先週の日曜日、千代田開発センターにおいて「月一の舞」が開催されました。今年で5年目を迎える月一ですが、今年最初のテーマは「温故知新・進化する神楽」です。古くから伝わる伝統ある神楽。その伝統を重んじつつもそこからまた新しい神楽と進化させた神楽団。今回はその代表として三団体が舞われました。それでは報告します。
中川戸神楽団「瀧夜叉姫」
天慶の乱で討たれた父・平将門の無念を晴らすべく、貴船明神から妖術を授かった五月姫。その妖術の力を見せ付けんとばかりに早々と恐ろしい鬼と変わり、序盤からドキリッとする演出で観客を引き付けていきます。また、その瀧夜叉姫の征伐の勅命を受けた大宅中将光圀は下総の国へと向かい、徐々に神楽が進むにつれ戦の時が近づいていきます。すると会場の雰囲気も次第に張り詰めた空気へと変わり、こちら側も次第に緊張が走ります。そしてついに瀧夜叉姫たちとの合戦となり、戦いはスピード感溢れる激しい戦いとなります。時折、入り組みあうような複雑な立ちまわりも見せていました。そしてついに決着が。瀧夜叉姫は邪心な心を陰陽の術で解かれもとの五月姫へと戻っていきます。ここは中川戸さんらしい演出でさらに会場を盛り上げてくださいましたね。光圀が幣を瀧夜叉姫の顔にかざすとみるみるうちに五月姫へと変わっていき、会場からはたくさんの拍手が沸き起こっていました。
有田神楽団「有田中井手の戦い」
この演目は有田さんにとって史上初となる創作神楽だそうで、まだ昨年の6月に発表されたばかりの演目だそうです。なので多くの方がまだ見られたことがない演目となるのではないでしょうか。この物語は戦国時代の頃、佐東銀山城(さとうかなやまじょう(現在広島市安佐南区))の主、武田元繁(たけだもとしげ)が今の旧千代田町有田にある有田城へ侵攻し、それを食い止める為、毛利元就は有田城救援へと向かい武田軍と激しく激突するといったお話です。また、この戦いは、後に西国の桶狭間とも呼ばれるようになったそうです。神楽では、その有田で起こった歴史を事細かく再現されておられ、団員の方達が一生懸命調べられ創りあげた演目となっていました。また、見どころとしては毛利軍と武田軍の一戦のところ。激しい立ちまわりと刀と刀がぶつかり合う迫力ある戦いは、とても見応えがありました。
亀山神楽社中「貴船」
この演目は恨み辛みなどが強くとても怖~いお話の演目ですが、その反面、寂しさも伝わってくる演目ですよね。恨み辛みで見ると女が夫への恨みで鬼と化してしまう場面はとてもインパクト大!ゆっくりと振り返るような動きで女が鬼と化す姿は恐ろしく、見ているこちらはブルブルッと身震いしてしまいます。また、鬼となった女が夫を探す場面では、舞台の照明が落とされ真っ暗となった舞台にろうそくの火だけが輝き、そこから照らしだされる鬼の顔は息が詰まってしまいそうなほど恐ろしさが際立っていました。そして寂しさがもっとも伝わるところでは、安倍清明により術を解かれ女と戻る場面。術が解かれ成仏する際、女が鬼と化し夫を恨む気持ちと妻として夫を愛おしむ本来の気持ちが舞いで表現されており、その姿はなんとも悲しく、寂しさが伝わってきました。そして最後、「真の鬼は人の心に住まいするなり」という言葉で締めくくられますが、この言葉は何度聞いても自分自身にも問いただされているようで深く考えさせられる言葉だと思います。
中川戸神楽団「板蓋宮」
大化改新をもとにしたオリジナル神楽で、スーパー神楽の原点とも言える演目ですね。また、この演目は数多くの仕掛けが仕込まれており、いきなり蜘蛛が会場に飛んできたり、ブラックライトで鬼の面が赤く光るなどビックリするような演出がなされています。また、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)たちと蘇我入鹿(そがのいるか)の郎女たちとの立ち合いの場面も印象的で全員の衣装がめくれた瞬間小さな紙吹雪が飛び出し、激しい立ち合いの中その紙吹雪が綺麗に舞い上がります。その光景はとても幻想的で一瞬にして心を奪われてしまうようでした。また、さらにここ一番で会場全体がどよめき、驚いた場面は、終盤の一度倒されたはずの入鹿が生首となって再び中大兄皇子たちに襲い掛かる場面でした。入鹿の首が宙を舞い中大兄皇子に襲い掛かるのですが、勢いがあまりにもすご過ぎて観客席まで飛んできそうで客席からは、悲鳴にも近い「キャー!!」という声が聞こえてきました。舞台近くで見られていた方ほど、さぞかし驚かれたことでしょうね。
そして、上演終了後は毎回お馴染みの?神楽団との記念撮影がありました。今回は最後に舞われました中川戸神楽団との記念撮影でした。上演後もたくさんの方が残られそれぞれ思い思いの写真を取られていました。
さて今回のテーマでもあった「温故知新・進化する神楽」。それぞれの進化していく神楽をじっくりと堪能することができ、とても満足できる催しとなったのではないでしょうか。また、上演の合間には、それぞれの団長さんが「温故知新・進化する神楽」に対する思いを熱く語ってくださる場面もありました。ここまでくる道のりもさぞかし楽ではなかったことでしょうね。神楽ファンとしてはこれからもずっと暖かく見守り、応援していきたいですね。
中川戸神楽団「瀧夜叉姫」
天慶の乱で討たれた父・平将門の無念を晴らすべく、貴船明神から妖術を授かった五月姫。その妖術の力を見せ付けんとばかりに早々と恐ろしい鬼と変わり、序盤からドキリッとする演出で観客を引き付けていきます。また、その瀧夜叉姫の征伐の勅命を受けた大宅中将光圀は下総の国へと向かい、徐々に神楽が進むにつれ戦の時が近づいていきます。すると会場の雰囲気も次第に張り詰めた空気へと変わり、こちら側も次第に緊張が走ります。そしてついに瀧夜叉姫たちとの合戦となり、戦いはスピード感溢れる激しい戦いとなります。時折、入り組みあうような複雑な立ちまわりも見せていました。そしてついに決着が。瀧夜叉姫は邪心な心を陰陽の術で解かれもとの五月姫へと戻っていきます。ここは中川戸さんらしい演出でさらに会場を盛り上げてくださいましたね。光圀が幣を瀧夜叉姫の顔にかざすとみるみるうちに五月姫へと変わっていき、会場からはたくさんの拍手が沸き起こっていました。
