣装や手物も微妙に違いがあると思いますので、そういった違いを見比べながら見ると、より面白さが感じられるはずです。新舞の部は、面の早変わりに注目。最近はどの団も工夫を凝らし、ありきたりのタイミングよりは、いつの間にか面が変わっている!というようなタイミングでやられていると思います。また、面をつける前後の演技の違いなどにも注目すると、これも神楽がより楽しめるはずです。新舞の部でも、原田神楽団「大江山」はおそらくこういう場面はないと思いますが…。こちらはやはり酒呑童子さんに注目でしょうね!
あとはやはり、競演大会ということで、優勝の行方も気になるところですね。この大会は、11月の神楽グランプリへの出場権もかかっていますから、まだ対象になっていないファンの方は、いつにも増して応援に力が入ることでしょう!また、会場は暑くなりますから、うちわなどをお忘れなく!
神楽日程表
大会場所
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たくさんある見どころの中で、少し自分なりのポイントを紹介してみたいと思います。まずは旧舞の部。津浪神楽団と苅屋形神楽団が「塵輪」を上演されます。同じ演目ですが、もちろん舞い方や囃子は違います。また、衣装や手物も微妙に違いがあると思いますので、そういった違いを見比べながら見ると、より面白さが感じられるはずです。新舞の部は、面の早変わりに注目。最近はどの団も工夫を凝らし、ありきたりのタイミングよりは、いつの間にか面が変わっている!というようなタイミングでやられていると思います。また、面をつける前後の演技の違いなどにも注目すると、これも神楽がより楽しめるはずです。新舞の部でも、原田神楽団「大江山」はおそらくこういう場面はないと思いますが…。こちらはやはり酒呑童子さんに注目でしょうね!
あとはやはり、競演大会ということで、優勝の行方も気になるところですね。この大会は、11月の神楽グランプリへの出場権もかかっていますから、まだ対象になっていないファンの方は、いつにも増して応援に力が入ることでしょう!また、会場は暑くなりますから、うちわなどをお忘れなく!
神楽日程表
大会場所
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2007,09,06 Thu 19:11
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昨年は午前3時半に終わった鳴滝の神楽大会ですが、今年は12時くらいだったおかげで、少しは寝る時間が取れました(笑)。翌日、2日は三次市文化会館で「第2回三次神楽共演大会」が行われました。「今週の見どころ」でもお伝えしたように、「神楽リレー」にご登場いただいた方々の出演がありました。
神楽リレー10人目のランナー、原田神楽団の上野将さんは、「日本武尊」で主役の日本小碓命(やまとおぐなのみこと)を堂々と演じられました。上演後、偶然にも会場で上野さんにお会いすることができたのですが、その時に「この役は若手の登竜門なんです」というお話を伺いました。確かに、基本的な神の舞がすべて詰まったような役で、なおかつ最初から最後までほとんどの場面で出番があるわけですから、若手育成にはピッタリかもしれませんね。途中、小碓命が女装する場面があるのですが、上野さんは「紅葉狩」で鬼女も舞われるため、妙に似合っていた気もしました(笑)。
記念すべき神楽リレー最初のランナーになっていただいたのは、中川戸神楽団の倉本拓哉さん。「瀧夜叉姫」で藤原秀郷を演じられました。今回のメンバーを見てみると、高校3年生の倉本さんをはじめ、ほとんどの方が10~20代という若手を中心とした構成だったように思います。またこの演目は面の早変わりが見どころの一つなんですが、面が変わるたびに客席からどよめきや歓声、拍手が上がっていました。中には「おぉ~すごいのぉ~」という声も近くから聞こえてきたほどで、さすが「スーパー神楽」の本家本元ですね!
そして「スーパー神楽」に負けない演出で盛り上げてくれたのが横谷神楽団「比熊山」。このブログ2回目の登場です。三次市に伝わる「稲生物怪(いのうもののけ)物語」を神楽化したもので、さまざまな妖怪たちに加え、照明の演出などで、今まで見たことのないような物語が展開されます。初めてご覧になった方は、照明が暗くなるたびに、「今度はどんな妖怪が出るんだろう?」とワクワクされたことでしょう!自分は半年ぶりに見たのですが、前回と少し変わっているところがあったり、さらに練習を積まれている成果が伝わってきましたね。
今回初めて拝見した穴笠神楽団「葛城山」なんですが、とても印象に残った場面がありました。左側の写真がそうなんですが、土蜘蛛の岩屋に向かう途中、四天王の二人が水干(すいかん:神が一番上に着る大きな衣装)を脱いで、きれいにたたむ、という場面があったんです。普通この場面ではすでに水干を脱いで出てくるのがほとんどだと思いますので、ちょっと驚きました。衣装や手物は、神楽団にとって非常に大切なものですから、脱ぎ捨てたり投げ捨てたりするよりは、こうやって丁寧に扱うのが本来の姿かもしれませんね。
最後は日吉神楽団「八岐の大蛇」。これまた左側の写真にご注目。見てください、この酒樽の大きさ!足名椎&手名椎さんがこれをかついで出てきた時は、客席から大きなどよめきと笑い声で一時騒然とするほどでした。まるでこの樽の中から大蛇が出てきそうな大きさですよね(笑)。そして登場した大蛇は八匹!大きな酒樽を隠してしまうほどのスケールで、舞台いっぱいに大暴れしてくれました。その大蛇をこれまた豪快に退治していく須佐之男尊の舞もよかったですね。
会場には本当にたくさんのお客さんで、第2回の今年も大盛況だったと思います。行くことができなかった方も、どうぞ来年は三次にお越しください!