有田神楽団「有田中井手の戦い」
この演目は有田さんにとって史上初となる創作神楽だそうで、まだ昨年の6月に発表されたばかりの演目だそうです。なので多くの方がまだ見られたことがない演目となるのではないでしょうか。この物語は戦国時代の頃、佐東銀山城(さとうかなやまじょう(現在広島市安佐南区))の主、武田元繁(たけだもとしげ)が今の旧千代田町有田にある有田城へ侵攻し、それを食い止める為、毛利元就は有田城救援へと向かい武田軍と激しく激突するといったお話です。また、この戦いは、後に西国の桶狭間とも呼ばれるようになったそうです。神楽では、その有田で起こった歴史を事細かく再現されておられ、団員の方達が一生懸命調べられ創りあげた演目となっていました。また、見どころとしては毛利軍と武田軍の一戦のところ。激しい立ちまわりと刀と刀がぶつかり合う迫力ある戦いは、とても見応えがありました。
亀山神楽社中「貴船」
この演目は恨み辛みなどが強くとても怖~いお話の演目ですが、その反面、寂しさも伝わってくる演目ですよね。恨み辛みで見ると女が夫への恨みで鬼と化してしまう場面はとてもインパクト大!ゆっくりと振り返るような動きで女が鬼と化す姿は恐ろしく、見ているこちらはブルブルッと身震いしてしまいます。また、鬼となった女が夫を探す場面では、舞台の照明が落とされ真っ暗となった舞台にろうそくの火だけが輝き、そこから照らしだされる鬼の顔は息が詰まってしまいそうなほど恐ろしさが際立っていました。そして寂しさがもっとも伝わるところでは、安倍清明により術を解かれ女と戻る場面。術が解かれ成仏する際、女が鬼と化し夫を恨む気持ちと妻として夫を愛おしむ本来の気持ちが舞いで表現されており、その姿はなんとも悲しく、寂しさが伝わってきました。そして最後、「真の鬼は人の心に住まいするなり」という言葉で締めくくられますが、この言葉は何度聞いても自分自身にも問いただされているようで深く考えさせられる言葉だと思います。
中川戸神楽団「板蓋宮」
大化改新をもとにしたオリジナル神楽で、スーパー神楽の原点とも言える演目ですね。また、この演目は数多くの仕掛けが仕込まれており、いきなり蜘蛛が会場に飛んできたり、ブラックライトで鬼の面が赤く光るなどビックリするような演出がなされています。また、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)たちと蘇我入鹿(そがのいるか)の郎女たちとの立ち合いの場面も印象的で全員の衣装がめくれた瞬間小さな紙吹雪が飛び出し、激しい立ち合いの中その紙吹雪が綺麗に舞い上がります。その光景はとても幻想的で一瞬にして心を奪われてしまうようでした。また、さらにここ一番で会場全体がどよめき、驚いた場面は、終盤の一度倒されたはずの入鹿が生首となって再び中大兄皇子たちに襲い掛かる場面でした。入鹿の首が宙を舞い中大兄皇子に襲い掛かるのですが、勢いがあまりにもすご過ぎて観客席まで飛んできそうで客席からは、悲鳴にも近い「キャー!!」という声が聞こえてきました。舞台近くで見られていた方ほど、さぞかし驚かれたことでしょうね。
そして、上演終了後は毎回お馴染みの?神楽団との記念撮影がありました。今回は最後に舞われました中川戸神楽団との記念撮影でした。上演後もたくさんの方が残られそれぞれ思い思いの写真を取られていました。
さて今回のテーマでもあった「温故知新・進化する神楽」。それぞれの進化していく神楽をじっくりと堪能することができ、とても満足できる催しとなったのではないでしょうか。また、上演の合間には、それぞれの団長さんが「温故知新・進化する神楽」に対する思いを熱く語ってくださる場面もありました。ここまでくる道のりもさぞかし楽ではなかったことでしょうね。神楽ファンとしてはこれからもずっと暖かく見守り、応援していきたいですね。
2010,04,21 Wed 21:29
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先週の日曜日、千代田開発センターにて「月一の舞い」が行われました。今回のテーマは日本の神話-「日本誕生」の物語-でした。それでは報告です。
原田神楽団「神迎え」
皆さんに始めお知らせしていたのは『鈴あわせ』となっており、あれ?演目が変更になったの?と思った方もいらっしゃったかもしれませんが、神迎えも鈴あわせと同じだそうです。上演前に原田神楽団の塚本団長さまより「地域によって土蜘蛛が葛城山と言われるように、鈴合わせも地域によって呼び方が異なります」との説明がありました。その神迎えですが、まず四人の舞手さんが登場し、それぞれ方角の色である、緑、赤、白、紫の幣を持ち厳かに舞い始めていきます。またその舞の中で四人の舞手が一列となり一方の方角を拝んだあと、くるくると持ち場に戻る場面はとても綺麗で印象に残りました。今回、東西南北中央とすべてを拝む場面がありましたが、私事ではありますが久しぶりにすべての拝みを観ることができました。
谷住郷神楽社中「岩戸」
こちらの岩戸では天太玉命も天児屋根命と同じような格好でした。いつも広島で見慣れているのは若い天太玉命なのでとても新鮮な感じ。舞いでは双方腰をぐっと落とし深みのある舞いを繰り広げ、また、息もピッタリと合っていました。ゆったりとした舞いなのですが、どこかずっしりとした重みがあり、なんとも言えない重厚感が感じられてとても印象深かったです。他に宇津女命の舞では、舞い進むに連れ激しさが増していきますが、やわらかな舞は変わらず、時に妖艶さを感じさせる舞でした。そして手力男命は、地面を踏みつけたときにドン!という音が聞こえるほどの力強さで、とてもパワーが溢れる舞いでした。そして、岩戸を開ける場面では楽の激しさと手力男命の迫真の演技に心を奪われ、いつの間にか食い入るように見ていました。
亀山神楽社中「五穀種元」
この演目は、五穀豊穣を願う物語です。天熊大人(あめくまのうし)から、米・稗・粟・麦・豆の五穀を村君と人民が授かり蒔き植えを行うのですが、そこまで行うまでに今回も村君と人民がいろいろと笑かしてくれました。たすきの掛け違いや田畑を耕す際に楽人の人にちょっかいを出したり。終いには、客席で携帯音が鳴ってしまっても「なんか鳴りよるで。」と観客までも巻き込む始末(笑)今回もたくさん笑ってしまいました。そして収穫を終え神々の恵みに感謝した後は、皆さまにも幸せをお裾分けということで餅まきが行われました。やっぱりお餅をいただけるとうれしいですよね♪皆さん投げられたお餅を一生懸命とられていました。
原田神楽団「滝夜叉姫」
初め五月姫の印象は、いかにも純粋でおしとやかという印象を受けますが、妖術を授かり滝夜叉姫となると一変。顔つきも声のトーンも変わり、まるで別人のようでした。こういった舞手さんの表情、演技の切り替えはいつ見てもすごいと思ってしまいます。そして、物語は進み、一番盛り上がる滝夜叉姫たちとの立ち合い。まずは滝夜叉姫の手下、夜叉丸と蜘蛛丸たちとの戦いで一気にこちらの気持ちが高ぶっていきます。そしてその余韻が残ったままついに滝夜叉姫との戦いとなります。滝夜叉姫もついに鬼と化し、戦いも徐々に激しさを増していきこちらはもう舞いに釘付け状態。最後の方は力が入りっぱなしでした。
谷住郷神楽社中「大蛇」
まずは大蛇をおびき寄せるため、酒樽を用意していきます。するとそれを嗅ぎつけたように大蛇が登場。舞台は照明が落とされ大蛇の目だけが光り、その中でうごめく大蛇の様子はとても不気味でした。また、大蛇が舞台ぎりぎりのところでさまざまな技を繰り広げる場面も迫力がありました。そして、須佐之男命と大蛇たちの合戦。須佐之男命が一気に大蛇たちを目覚めさせると七匹の大蛇たちは一塊に密集しますが、残りの一匹は須佐之男命と一対一でのにらみ合いとなりました。こういった場面は、なかなか観たことがないのでとても印象的でした。また大蛇が一斉に火を噴き舞台が真っ赤に染まった瞬間は、とても迫力満点。須佐之男命がどこにいるのかわからないほど。しかし、須佐之男命はそんなことに怯むことなく大蛇の頭を次々に切り落とし、会場からは拍手が沸き起こっていました。
そして、神楽上演後は恒例の神楽の舞手さんたちとの記念撮影がありました。今回は最後のトリを飾られました谷住郷の大蛇さんたち。子どもたちがそばにいって一緒に写真を撮られていました。また、今回は特別に谷住郷さんから幣や茅輪などをプレゼントというのもあり、最後の最後まで盛り上がりました。
さて、今回で2009年度の月一の舞が終了いたしました。2009年度、さまざまなテーマで神楽を取り上げてきましたが、みなさん楽しんでいただけたでしょうか?月一も来月から2010年バージョンとなり、また新しく始まります!!来年度もいろいろと面白いテーマで構成されてますね。今後もどうぞ月一へ足をお運びくださいね☆
原田神楽団「神迎え」
皆さんに始めお知らせしていたのは『鈴あわせ』となっており、あれ?演目が変更になったの?と思った方もいらっしゃったかもしれませんが、神迎えも鈴あわせと同じだそうです。上演前に原田神楽団の塚本団長さまより「地域によって土蜘蛛が葛城山と言われるように、鈴合わせも地域によって呼び方が異なります」との説明がありました。その神迎えですが、まず四人の舞手さんが登場し、それぞれ方角の色である、緑、赤、白、紫の幣を持ち厳かに舞い始めていきます。またその舞の中で四人の舞手が一列となり一方の方角を拝んだあと、くるくると持ち場に戻る場面はとても綺麗で印象に残りました。今回、東西南北中央とすべてを拝む場面がありましたが、私事ではありますが久しぶりにすべての拝みを観ることができました。
谷住郷神楽社中「岩戸」
こちらの岩戸では天太玉命も天児屋根命と同じような格好でした。いつも広島で見慣れているのは若い天太玉命なのでとても新鮮な感じ。舞いでは双方腰をぐっと落とし深みのある舞いを繰り広げ、また、息もピッタリと合っていました。ゆったりとした舞いなのですが、どこかずっしりとした重みがあり、なんとも言えない重厚感が感じられてとても印象深かったです。他に宇津女命の舞では、舞い進むに連れ激しさが増していきますが、やわらかな舞は変わらず、時に妖艶さを感じさせる舞でした。そして手力男命は、地面を踏みつけたときにドン!という音が聞こえるほどの力強さで、とてもパワーが溢れる舞いでした。そして、岩戸を開ける場面では楽の激しさと手力男命の迫真の演技に心を奪われ、いつの間にか食い入るように見ていました。
亀山神楽社中「五穀種元」
この演目は、五穀豊穣を願う物語です。天熊大人(あめくまのうし)から、米・稗・粟・麦・豆の五穀を村君と人民が授かり蒔き植えを行うのですが、そこまで行うまでに今回も村君と人民がいろいろと笑かしてくれました。たすきの掛け違いや田畑を耕す際に楽人の人にちょっかいを出したり。終いには、客席で携帯音が鳴ってしまっても「なんか鳴りよるで。」と観客までも巻き込む始末(笑)今回もたくさん笑ってしまいました。そして収穫を終え神々の恵みに感謝した後は、皆さまにも幸せをお裾分けということで餅まきが行われました。やっぱりお餅をいただけるとうれしいですよね♪皆さん投げられたお餅を一生懸命とられていました。
原田神楽団「滝夜叉姫」
初め五月姫の印象は、いかにも純粋でおしとやかという印象を受けますが、妖術を授かり滝夜叉姫となると一変。顔つきも声のトーンも変わり、まるで別人のようでした。こういった舞手さんの表情、演技の切り替えはいつ見てもすごいと思ってしまいます。そして、物語は進み、一番盛り上がる滝夜叉姫たちとの立ち合い。まずは滝夜叉姫の手下、夜叉丸と蜘蛛丸たちとの戦いで一気にこちらの気持ちが高ぶっていきます。そしてその余韻が残ったままついに滝夜叉姫との戦いとなります。滝夜叉姫もついに鬼と化し、戦いも徐々に激しさを増していきこちらはもう舞いに釘付け状態。最後の方は力が入りっぱなしでした。
谷住郷神楽社中「大蛇」
まずは大蛇をおびき寄せるため、酒樽を用意していきます。するとそれを嗅ぎつけたように大蛇が登場。舞台は照明が落とされ大蛇の目だけが光り、その中でうごめく大蛇の様子はとても不気味でした。また、大蛇が舞台ぎりぎりのところでさまざまな技を繰り広げる場面も迫力がありました。そして、須佐之男命と大蛇たちの合戦。須佐之男命が一気に大蛇たちを目覚めさせると七匹の大蛇たちは一塊に密集しますが、残りの一匹は須佐之男命と一対一でのにらみ合いとなりました。こういった場面は、なかなか観たことがないのでとても印象的でした。また大蛇が一斉に火を噴き舞台が真っ赤に染まった瞬間は、とても迫力満点。須佐之男命がどこにいるのかわからないほど。しかし、須佐之男命はそんなことに怯むことなく大蛇の頭を次々に切り落とし、会場からは拍手が沸き起こっていました。