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神楽リレー10人目のランナー、原田神楽団の上野将さんは、「日本武尊」で主役の日本小碓命(やまとおぐなのみこと)を堂々と演じられました。上演後、偶然にも会場で上野さんにお会いすることができたのですが、その時に「この役は若手の登竜門なんです」というお話を伺いました。確かに、基本的な神の舞がすべて詰まったような役で、なおかつ最初から最後までほとんどの場面で出番があるわけですから、若手育成にはピッタリかもしれませんね。途中、小碓命が女装する場面があるのですが、上野さんは「紅葉狩」で鬼女も舞われるため、妙に似合っていた気もしました(笑)。
記念すべき神楽リレー最初のランナーになっていただいたのは、中川戸神楽団の倉本拓哉さん。「瀧夜叉姫」で藤原秀郷を演じられました。今回のメンバーを見てみると、高校3年生の倉本さんをはじめ、ほとんどの方が10~20代という若手を中心とした構成だったように思います。またこの演目は面の早変わりが見どころの一つなんですが、面が変わるたびに客席からどよめきや歓声、拍手が上がっていました。中には「おぉ~すごいのぉ~」という声も近くから聞こえてきたほどで、さすが「スーパー神楽」の本家本元ですね!
そして「スーパー神楽」に負けない演出で盛り上げてくれたのが横谷神楽団「比熊山」。このブログ2回目の登場です。三次市に伝わる「稲生物怪(いのうもののけ)物語」を神楽化したもので、さまざまな妖怪たちに加え、照明の演出などで、今まで見たことのないような物語が展開されます。初めてご覧になった方は、照明が暗くなるたびに、「今度はどんな妖怪が出るんだろう?」とワクワクされたことでしょう!自分は半年ぶりに見たのですが、前回と少し変わっているところがあったり、さらに練習を積まれている成果が伝わってきましたね。
今回初めて拝見した穴笠神楽団「葛城山」なんですが、とても印象に残った場面がありました。左側の写真がそうなんですが、土蜘蛛の岩屋に向かう途中、四天王の二人が水干(すいかん:神が一番上に着る大きな衣装)を脱いで、きれいにたたむ、という場面があったんです。普通この場面ではすでに水干を脱いで出てくるのがほとんどだと思いますので、ちょっと驚きました。衣装や手物は、神楽団にとって非常に大切なものですから、脱ぎ捨てたり投げ捨てたりするよりは、こうやって丁寧に扱うのが本来の姿かもしれませんね。
最後は日吉神楽団「八岐の大蛇」。これまた左側の写真にご注目。見てください、この酒樽の大きさ!足名椎&手名椎さんがこれをかついで出てきた時は、客席から大きなどよめきと笑い声で一時騒然とするほどでした。まるでこの樽の中から大蛇が出てきそうな大きさですよね(笑)。そして登場した大蛇は八匹!大きな酒樽を隠してしまうほどのスケールで、舞台いっぱいに大暴れしてくれました。その大蛇をこれまた豪快に退治していく須佐之男尊の舞もよかったですね。
会場には本当にたくさんのお客さんで、第2回の今年も大盛況だったと思います。行くことができなかった方も、どうぞ来年は三次にお越しください!
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2007,09,04 Tue 21:08
新着コメント
ジェラードさん、コメントありがとうございます。
原田神楽団さんの日曜の上演は、舞、楽とも若手中心のメンバーでしたね。
手打ち鐘は団長さんではありませんでしたよ!
中川戸さんの光国役は、こちらも若手の方でした。
団長さんは裏方をされていたそうですよ^^;
五月さん、コメントありがとうございます。
やはり大蛇は迫力ありますね!
最後を飾るに相応しい演目だと思います。
なかなか生で見る機会がないようですが、機会があればぜひ!!
原田神楽団さんの日曜の上演は、舞、楽とも若手中心のメンバーでしたね。
手打ち鐘は団長さんではありませんでしたよ!
中川戸さんの光国役は、こちらも若手の方でした。
団長さんは裏方をされていたそうですよ^^;
五月さん、コメントありがとうございます。
やはり大蛇は迫力ありますね!
最後を飾るに相応しい演目だと思います。
なかなか生で見る機会がないようですが、機会があればぜひ!!
| 特派員 | EMAIL | URL | 07/09/05 19:08 | BFfnvy1Y |
三次〜近くだったのに残念!大蛇が八匹!圧倒されますよね。私も1月にみた八岐大蛇も八匹で感動しまくりました☆
連日お疲れ様です
連日お疲れ様です
| 五月 | EMAIL | URL | 07/09/05 19:03 | MZc4TY.E |
はぁ、これまた行きたかったですね~
最初は行くつもりでしたが・・・(-_-;)
原田さんは前日の君田近郷に出られて、最後でしたが、団長さんが鉦で勢いがすごかったです。
日曜も団長さん鉦やられました?
中川戸さんの光圀役の方は団長さんですか?
最初は行くつもりでしたが・・・(-_-;)
原田さんは前日の君田近郷に出られて、最後でしたが、団長さんが鉦で勢いがすごかったです。
日曜も団長さん鉦やられました?
中川戸さんの光圀役の方は団長さんですか?
| ジェラード | EMAIL | URL | 07/09/05 18:03 | CDQkBe9E |