そして、神楽上演後は恒例の神楽の舞手さんたちとの記念撮影がありました。今回は最後のトリを飾られました谷住郷の大蛇さんたち。子どもたちがそばにいって一緒に写真を撮られていました。また、今回は特別に谷住郷さんから幣や茅輪などをプレゼントというのもあり、最後の最後まで盛り上がりました。
さて、今回で2009年度の月一の舞が終了いたしました。2009年度、さまざまなテーマで神楽を取り上げてきましたが、みなさん楽しんでいただけたでしょうか?月一も来月から2010年バージョンとなり、また新しく始まります!!来年度もいろいろと面白いテーマで構成されてますね。今後もどうぞ月一へ足をお運びくださいね☆
2010,03,09 Tue 20:09
新着コメント
konishiさんコメントありがとうございます。
お目当ての岩戸は堪能できましたか?(^^)
2010年度の月一も是非いらしてくださいね☆
そしてkonishiさんの写真拝見しました。
滝夜叉姫・岩戸両方ともよく撮れていますね。
とても素敵です★+゜
お目当ての岩戸は堪能できましたか?(^^)
2010年度の月一も是非いらしてくださいね☆
そしてkonishiさんの写真拝見しました。
滝夜叉姫・岩戸両方ともよく撮れていますね。
とても素敵です★+゜
| 特派員N | EMAIL | URL | 10/03/10 22:34 | 2ETYRi5g |
第三部「新たなる神楽への挑戦」
琴庄神楽団「義経平氏追討」。戦後新しく創作された新作神楽、いわゆる新舞は、多くの人に受け入れられ、現在に至っています。この演目もそんな新舞の一つ。それまでの古典曲目にはない新しい魅力を見ることができます。例えば前半、壇ノ浦の戦いに敗れた平知盛が霊魂となる場面。身体に碇を巻きつけ、海底から這い上がろうとする知盛の姿。照明も青暗く、まさに海の底でもがき苦しんでいる様子が伝わります。ただ退治されるだけではない、奥行きのある悪役とでも言いましょうか、そういった個性が新舞の魅力の一つではないでしょうか。また最後には義経と静御前の別れの場面があります。神楽で恋愛模様が演じられるのは珍しいほうですが、そういった別れの悲しみも盛り込まれています。色々な魅力にみなさんもたっぷり楽しまれたことでしょう。
続いて東山神楽団「戻り橋」。上演が始まると渡辺綱と茨木童子がいきなり対決。薄暗い舞台にスポットライトという照明効果で、まるで月明かりに照らされた戻り橋の情景が浮かんでくるようです。綱の奮闘も空しく茨木童子は逃げ去りますが、後に残された傘には生々しい左の腕が。東山神楽団さんのリアルな演出に、なるほどと頷かれた方もいらしゃったと思います。この演目は切り取られた腕を取り返すという物語がメインとなっています。「戻り橋」と聞くとつい傘売り善兵衛さんを期待してしまいますが、後編の物語だったんですね。ということで見どころはやはり化身の変化。先ほどの茨木童子もそうでしたが、後半登場の酒呑童子の化身。いったい何種類の面で何回変わったんだろうか、という大活躍を見せてくださいました。
大塚神楽団「頼政」。病にかかった帝のために料理をすることになった料理人の平野庄内。選び抜いた食材を持って東三条ヶ森を通ろうとします。すると小さなお猿さんたちに遭遇。小猿たちは庄内の持っている食べ物目当てで出てきた様子。その可愛らしいしぐさに思わず頬が緩んでしまいます。ところが大猿の登場で事態は一変。舞台だけでなく客席にも進出して大暴れの猿達。しかし駆けつけた楓姫によって猿達は退治されてしまいます。小猿さんが転がりながら退場していく姿が、これまた可愛らしかったですね。そして後半は源頼政と鵺の対決。この「頼政」という演目は石見神楽の中でも比較的新しいようですが、大塚さんはそれを色々と調べ上げてより見応えのある、魅力的なものに仕上げられているように感じました。
上河内神楽団「滝夜叉姫」。貴船の荒御霊より妖術を授かった五月姫ですが、序盤は手下二人と穏やかに舞う場面がありました。そこでは神楽歌も歌われ、他ではない優雅な滝夜叉姫を見せていただきました。しかし戦いは避けられません。神楽が進むと、戦が近づくにつれ険しくなる様子が伝わってきます。合戦は複雑かつ速いもので、穏やかだった序盤から段々と盛り上がって、ついに最後にと向かう感覚。一つ一つの舞だけでなく、全体の流れを見ても非常にまとまり感がありましたね。しかし滝夜叉姫の最期は激しさではなく、はかなさを感じました。無念な感情をいっぱいに表し、一刀のもとに斬られて倒れ込む姿。この演目の堂々たる主役に、多くの方が拍手を送られたことと思います。
最後は中川戸神楽団「紅葉狩」。上演前に「あれ、ブラックライトの準備がないなぁ」と思ったのですが、今までと少し変わった内容で魅せてくださいました。中盤、鬼となった紅葉からニョキ~っと角が生えてくる演出は健在だったのですが、個人的にも好きな場面だったのでホッとしました(笑)。後は勢い良くクモの糸が飛び出す仕掛け、これも効果的だったと思います。きっとビックリされた方も多かったことでしょう。そして最後、一度は斬られた紅葉が再び反撃し、随身を棒で突き倒そうとするところ、ここは見ていて力が入りましたね。奏楽さんの盛り上げ方も舞との一体感が感じられてよかったと思います。「ホール神楽」の先駆けとして、そして常に新しい神楽に挑戦される中川戸神楽団さん。今回のイベントに相応しいトリを飾ってくださいました。
以上、全10演目のご紹介でした。そしてパンフレット購入でチャレンジできるガラガラの抽選、今年もしっかりやってきましたよ! 今年こそはと気合を入れたものの、出てきたのは無情にも?白玉…。はい、高級醤油でした(笑) みなさんは何が当たりましたか!?来年も素晴らしい神楽の上演と、ステキな景品を楽しみにしたいですね!!
琴庄神楽団「義経平氏追討」。戦後新しく創作された新作神楽、いわゆる新舞は、多くの人に受け入れられ、現在に至っています。この演目もそんな新舞の一つ。それまでの古典曲目にはない新しい魅力を見ることができます。例えば前半、壇ノ浦の戦いに敗れた平知盛が霊魂となる場面。身体に碇を巻きつけ、海底から這い上がろうとする知盛の姿。照明も青暗く、まさに海の底でもがき苦しんでいる様子が伝わります。ただ退治されるだけではない、奥行きのある悪役とでも言いましょうか、そういった個性が新舞の魅力の一つではないでしょうか。また最後には義経と静御前の別れの場面があります。神楽で恋愛模様が演じられるのは珍しいほうですが、そういった別れの悲しみも盛り込まれています。色々な魅力にみなさんもたっぷり楽しまれたことでしょう。
続いて東山神楽団「戻り橋」。上演が始まると渡辺綱と茨木童子がいきなり対決。薄暗い舞台にスポットライトという照明効果で、まるで月明かりに照らされた戻り橋の情景が浮かんでくるようです。綱の奮闘も空しく茨木童子は逃げ去りますが、後に残された傘には生々しい左の腕が。東山神楽団さんのリアルな演出に、なるほどと頷かれた方もいらしゃったと思います。この演目は切り取られた腕を取り返すという物語がメインとなっています。「戻り橋」と聞くとつい傘売り善兵衛さんを期待してしまいますが、後編の物語だったんですね。ということで見どころはやはり化身の変化。先ほどの茨木童子もそうでしたが、後半登場の酒呑童子の化身。いったい何種類の面で何回変わったんだろうか、という大活躍を見せてくださいました。
大塚神楽団「頼政」。病にかかった帝のために料理をすることになった料理人の平野庄内。選び抜いた食材を持って東三条ヶ森を通ろうとします。すると小さなお猿さんたちに遭遇。小猿たちは庄内の持っている食べ物目当てで出てきた様子。その可愛らしいしぐさに思わず頬が緩んでしまいます。ところが大猿の登場で事態は一変。舞台だけでなく客席にも進出して大暴れの猿達。しかし駆けつけた楓姫によって猿達は退治されてしまいます。小猿さんが転がりながら退場していく姿が、これまた可愛らしかったですね。そして後半は源頼政と鵺の対決。この「頼政」という演目は石見神楽の中でも比較的新しいようですが、大塚さんはそれを色々と調べ上げてより見応えのある、魅力的なものに仕上げられているように感じました。
上河内神楽団「滝夜叉姫」。貴船の荒御霊より妖術を授かった五月姫ですが、序盤は手下二人と穏やかに舞う場面がありました。そこでは神楽歌も歌われ、他ではない優雅な滝夜叉姫を見せていただきました。しかし戦いは避けられません。神楽が進むと、戦が近づくにつれ険しくなる様子が伝わってきます。合戦は複雑かつ速いもので、穏やかだった序盤から段々と盛り上がって、ついに最後にと向かう感覚。一つ一つの舞だけでなく、全体の流れを見ても非常にまとまり感がありましたね。しかし滝夜叉姫の最期は激しさではなく、はかなさを感じました。無念な感情をいっぱいに表し、一刀のもとに斬られて倒れ込む姿。この演目の堂々たる主役に、多くの方が拍手を送られたことと思います。
最後は中川戸神楽団「紅葉狩」。上演前に「あれ、ブラックライトの準備がないなぁ」と思ったのですが、今までと少し変わった内容で魅せてくださいました。中盤、鬼となった紅葉からニョキ~っと角が生えてくる演出は健在だったのですが、個人的にも好きな場面だったのでホッとしました(笑)。後は勢い良くクモの糸が飛び出す仕掛け、これも効果的だったと思います。きっとビックリされた方も多かったことでしょう。そして最後、一度は斬られた紅葉が再び反撃し、随身を棒で突き倒そうとするところ、ここは見ていて力が入りましたね。奏楽さんの盛り上げ方も舞との一体感が感じられてよかったと思います。「ホール神楽」の先駆けとして、そして常に新しい神楽に挑戦される中川戸神楽団さん。今回のイベントに相応しいトリを飾ってくださいました。
以上、全10演目のご紹介でした。そしてパンフレット購入でチャレンジできるガラガラの抽選、今年もしっかりやってきましたよ! 今年こそはと気合を入れたものの、出てきたのは無情にも?白玉…。はい、高級醤油でした(笑) みなさんは何が当たりましたか!?来年も素晴らしい神楽の上演と、ステキな景品を楽しみにしたいですね!!
2010,03,02 Tue 19:55
新着コメント
2月28日は広島市の厚生年金会館で「RCC早春神楽共演大会」が行われました。各地で伝承されてきた神楽と、プロのスタッフによる舞台、その二つが融合して生まれる、このイベントならではの魅力。今年も素晴らしい上演の連続でした。それではご紹介します。
第一部「原点を見つめる」
原田神楽団「天の岩戸」。みなさんよくご存知のとおり、天照大神をはじめとするたくさんの神様が登場します。その個性的な神様たちを舞の中でどう表現されているか、これが見どころの一つかと思います。それに加え、対照的な二人の神様が一緒に舞うのもこの演目ならではの面白さです。前半は児屋根命と太玉命の舞で、それぞれ「老」と「若」という印象を与えてくれました。後半は宇津女命と手力男命の舞で、「柔」と「剛」。舞手さんが自分の役になりきり、派手でもなく地味でもなく、ただ役に徹する。見栄えのする演出はなくても、神楽の基本、舞と楽によって見ている者を魅了します。昨年も上演がありましたが、まさに「原点を見つめる」に相応しい上演だったと思います。
第二部「伝統を受け継ぐ」
筏津神楽団「神武」。ファンのみなさんも「神武」と聞けば「いかにも旧舞」みたいなイメージを持たれているのではないでしょうか。先ほどの「天の岩戸」ほどではありませんが、見栄えのする演出というのはなかなか難しい演目かと思います。筏津さんは八咫烏(やたがらす)という役を登場させて、新鮮味を与えてくださいました。最初から延々と続く神の舞、そこに新しいキャラクターが登場することでちょっと印象が違って見えることもあるかと思います。そして「伝統」を強く感じたのが合戦の前の言葉。神倭磐余彦命(かんやまといわひこのみこと)が「やあやあ~」とときの声をかけると、長髓彦は「さん候~」と応えます。他にも合戦で飛び跳ねながら刀を打ち合わせたりするなど、みなさんもなんとなく「伝統的な」ものを感じられたのではないでしょうか。
今回唯一の島根県からの出演となった大都神楽団「黒塚」。初めてご覧になった方も多くおられたことと思います。抜群のコンビネーションで笑わせていただいた、法印さんと剛力さんのお二人。柴の戸に宿を断られると「リーガロイヤルホテルに泊まろうか」なんて会話もあり、次はどんなネタで笑わせてくれるのだろうと舞台に釘付けになりましたね。しかし主役はやはり九尾の狐。まずは女の姿で現れ、剛力さんを惑わします。扇子を自在に操り、怪しい腰つきに「ウヒヒ」と肩で笑うようなしぐさもあり、これでは誰でも惑わされてしまうと思える、舞手さんの見事な表現でした。そして狐となって現れると今度は動物らしい動きに変わりました。しかし怖いというよりも愛嬌のある感じで、思わずそちらを応援したい気分になってしまいました。
三谷神楽団「大江山」は、3年前にもこの大会で上演されています。もちろんその当時も第二部での上演でしたが、舞も楽もほとんど変わっていないのではないでしょうか。「伝統を受け継ぐ」こと、そして伝統を守ることを大事にされているような、そんな神楽団さんの思いを感じることができたように思います。そしてこの演目ではやはりもう一つ「セリフ」という大きなポイントがありますね。「酒呑童子と呼ばれたるなり~!!」 もはや神楽ファンのみなさんの中で最も有名なセリフになった感もありますが、今回も広い会場にし~っかりと響き渡りましたよ!古い伝統を残しながら、なおかつ現代のファンの方にも支持される神楽というのは、かなり難しいことと思いますが、多くの方の拍手を受けながら舞われている姿に心から感動しました。
山王神楽団「八岐大蛇」。ここ最近「八岐大蛇」は島根県の団体が上演されていましたが、今年は広島の番。それもオーケストラとコラボした「オロチ」の舞台を経験した山王神楽団さんによるもの。おそらく「八岐大蛇」の練習量も広島県内ではトップクラスではないかとお察ししますが、息の合った大蛇たちの舞をしっかり見せていただきましたよ!そして八頭の大蛇たちが入り乱れる中に、ドライアイスや照明といった舞台効果が加わり、ホール神楽ならではの醍醐味も堪能させていただきました。そしてもう一つ!須佐之男命が大蛇の首を切り落とすと、その首が何メートルも勢いよく飛んでいくという演出がありました。これには自分はもちろん、会場のお客さんもビックリ!意表を突いた演出で楽しませていただきました。
以上、前半5演目のご紹介でした。「その2」では残りの演目をご紹介します。お楽しみに!
第一部「原点を見つめる」
原田神楽団「天の岩戸」。みなさんよくご存知のとおり、天照大神をはじめとするたくさんの神様が登場します。その個性的な神様たちを舞の中でどう表現されているか、これが見どころの一つかと思います。それに加え、対照的な二人の神様が一緒に舞うのもこの演目ならではの面白さです。前半は児屋根命と太玉命の舞で、それぞれ「老」と「若」という印象を与えてくれました。後半は宇津女命と手力男命の舞で、「柔」と「剛」。舞手さんが自分の役になりきり、派手でもなく地味でもなく、ただ役に徹する。見栄えのする演出はなくても、神楽の基本、舞と楽によって見ている者を魅了します。昨年も上演がありましたが、まさに「原点を見つめる」に相応しい上演だったと思います。
第二部「伝統を受け継ぐ」
筏津神楽団「神武」。ファンのみなさんも「神武」と聞けば「いかにも旧舞」みたいなイメージを持たれているのではないでしょうか。先ほどの「天の岩戸」ほどではありませんが、見栄えのする演出というのはなかなか難しい演目かと思います。筏津さんは八咫烏(やたがらす)という役を登場させて、新鮮味を与えてくださいました。最初から延々と続く神の舞、そこに新しいキャラクターが登場することでちょっと印象が違って見えることもあるかと思います。そして「伝統」を強く感じたのが合戦の前の言葉。神倭磐余彦命(かんやまといわひこのみこと)が「やあやあ~」とときの声をかけると、長髓彦は「さん候~」と応えます。他にも合戦で飛び跳ねながら刀を打ち合わせたりするなど、みなさんもなんとなく「伝統的な」ものを感じられたのではないでしょうか。
今回唯一の島根県からの出演となった大都神楽団「黒塚」。初めてご覧になった方も多くおられたことと思います。抜群のコンビネーションで笑わせていただいた、法印さんと剛力さんのお二人。柴の戸に宿を断られると「リーガロイヤルホテルに泊まろうか」なんて会話もあり、次はどんなネタで笑わせてくれるのだろうと舞台に釘付けになりましたね。しかし主役はやはり九尾の狐。まずは女の姿で現れ、剛力さんを惑わします。扇子を自在に操り、怪しい腰つきに「ウヒヒ」と肩で笑うようなしぐさもあり、これでは誰でも惑わされてしまうと思える、舞手さんの見事な表現でした。そして狐となって現れると今度は動物らしい動きに変わりました。しかし怖いというよりも愛嬌のある感じで、思わずそちらを応援したい気分になってしまいました。
三谷神楽団「大江山」は、3年前にもこの大会で上演されています。もちろんその当時も第二部での上演でしたが、舞も楽もほとんど変わっていないのではないでしょうか。「伝統を受け継ぐ」こと、そして伝統を守ることを大事にされているような、そんな神楽団さんの思いを感じることができたように思います。そしてこの演目ではやはりもう一つ「セリフ」という大きなポイントがありますね。「酒呑童子と呼ばれたるなり~!!」 もはや神楽ファンのみなさんの中で最も有名なセリフになった感もありますが、今回も広い会場にし~っかりと響き渡りましたよ!古い伝統を残しながら、なおかつ現代のファンの方にも支持される神楽というのは、かなり難しいことと思いますが、多くの方の拍手を受けながら舞われている姿に心から感動しました。
山王神楽団「八岐大蛇」。ここ最近「八岐大蛇」は島根県の団体が上演されていましたが、今年は広島の番。それもオーケストラとコラボした「オロチ」の舞台を経験した山王神楽団さんによるもの。おそらく「八岐大蛇」の練習量も広島県内ではトップクラスではないかとお察ししますが、息の合った大蛇たちの舞をしっかり見せていただきましたよ!そして八頭の大蛇たちが入り乱れる中に、ドライアイスや照明といった舞台効果が加わり、ホール神楽ならではの醍醐味も堪能させていただきました。そしてもう一つ!須佐之男命が大蛇の首を切り落とすと、その首が何メートルも勢いよく飛んでいくという演出がありました。これには自分はもちろん、会場のお客さんもビックリ!意表を突いた演出で楽しませていただきました。
以上、前半5演目のご紹介でした。「その2」では残りの演目をご紹介します。お楽しみに!
2010,03,01 Mon 20:57
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2月14日は千代田開発センターで「月一の舞」が行われました。今回のテーマは「親から子へ 神楽の未来が見える」ということで、いつもの神楽上演に加え、それぞれ出演団体の中で親子にまつわるエピソードなども語られました。それではご紹介していきます。
まずは上河内神楽団「大江山」。上河内神楽団さんは、家族関係となる方が団員の中で半数以上になるということで、舞手、楽人とどこを見ても親子の共演となっていたようです。神楽だけでなく、いつも一緒に過ごしている、身内ならではの息の合った様子が、いたるところで見られたように思います。しかし、家族じゃないから息が合わないということは決してありません。大江山へ攻め上る頼光たち、その神三人は若手の方が二名とベテランの方一名というコンビでしたが、実の親子ではなくとも、若い後輩を常に見守るかのような、先輩の優しい視線がとても暖かく感じられました。
続いては梶矢神楽団「山伏」。今回の月一は神楽上演前に主催者を代表してNPO法人広島神楽芸術研究所の菅沢良典さんが、それぞれの出演団体の紹介をされました。その中で印象に残ったお話があったのでここでもご紹介させていただきます。みなさんもよくご存知のように、菅沢さんは宮乃木神楽団の顧問としても活動されており、そして宮乃木神楽団さんは梶矢神楽団さんから指導を受けました。その最初の頃、指導に来られた梶矢神楽団の方が「榊(さかき)とはどういう漢字か知っていますか」と問われたのだそうです。榊は「木へん」に「神」と書く、つまりこの木には神様が宿っておられる…。榊は神楽の中でも手に持ったりしますし、神様へのお供え物でもあります。舞や楽が重要なのはもちろんですが、こういったことを大事にされることは、神楽の伝承という面において何よりも大切なことではないでしょうか。そんな伝統を大事にされている梶矢神楽団さん。今回の上演も派手さはないかもしれませんが、伝統の味、技といったものをみなさんも感じていただけたと思います。
そして都治神楽社中「塵輪」。司会の方から「都治に林親子あり」という紹介もあったように、この林さんお二方が都治神楽社中を支えてこられたのだそうです。そんなお二方は今回、大太鼓と小太鼓で出演されました。舞手の心を読みつつ、全体の流れも考えながらのリードは、なかなかできることではないと思いますが、神楽を熟知したお二方が太鼓を叩かれるのは、舞手の方にとってはさぞかし心強く感じられたことと思います。中でもやはり、合戦の場面は素晴らしかったですね。止まることを知らないかのような激しい舞。そしてクライマックスに近づくにつれ、どんどん激しくなっていく奏楽。お互いが畳み掛けるような相乗効果で、「神楽に酔いしれる」感覚を味わうことができました。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。先ほどの「大江山」上演後に団員のみなさんの素顔を拝見することができたのですが、その際に本当にみなさんが仲の良いことがすごく伝わってきたんですよね。しかし、一度お囃子が鳴れば表情が変わります。親子、あるいはご家族の方なら見慣れた光景かもしれませんが、普段を知る機会のないファンのみなさんにとっては貴重な体験だったのではないでしょうか。個人的にはやはり、大太鼓の河野さんが印象的でした。先ほどは娘さんの言葉につい涙が…という一幕もありましたが、いざ本番となると一変。神楽歌はもちろん、要所で入る掛け声も心地のいいものですよね。合戦の時の立ち上がりながらの勢いある姿は、舞手さんもファンの方もさらに盛り上がることができたのではと思います。
上演終了後には上河内神楽団の方との記念撮影会も行われました。今回はどの神楽団さんも全員が登場してくださったので、普段見れない素顔もファンのみなさんにバッチリ見ていただけたと思います。特派員報告もいつもとはちょっと趣向を変えて、いろんなエピソードをご紹介させていただきました。「親子」とあえてくくらなくても、神楽団の中では先輩と後輩がしっかりと絆で結ばれている、それはファンのみなさんにもおわかりいただけると思います。先輩から後輩へ、時には厳しく、時には優しく、長い時間をかけて代々受け継がれてきた神楽。そんな伝承の中での「親子」ならではの物語が今回のテーマでした。ただ神楽を楽しむだけでなく、より深く神楽に興味を持つ機会はなかなかないと思いますが、この月一の舞はそんな貴重なイベントの一つとして定着してきた感があります。来年度の続行も決定したようですし、私自身もみなさんと一緒に楽しみにしたいと思います。
まずは上河内神楽団「大江山」。上河内神楽団さんは、家族関係となる方が団員の中で半数以上になるということで、舞手、楽人とどこを見ても親子の共演となっていたようです。神楽だけでなく、いつも一緒に過ごしている、身内ならではの息の合った様子が、いたるところで見られたように思います。しかし、家族じゃないから息が合わないということは決してありません。大江山へ攻め上る頼光たち、その神三人は若手の方が二名とベテランの方一名というコンビでしたが、実の親子ではなくとも、若い後輩を常に見守るかのような、先輩の優しい視線がとても暖かく感じられました。
続いては梶矢神楽団「山伏」。今回の月一は神楽上演前に主催者を代表してNPO法人広島神楽芸術研究所の菅沢良典さんが、それぞれの出演団体の紹介をされました。その中で印象に残ったお話があったのでここでもご紹介させていただきます。みなさんもよくご存知のように、菅沢さんは宮乃木神楽団の顧問としても活動されており、そして宮乃木神楽団さんは梶矢神楽団さんから指導を受けました。その最初の頃、指導に来られた梶矢神楽団の方が「榊(さかき)とはどういう漢字か知っていますか」と問われたのだそうです。榊は「木へん」に「神」と書く、つまりこの木には神様が宿っておられる…。榊は神楽の中でも手に持ったりしますし、神様へのお供え物でもあります。舞や楽が重要なのはもちろんですが、こういったことを大事にされることは、神楽の伝承という面において何よりも大切なことではないでしょうか。そんな伝統を大事にされている梶矢神楽団さん。今回の上演も派手さはないかもしれませんが、伝統の味、技といったものをみなさんも感じていただけたと思います。
そして都治神楽社中「塵輪」。司会の方から「都治に林親子あり」という紹介もあったように、この林さんお二方が都治神楽社中を支えてこられたのだそうです。そんなお二方は今回、大太鼓と小太鼓で出演されました。舞手の心を読みつつ、全体の流れも考えながらのリードは、なかなかできることではないと思いますが、神楽を熟知したお二方が太鼓を叩かれるのは、舞手の方にとってはさぞかし心強く感じられたことと思います。中でもやはり、合戦の場面は素晴らしかったですね。止まることを知らないかのような激しい舞。そしてクライマックスに近づくにつれ、どんどん激しくなっていく奏楽。お互いが畳み掛けるような相乗効果で、「神楽に酔いしれる」感覚を味わうことができました。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。先ほどの「大江山」上演後に団員のみなさんの素顔を拝見することができたのですが、その際に本当にみなさんが仲の良いことがすごく伝わってきたんですよね。しかし、一度お囃子が鳴れば表情が変わります。親子、あるいはご家族の方なら見慣れた光景かもしれませんが、普段を知る機会のないファンのみなさんにとっては貴重な体験だったのではないでしょうか。個人的にはやはり、大太鼓の河野さんが印象的でした。先ほどは娘さんの言葉につい涙が…という一幕もありましたが、いざ本番となると一変。神楽歌はもちろん、要所で入る掛け声も心地のいいものですよね。合戦の時の立ち上がりながらの勢いある姿は、舞手さんもファンの方もさらに盛り上がることができたのではと思います。
上演終了後には上河内神楽団の方との記念撮影会も行われました。今回はどの神楽団さんも全員が登場してくださったので、普段見れない素顔もファンのみなさんにバッチリ見ていただけたと思います。特派員報告もいつもとはちょっと趣向を変えて、いろんなエピソードをご紹介させていただきました。「親子」とあえてくくらなくても、神楽団の中では先輩と後輩がしっかりと絆で結ばれている、それはファンのみなさんにもおわかりいただけると思います。先輩から後輩へ、時には厳しく、時には優しく、長い時間をかけて代々受け継がれてきた神楽。そんな伝承の中での「親子」ならではの物語が今回のテーマでした。ただ神楽を楽しむだけでなく、より深く神楽に興味を持つ機会はなかなかないと思いますが、この月一の舞はそんな貴重なイベントの一つとして定着してきた感があります。来年度の続行も決定したようですし、私自身もみなさんと一緒に楽しみにしたいと思います。
2010,02,15 Mon 22:00
新着コメント
ありがとうございます!!
検討してみたいと思います♪
検討してみたいと思います♪
| 梶矢すき | EMAIL | URL | 10/02/19 20:37 | C1AjGUE. |
梶矢すきさん、コメントありがとうございます。
カメラをしっかり固定するために、三脚などを試されてはいかがでしょうか??
自分は神楽の写真を撮る時はいつも使っています。
カメラをしっかり固定するために、三脚などを試されてはいかがでしょうか??
自分は神楽の写真を撮る時はいつも使っています。
| 特派員Y | EMAIL | URL | 10/02/18 21:14 | sDlCJhvw |
お返事ありがとうございます!!
あたしもデジタルカメラで撮影しているのですが
ブレてしまってなかなかうまく撮れないんです…。
| 梶矢すき | EMAIL | URL | 10/02/18 19:08 | C1AjGUE. |
梶矢すきさん、コメントありがとうございます。
カメラはデジタル一眼レフで2008年に発売された初心者向けのものです。
自分としては写真よりも文章でお伝えすることを大事にしたいと思っていますが、こういったお言葉を頂いて嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
カメラはデジタル一眼レフで2008年に発売された初心者向けのものです。
自分としては写真よりも文章でお伝えすることを大事にしたいと思っていますが、こういったお言葉を頂いて嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
| 特派員Y | EMAIL | URL | 10/02/17 22:58 | sDlCJhvw |
とっても綺麗に撮れてますね!!
どんなカメラで撮られてるんですか?*
よかったら教えてください♪
| 梶矢すき | EMAIL | URL | 10/02/17 19:18 | C1AjGUE. |